ヤマアイは平安時代の「延喜式」にも記されている日本最古の染料植物の一つです。
飛鳥時代から行われていた「摺り染め」の染色技法では、このヤマアイは生葉を布に擦りつける
ことによって、緑色に染めていたと考えられます。
しかし日が経つにつれ黄褐色に変色するため、宮中では主に小忌衣(おみごろも)など儀式で一度限りの着用となる
衣料の染色などに使われてきました。
また京都では、天皇の御大典には、八幡の石清水八幡宮の境内の竹藪に生えるヤマアイが染料として
使われてきたといいます。
このように、日が経つと変色してしまうヤマアイが長く伝統行事に使われてきたのには、藍のような染料成分を含む植物が、
夏前後の一時期しか採取できないのに対して、この生葉は常時、濃い緑を保っているからでしょう。
ヤマアイという名前から、タデ科のアイやリュウキュウアイと混同されますが、藍の色素インディゴなどの染料成分は含んでいません。
ヤマアイ<トウダイグサ科 ヤマアイ属>