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似顔絵(高峰秀子さん・「秀子の応援団長」 秀子) (portrait HIDEKO TAKAMINE)

昭和15年製作、というから高峰秀子さんも15歳。
まさに明朗なアイドル映画である。
プロ野球アトラス軍の監督を叔父に持つ女学生・秀子(役名も)が、
主戦投手を戦争に取られて苦戦する球団を、
応援歌を作って応援する、という映画。
なんだかプロ野球というより、町のチームでも応援するかのようなのどかな設定。
そのアトラス軍で孤軍奮闘する先発ピッチャー・人丸を
後の大歌手、ハワイ出身の灰田勝彦が演じている。
全体に他愛ない、といえばその通りだが、ほほえましい映画である。
特に時折見せる高峰さんのコメディエンヌ的演技が見もの。
灰田勝彦が練習後の球場で夕空を見上げながら歌う「燦(きら)めく星座」がなかなか良い。
後年の歌唱と違って、あっさりした中にうまさがある。

男純情の 愛の星の色
冴えて夜空に唯一つ あふれる想い
春を呼んでは夢見ては うれしく輝くよ
思い込んだら命がけ 男の心
燃える希望だ憧れだ 燦めく金の星

さてアトラス軍は、最後に巨人軍と優勝をかけた一戦を行うのだが、
応援団長の秀子は、親に外出を厳禁されてしまって見に行けない。
ラジオで中継を聴きながらやきもきしているのだが、
いよいよアトラス軍のピンチ、マウンド上の人丸投手が懸命に投げる中、
秀子の作った応援歌が、球場に流れ出す。
それをイラストに描いたような表情で聴き入る秀子。
この場面のカメラアイが素晴らしい。モノクロ映画ならではである。
ついに決然と家を飛び出して行く秀子。
試合終了までに球場に辿りつけるか・・・

この映画はVHSにしかなっておらず、DVDにして欲しいと思う。
VHSで出ている古い映画の多くがDVDでは見放されている。
コンテンツだなんだと言う癖に、映像の保存に全く無頓着なのが、この国と企業の常である。
VHSデッキがなくなったら、こういう映像も見られなくなる。
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