20240213
去る2023年11月29日に脚本家の山田太一さんが89歳で亡くなられた。
80年代後半から90年代にかけて百花繚乱だったトレンディードラマの脚本家の多くも山田太一トリビュートだったはずだ。
しかし、山田さんは視聴率一辺倒の業界には背を向けるように連続ドラマ枠からは撤退をされてしまった・・・
私も昭和50年代の後半は中学・高校生でいろいろ考えの多い時期だったので、とても山田ドラマを家族と一緒には見られなかった。
独り別室で夢中になって「思い出づくり」や「ふぞろいの林檎たち」を観ていたのを思い出す。
当時のドラマの常識を覆すような描写に加え、とにかく印象に残る音楽(サザン然りザンフィルも)が今も耳に残る。
そして、オカタケ師匠も山田太一ファン(「男たちの旅路」推し)の一人として今回、急遽「追悼・山田太一 本郷散歩」を企画されたのだった。
※本郷は「ふぞろいの林檎たち」のロケ地が点在するところ!
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1983年 大和書房 こちらで予習。
シナリオだが読み易い!
(山田太一高騰中。)
2024.1.27(土)
寒い冬の日。丸ノ内線の「本郷三丁目」駅前に集合。
面々は先ず歩いて5分ほどの「文京ふるさと歴史館」へ。
こちらは一般入館料100円掛かるが、「江戸」に興味のある方は豊富な収蔵品にきっとそそられるハズ。
文京区ゆかりの文豪関係も多数。
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館内を一通り楽しんだ後は程近いところに・・・
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炭団坂(たどんざか)の上に坪内逍遥旧居跡(常盤会跡)が。
かの正岡子規もここからの眺めを楽しんだ!?
文京区は史跡の紹介に力を入れているようで。
ここを下るのが炭団坂。
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「ふぞろい」の当時は階段は無く急な坂道。
第4話で中井貴一(仲手川良雄)と高橋ひとみ(伊吹夏恵)が一緒に歩く。
好意を伝えるが撃沈する良雄。
「宮沢賢治旧居跡」等眺めつつ・・・
こんな建物も・・・
木造3階。手前に井戸。
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「男はつらいよ」にも登場した
梨木坂(なしのきざか)を上り・・・
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登録有形文化財指定の「鳳明館」横目に
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樋口一葉ゆかりの「旧伊勢屋質店」
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24歳で早世するまでお世話になったと。
そしてこちらが・・・
良雄の自宅「仲屋酒店」として使用された建物。
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そのまま営業中!
良雄の兄・耕一(小林薫)、その病弱の妻幸子(根岸季衣)。
幸子に対し、これでもかと嫁いびりをする母・愛子に扮する佐々木すみ江の演技が壮絶だった。
こちらは徳田秋声旧宅。
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見事に保存。。
本郷通りに戻ってすぐに・・・
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旧加賀屋敷御守殿門
今言うところの東大赤門。
本郷界隈は多くの史跡が戦災で焼けずに大切に保存されている街だった。
そして、東大前にはシブーイ喫茶店やリーズナブルな中華料理店が点在。
喫茶「ルオー」で一服し、最後は中華で打ち上げ。(中華はびっくり価格)
山田太一の作品や石原真理子、河崎秋子、panpanyaなどの話を肴に町は黄昏ゆく・・・
山田太一は岸辺のアルバムから入りまして、ふぞろいの林檎たちは幾度となく読み返しました。また、奇しくも先月は、深夜にようこそを読み直したばかりです。
私は山田太一が好きというより、シナリオというカテゴリ-にひと頃ドはまりしておりました。繰り返し読んでいたのが山田太一、(ちょっとミーハ-ですが)倉本聰、市川森一です。
テレビで視た作品を読み返す楽しみもありますが、視たことのないシナリオをキャスティングも見ないようにし、なるべく先入観のない真っさらな状態で読むのも好きでした。
あら!?
山田太一的には「・・・知っていますか?」とすべきでした。
「・・・知ってるかい?」じゃ朝刊太郎ですね(笑)
今回、40年振りに「ふぞろい」を視聴してからシナリオを読んだので、脳内登場人物は全てテレビそのまま。他の役者さんは到底浮かんできませんでした。いつも困り顔の中井貴一、大人に翻弄される時任三郎、お調子者の柳沢慎吾。何より薄幸を絵に描いたような根岸、熱い漢・小林。そしてとにかく達者な佐々木すみ江。
改めて見直して感じたのは現在とコードの違いもあるでしょうが、かなり際どい描写や台詞。そこも含めて山田太一の魅力ですねぇ。
この年末始でNHKは若干追悼番組や再放送ありましたが、肝心のTBSは何をやっているんでしょうかねぇ~。何のしがらみがあるにせよ、改めてみたいドラマ多数です・・・