読書日和

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東京オリンピックの医療ボランティアについて

2021-05-22 12:11:31 | ウェブ日記
今年の夏に開催する方針で準備が進められている東京オリンピック。
新型コロナウイルスの影響が依然として収まらず、本当に開催出来るのかと疑問視する声も聞かれます。

私は看護師などによる「医療ボランティア」についての方針に愕然としました。
元々人間に対して医療対応をする人をタダで働かせるつもりなのかの問題があるのに加えて、やはり新型コロナウイルスの影響が色濃い中では人数も集まらず、苦戦しているようです。
感染の脅威が高い大都市東京に行って、同じく感染の脅威がある人対人の医療対応をしたい人は思うようにはいないものだと思います。
そんな中、オリンピックの組織委員会が日本看護協会に看護師約500人の確保を要請したことが先月末に明らかになっています。

問題が二つあり、一つは「看護師の確保を要請」という方針です。
ボランティアとは本来、「報酬は出せないですが、もしご協力頂ける方がいたらよろしくお願いします」という募集を見た人が、参加するかどうかを自身で決められるものを言います。
ところが組織委員会は約500人という人数を決めて日本看護協会に確保の要請を出しています。
そういうのは「ボランティア」ではなくて「強制招集」と呼ぶのではないか?と私は思います。
私は言葉だけボランティアにして実態は半ば強引に動員して働かせるようなやり方は良くないと思います。
新型コロナウイルスの対応で、政府や知事などが補償金をたくさん払いたくないばかりに使う「自粛を要請」という言葉に通じるものがあります。
そちらも、自粛とは本来自身の意思で自主的に営業を取りやめることを言うのに、政府や知事からの「要請」になっています。
ただし形の上ではあくまで「自粛」なので、自身達の意思で休業したということで補償金も全額は支払われない状況になっています。

もう一つの問題は、菅義偉首相の認識です。
組織委員会が日本看護協会に医療ボランティアの確保を要請したことについて、「看護協会の中で現在、休んでいる方もたくさんいると聞いている。可能だと考えている」という認識を示しました。
私はこれを聞いて、率直にズレているなと思いました。
表面の理論だけを言っている印象があり、菅義偉首相としては「日本看護協会の認定有資格者の中には休職している人もたくさん居る。よってその人達にボランティアをして貰えばオリンピックは大丈夫」という理論なのだと思います。
しかし休職するからには育児や介護、激務で体調を壊したなどの理由があるものです。
その層の人達を狙って、しかも無報酬のボランティアで動員しようとするのはあまりに酷くないかと思いました。
物には「言い方」があり、こんな言い方をすれば反発を招くのを本人も認識しておらず、周りにも教えてくれる人がいないのかなと思いました。
これでは支持を失うと思います。

東京オリンピックの医療対応については、「ボランティア」のように言葉で誤魔化すのはやめにしたほうが良いと思います。
完全無報酬に本人が乗り気で参加する場合を「医療ボランティア」、完全無報酬に本人は反対だが偉い人に言われて強引に動員される場合を「医療強制無報酬従事者」、適切な報酬が支払われる場合を「医療従事者」のように、はっきり区分けするのが誠実な対応ではと思います。
汚いやり方の部分を全て「ボランティア」という綺麗に聞こえる言葉で誤魔化すようなオリンピックにならないことを願います。