20231215
手に入れた古書に顔を近づけてみる。
やがて生まれて半世紀となる本たちの、過ごしてきた空間を想像する・・・
たばこの匂い
上質な紙の匂い
年寄りの匂い
そして、それらを練り上げた古書店の匂い・・・
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昭和49年 草風社「伝円了」平野威馬雄
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アウトローに生きた作家が著した、妖怪画の井上円了の伝記。
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そして、箱から本を抜く。
程よい抵抗で本体を現す。
背表紙を手で叩くと密度の高い音がする。
頁をめくる音を何と表現する?
「ペラリ」ではない。
「サッ」でもない。「シュッ」でもない・・・
適当なオノマトペが見つからない。
「ㇹンシュッ」、「ポシュッ」と
繰ってみる。
奥付には著者検印の朱が立ちあがる。
有名な料理研究家の父であり、詩人、翻訳家。
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青土社 ユリイカ昭和57年3月号 増頁特集つげ義春
文学とマンガの融合。
時を経ても彼を越える者は現れず・・・
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昭和58年 潮出版社「ハリウッドの神話学」川本三郎
テレビの前に沈みゆくハリウッドを映し出した。
白っぽい頁には、裏頁の活字の印圧。
まるで点字のような手触りもノスタルジア・・・
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昭和49年文藝春秋「草のつるぎ」野呂邦暢
そして、長崎の海の風・・・
12月2日、高円寺の西部古書会館「古書展」にて、〆て1620円也。
そして、その夜、オカタケ散歩忘年会にて「釣果発表」!!