里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

イタチハギ 黒紫色の花

2018-06-04 | 日記
栗原市金成姉歯地区の、切通状になった車道を走行していると、法面に黒紫色の
花穂が幾つも咲いているのが見えます。イタチハギの花が咲き始めたのでしょう。
脇道の入り口あたりに車を入れ、少し戻って撮影しました。

イタチハギは道路の法面にたくさん植えられています。
法面の土壌浸食を防ぐ目的で植えられたもので、北アメリカ原産の帰化植物です。
持ち込まれたのは大正時代と言われていますが、土木工事に伴う法面緑化に盛んに用い
られるようになったのは戦後のこと。
種子を配合した、液状の基材の吹き付けにより播種されます。




                              二枚とも2018.6.3撮影

和名の由来は、穂状花序がイタチの尾のような形をしていることから。
また、黒紫色の花弁を持つことから、クロバナエンジュという別名もあります。

法面緑化用樹種として盛んに利用されましたが、濃密に枝葉が茂ることから、他の樹種がその株立
の中に入り込めず、いつまでもイタチハギの純林が維持され、在来種との混生が難しいようです。
また、その樹形から道路側に大きく枝を張り、夏場に運転の視界を妨げることもあって、道路管理
のために路肩の刈払いを実施するなど、道路管理上の問題も生じています。

さらに霧ヶ峰や白山などの山岳道路において、強健な性質と耐寒性もあることから、在来植物を圧迫
しており、伐採するなどの対策がとられています。
今ではいかに伐採するか、駆除するかで頭を悩ます存在になっているようです。


                                  2018.6.3撮影

マメ科イタチハギ属の落葉広葉樹で、樹高2〜5mの低木。原産地は北アメリカで、我国へ持ち
込まれたのは大正時代。現在では道路法面の緑化や砂防用に、ほぼ全国的に植栽されている。
地際から多くの枝を伸ばし、株立樹形となる。樹皮は灰褐色で、細かい皮目がある。
葉は互生し、長さ10〜30cmの奇数羽状複葉で、小葉が5対~10対付く。
小葉は長楕円形で長さ1~4cm、全縁で裏面に腺点がある。
花期は5〜6月、枝先に長さ6〜20cmの穂状花序を数個伸ばし、長さ8mmほどの黒紫色の花を多数
付ける。花弁は旗弁のみで、翼弁と竜骨弁は退化している。旗弁は黒紫色、雌しべ雄しべとも花弁
から突き出し、橙色の葯が目立つ。
果実は豆果。長さは1cmほどで、中に1種子を入れ、裂開しない。表面にはイボ状の突起がある。
種子は豆形で長さ5mmほど。



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