吉村 昭 「羆嵐」(くまあらし)昭和52年新潮社
ふた昔前程前に、北海道を単車で走り回っていたときに、苫前(とままえ)町というところで
三毛別ヒグマ事件と言う出来事の資料館(正式名称不明)に入ったことがありました。
当時もう夕暮れどきにさしかかった時刻で、人気のない林道の奥にある資料館を訪れ、思いもかけない凄惨な史実に触れ、(人間の味を覚えた羆ーヒグマが次々と6名もの男女を殺害。軍隊まで出動要請)かなりびびりながら引き返してきた覚えがあります・・・。
その資料館でこの史実に基づいた小説・吉村 昭「羆嵐」と言う本があるということを知り、記憶の片隅に留めてきました。
それほど本を読むほうでもなかった私が(マンガ除く)、数年前に長期の入院を体験し、それ以来様々な本を読むようになりました。やがて徐々に「吉村 昭」の著作も手にする機会が出てきましたが、この本を手にすることはありませんんでした。
やがて、平成18年に作者は鬼籍の人となり書店には追悼フェアとして数々の吉村作品文庫版が重版され並びましたが、その際に新潮文庫版を手に入れました。
しかし、「読書を体験として捉える」素樹 文生氏の言葉に影響され、最高の機会にとの思いからその本は「積読つんどく」の山の中に入っていました。
ところが、最近の最寄ブックオフの100円コーナーからは数々のヒット作を手に入れることが多くこの本もついに私の手元に・・・。
あっという間に読了してしまいました。
結論として、大自然のもとには人間など取るに足らない存在であることを自覚せよと言うことだと思います・・・。(北海道の自然に触れに訪れる人に絶対のおススメ。文庫版は書店で入手可能?)