二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

目に見えない陰のサービスとは

2010年02月19日 | 経営って何?!
私たちの仕事に限らず、すべての仕事において言えることは、日々の人間関係、日々の一期一会の積み重ねということです。今日という日の、この出会いは、この瞬間しかありません。

この瞬間瞬間をどのような心で接するか、それが自分の今やっている仕事が世の中に必要とされるか、されないかの分かれ目なんだろうと思います。

私の住む石川県七尾市(私は金沢市です)に和倉温泉があります。行かれた方も多いと思いますが、その地に、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、日本一の称号を何年も連続して受賞している旅館「加賀屋」さんがあります。

私も一度宿泊したことがありますが、笑顔があふれて、やはり素晴らしい従業員の方の応対であったと思いましたね。日本一という評価には、それなりの理由があるということですね。

≪加賀屋には、こうした目に見えるサービスとは別に、目には見えない陰のサービスがある。これもまた、真弓さんが女将として加賀屋に育んだ「もてなしの心」といえるだろう。

「たとえば、こんなケースがありました」。真弓さんによると、ある団体の研修で講師を務めた後、加賀屋に一泊した先生が翌朝、朝食をすませて帰るばかりとなった間際に、青く澄んだ空と海が広がる景色を一人静かに眺め始めたことがある。

すでに外には研修を主催した団体の手配でタクシーが待機していたが、客室係はそっと一杯のお茶を差し出し、タクシーのことは告げようとしなかった。ひとしきり、窓から景色を堪能した先生が
「そういえば、迎えの車が来るんですね。もう来ていますか?」
と我に返るまで、客室係は加賀屋の余韻と、すがすがしい景色にしたる先生を大事にしていたというのである。

真弓さんは「私が言う陰のサービスがこれに当たるのかもしれません。何気ないことですが、私は、お客様に気づいて頂かなくてもいい、こういったサービスも必要だと常々考えています。どうしてもマニュアルを意識すると、事務的な対応に陥ってしまいがちです。それよりも、お客様にとって、いま何が一番必要な心配りであるのかを察知する、そんな気持ちを持たなければいけないのでしょうね」と話す。≫

『加賀屋の流儀 ~極上のおもてなしとは~』  細井 勝 著


マニュアルも大切ですが、これはあくまでも基本です。仕事の中では多くの基本を逸脱した、想定外の出来事が起こります。そのようなマニュアルだけでは対応できない時に、この「相手が、いま何を一番必要としているか」ということを読む力が必要になってきます。

加賀屋さんの例でいくと、”空気を感じる””空気を読む”ということでしょうか。現代的に言うと、”KY”…これは逆の意味ですね

そこには、相手(お客様・患者さま)を思いやる気持ち、心配りが必ず必要にってくるでしょう。自分勝手ではいけないのです。現在の状況、環境を常に意識に置き、判断を下し実行していくことが大切なのだと思います。

加賀屋さんの従業員のように、さりげなく、そっと、自然体で行動できれば、さらに素晴らしいですよね そこまでいくには、広い視野と日々の何でもないことに対する観察力が大事なんだろうと思います。

また、女将さんが言われている「お客様に気づいて頂かなくてもいい、こういったサービスも必要だと、常々考えています」という言葉、これがサービスに限らず、毎日、繰り広げられる人間関係に大切なことだと感じます。期待をしない、見返りを求めない、自分がやってあげたいからやる、お客様に喜んで頂きたい、そんな気持ちでサービス、人間関係ができれば、世の中、本当に素晴らしい世界になっていきますよね。

このような、「見えない陰のサービス」を日々コツコツと行っている中で、様々なお客様の心の琴線に触れる対応ができ、何気ない行動や言葉の中に感動が生まれるのだと思うのです。それを一人一人が自覚してできる旅館だからこそ、毎年、日本一の称号を得られるのだろうと思います。

私たち鍼灸師は、患者さまに健康になって頂くため、技術を磨くことは当たり前です。学問を重ね知識を身につけることも当たり前です。そして、鍼や灸を行うのは人間であり、「患者さまを楽にしたい」と、心が動かすわけですから、人間性を高めることも重要なことです。

そして、それらを駆使しながら、患者さまが「今何を一番必要としているのか」、それは主訴である一番苦痛な症状をとってほしい、病気を治して欲しい、というものが一番必要とされていることなのですが、その裏に潜むものも見抜ける力が重要なのではないかということです。

そして、日々の臨床や、患者さまとの応対の中で、何気ない、ちょっとした言葉や行動が、心の琴線に触れる感動を生むのだと感じますね。その逆もしかりなのですが…

「日々きめ細やかな心配り」、そんなことを心がけて取り組んでいきたいと思います 

二葉鍼灸療院 田中良和
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