
来週の金曜日、8月3日、金曜ロードショーで「太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-」があります。
この映画は太平洋戦争の激戦地・サイパン島の闘いを日米双方の視点から描いたもので、私も以前映画館に観に行きました。
※当時書いたレビュー記事をご覧になる方は以下のURLからどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/since2007_1984/e/597113ebc043b79a4dc88004595b7d5e?fm=entry_awc
多くの方に観てもらいたい映画なので、金曜ロードショーで放送してくれるのはありがたいことですね。
やはり8月となると戦争について考える機会が多くなりますし。

この映画の主人公・大場栄大尉(竹野内豊)は生き残った47人の兵士たちと共に「玉砕」ではなく「一人でも多くの民間人の命を守りきる」ことを選びました。
玉砕が当たり前となりつつあった当時、珍しい決断だったのではと思います。
実話をもとに作られた映画でもあり、大場栄大尉のわずか47人の少ない兵力ながらも地形等を大いに生かして米兵を翻弄する知将ぶりに注目です。

また、この映画を観てレビューを描いた当時、私は誤解していることがありました。
あの時私は『当時の日本では「投降すると拷問されて殺される」ということが信じられていたため、投降するという選択肢はありませんでした。』と書いていましたが、これは投降すればきっと助けてもらえたはずだという思いから書いていました。
ところが色々調べていくうちに実際にはそうではなく、「投降すると拷問されて殺される」が真実であることに気付かされました。
以下、「ねずさんのひとりごと」のサイパンの玉砕戦(2)の記事より一部引用
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米軍は、拡声器をいくつもすえつけ、一日中、「米軍は虐待しません。米軍によってよい待遇が受けられます。みなさん投降してください」と呼びかけた。
しかし、その呼びかけを信じて洞窟から出てきた婦女子は、全員が素っ裸にされ、数台のトラックに積み込まれた。
「殺して!」「殺して!」の絶叫を残してトラックは走り去った。
滑走路に集った老人と子供の周りにはガソリンがまかれ、火がつけられた。
たちまち阿鼻叫喚のちまたと化した滑走路。
我慢ならず我兵が小銃射撃をしたが、米軍は全く無頓着に蛮行を続けた。
火から逃れようとする老人や子供を、米兵はゲラゲラ笑いながら火の中へ蹴り飛ばしたり、銃で突き飛ばして火の中へ投げ入れた。
二人の米兵は、草むらで泣いていた赤ん坊を見つけると、両足を持ってまっ二つに引き裂いて火中に投げ込んだ。
「ギャッ!」といふ悲鳴を残して蛙のように股裂きにされた日本の赤ん坊とそれを見て笑う米兵士。
こんなに優勢な戦闘にも拘らず、米軍は毒ガス弾(赤筒弾)攻撃まで仕掛けてきた。
マッピ岬では、岩の間に一本の青竹を渡し、それに裸にされて股から串さしにされた婦人を見た。
自分と同じ洞窟に居た兵士や住民が、五体をバラバラに切り刻まれて倒れているのを眼前に見た。
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綺麗ごとではどうにもならない、これが戦争というものの恐ろしさなんですね。
戦争映画でたまに聞く「鬼畜米英」という言葉は決して大げさな表現ではなかったのです。
やっていることは、まさに鬼畜。
このような状況下では簡単に投降など出来るはずもありません。
映画ではさすがにこんな凄まじい描写は出てきませんが、アメリカ兵が「メリークリスマス!!ジャップ!!」と叫びながら一般人の日本人が隠れている壕に手榴弾を投げ入れて容赦なく殺す場面がありました。
この凄まじい修羅場であったサイパンで、最後まで玉砕することなく512日間に渡って民間人の命を守ったのが大場栄大尉。
敵である米兵からも「フォックス(きつね)」と呼ばれ恐れと尊敬を集めるほどでした。
戦闘そのものよりも生きるための知略や人間ドラマ、命の尊さに重きを置いた映画であり、いかにして民間人の命を守るか、強い決意と信念を目の当たりにしました。
来週の金曜日、興味のある方はぜひご覧になってみてください。