里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヤマトリカブト 十三浜の林道

2017-03-24 | 日記

石巻市北上町十三浜地区の海沿いの林道を、小滝漁港方向へ歩いていると、
路傍の草藪に青い花が見えます。秋も深まってきたのでリンドウの花が咲いたか、
と寄ってみるとトリカブトの花です。ここは標高20mほどの場所ですから、ヤマトリカブト
でしょうか。10日前の暴風雨にやられたのか、葉はかなり傷んでいますが、幸いな
ことに花は無傷です。その際はツボミの状態で凌いだのでしょう。

今シーズンの山歩きでは全く見られなかったのに、海岸近くで見つけるとは私も
ビックリです。「花運」が良いのでしょうね。
秋の花の深い青紫色は私の最も好きな色ですから、見つけた喜びもひとしおです。




                            二枚とも2015.10.12撮影

「トリカブト殺人事件」というのがあったのをご記憶だろうか。
昭和61年5月、友人たちと石垣島ツアーに行く妻Rは、那覇空港で夫Kと別れた。
妻Rは友人たちと石垣島に着いた途端、手足のしびれ、発汗、嘔吐などを訴え、救急
搬送された病院で亡くなった。病院では死因が確定できず警察に連絡、警察は
直ちに司解剖を行い、急性心筋梗塞と診断した。

Kは仙台市出身で当時は大阪在住。
石垣島で亡くなったのは三人目の妻で、前の妻二人も心不全等で亡くなっている。
そして妻Rには総額1億8500万円の保険金が掛けられていた。
Kは保険会社に保険金支払い請求を行ったが、保険会社側は死亡には疑義があると
して支払いを拒否し、民事裁判となった。
石垣島で司法解剖した医師が、念のため妻Rの臓器や血液を保存していた。
これを大学病院で分析した結果、「トリカブト毒による中毒死である」ことが判明した。

これを裏付けるように、福島県の植物店の主人から「Kにトリカブトを何十鉢も販売
したことがある」と警察に連絡があった。
Kはトリカブトの毒は即効性があり、妻Rと別れてから「2時間後」に急死することは
ありえないと主張した。しかし、その後の調査で遅効性のあるフグの毒を、トリカブトの
毒に相乗させることで時間調整が可能であるということが判明した。
また、妻RはKから滋養強壮剤をもらったと言って、しばしば友人の前でカプセルを
飲んでいた。トリカブト毒をカプセルに入れて飲ませると、毒が体にまわるまで、
2時間前後かかるであろうことが解明された。

平成3年7月、Kは殺人と詐欺未遂の容疑で逮捕され、平成12年2月最高裁
にて無期懲役刑が確定した。
平成24年11月、Kは大阪医療刑務所にて病死、73歳だった。


                                2015.10.12撮影

キンポウゲ科トリカブト属の多年草で、本州の東北地方~中部地方に分布する。
低地の草地や山地の林縁など、やや湿ったところに自生し、草丈は1mほど。
根茎は白く、ニンジンのような紡錘形をしている。
葉は互生し、葉身は円心形で3~5深裂して掌状、葉表にはやや光沢がある。
裂片の縁には粗い鋸葉がある。
花期は8~10月で、茎上部の葉腋から散房花序を出し、鮮やかな青紫色の花を
多数付ける。 花の形は兜形で長さ3~4.5cm、
花の形が舞楽で頭にかぶる鳥兜に似ているので、この名前が付いた。
花びらのように見えるのは5枚の萼片である。花弁は上萼片の中に隠されている。
花弁は1対、距があって、ここから蜜が分泌される。
果実は細長い筒状の袋果で、先端に角状突起があり、長さ2.5cmほど。
長さ3.5mmほどの種子が多数入る。
全草が有毒だが、根茎が最も毒の含有率が高いといわれる。成分はアルカロイド毒の
アコニチンやメサコニチンで、摂取による死亡例もある。



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