お庭の片隅の苔むした手水鉢の下の水琴窟から、ピコーン・ピコーンと心地よい音が聞こえます。ところで庭園名の荎草(さねかづら)はどこにあるかとお庫裡さんに聞きますと、ほおっておくと茂りすぎてお庭が台無しになってしまうので見えない庭の隅にあるとのことでした。
本堂前のお寺の掲示板に、荎草園について「広々と本堂の周辺一帯をめぐり古城跡東殿山を望むたたづまいなど、往時の雄大さは今忍ぶべくもない」とありました。かっては飛び石づたいに黄色いツワブキの花を見て木戸をくぐり回遊する池泉回遊式の大きな庭であったようです。
お座敷から最も素晴らしい景色を眺めることができるように、樹木や池などに加え、庭橋や石灯籠などを配した庭を「池泉鑑賞式庭園」と呼ぶことを知りました。広い座敷に座して静かにお庭を眺める贅沢を味わえる空間なのですね。