本釣亭日乗2

2022.7.22にt-cupブログの閉鎖に伴い2011.4月からの記事をこちらに引っ越してきました。

古本の香り・古本のおと

2023-12-15 01:38:44 | 


20231215


手に入れた古書に顔を近づけてみる。
やがて生まれて半世紀となる本たちの、過ごしてきた空間を想像する・・・



たばこの匂い


上質な紙の匂い


年寄りの匂い


そして、それらを練り上げた古書店の匂い・・・





昭和49年 草風社「伝円了」平野威馬雄


アウトローに生きた作家が著した、妖怪画の井上円了の伝記。



そして、箱から本を抜く。

程よい抵抗で本体を現す。

背表紙を手で叩くと密度の高い音がする。

頁をめくる音を何と表現する?

「ペラリ」ではない。

「サッ」でもない。「シュッ」でもない・・・

適当なオノマトペが見つからない。

「ㇹンシュッ」、「ポシュッ」と
繰ってみる。

奥付には著者検印の朱が立ちあがる。

有名な料理研究家の父であり、詩人、翻訳家。







青土社 ユリイカ昭和57年3月号 増頁特集つげ義春

文学とマンガの融合。

時を経ても彼を越える者は現れず・・・






昭和58年 潮出版社「ハリウッドの神話学」川本三郎

テレビの前に沈みゆくハリウッドを映し出した。

白っぽい頁には、裏頁の活字の印圧。

まるで点字のような手触りもノスタルジア・・・





昭和49年文藝春秋「草のつるぎ」野呂邦暢

そして、長崎の海の風・・・





12月2日、高円寺の西部古書会館「古書展」にて、〆て1620円也。

そして、その夜、オカタケ散歩忘年会にて「釣果発表」!!










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2 コメント

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Unknown (duo)
2023-12-16 08:33:17
かろうじてつげ義春だけはわかりましたが、それ以外の作家も本も知らないものばかりで歯が立ちません(涙)
学生の頃は私も、学校と飲み屋と古書店のトライアングルの中で生活していたようなものです。古書店の香り、よくわかります。残念ながら近くに古書を扱う店はブッ●オフしかなく、ウチ●さんのお話はとても懐かしいです。
古書店の持つ独特の雰囲気とは違いますが、最近は図書館を利用することが増えました。平日の図書館は、私の周りで一番「静謐」という言葉が似合う場所で、何とも言えないタマラナイものがあります。

>年寄りの匂い

わかりますww
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ありがとうございます。 (ウチ●)
2023-12-19 02:11:08
>duoさん

平日の昼下がり、図書館での静謐・・・羨ましい限りですね~。
また、学校と飲み屋と古書店のトライアングルってのも、モラトリアムな時代の無かった身としては憧れます。

私は今は専ら「ながら読み」です。電車、憚り、風呂、晩酌・・・いくらでも畳にひっくり返って読んでいられた頃が懐かしい!

野呂邦暢は1970年代に芥川賞受賞するも忘れ去られた存在でありましたが、近年、再評価の機運。

ちくま文庫で「野呂邦暢 古本屋写真集」、「愛についてのデッサン」いずれもオカタケ師匠の編で出版されてます。
師匠曰く「梶井基次郎の良質な継承者」。野呂の古本愛は相当なもので、「愛について・・」は今でいう古書ミステリー。「古本屋写真集」は生涯を諫早で書き続けた野呂が、上京の折に撮り溜めた貴重な古書店の写真をご遺族から縁あって託された師匠が纏め上げた労作です。

古書店は今や絶滅危惧種で、一昔前には近くに数軒ありましたが全滅。我が政令指定都市全体を見渡しても何と古書組合員として店舗営業してるのは3軒!!と、古い付き合いの古書店社長がため息交じりで教えてくれました。

川本三郎は初購入。近年読んだ本の何冊にも解説を書かれていて気になってました。
ウイキったら、中々に紆余曲折な方です!

ブコフも直営でなくFC店を見つけたら覗いてみてください。茶色っぽい本置いてたりしますよ~。
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