気仙沼市本吉町山田地区北部、沢沿いの林道を緩やかに上がって行くと、道下に5~6枚
の耕作放棄田が続いています。道を挟んだ東側の山裾に、ちょっとした平坦地があって杉
林になっています。杉林際に細い作業道があるので休憩すべく入って行くと、上手の林際
に紅紫色の花が群れ咲いています。これは、よく民家の庭などに植えられているシュウメ
イギクですね。道下の田んぼが耕されていた頃には農小屋でもあって、周りにシュウメイ
ギクが植えられていたのでしょうか。この植物は地下茎で増えるので、今も林に沿って株
数を増やしているように見えます。
二枚とも2020.10.15撮影
シュウメイギクは中国原産の帰化植物で、鎌倉~室町時代初期に中国へ渡航した修行僧が
我国へ持ち帰ったと言われています。このシュウメイギクは紅紫色の八重咲種で、寺院や
庭園などで観賞用に植栽されたようです。それが野に逸出し、京都の貴船地方に多く咲い
ていたことから、貴船菊の別名もあります。
現在では一重咲きの紅紫色・淡紅色・白色なども見られますが、これらはヨーロッパで品
種改良されたもので、シュウメイギクとタイワンシュウメイギクを交配して作り出された
ものです。ただ、園芸界では原種や改良種も含めて、シュウメイギクと総称されています。
二枚とも2020.10.15撮影
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、原産地は中国。我国へは鎌倉~室町時代初期に
渡来したとされる。現在では本州~九州で野生化している。草丈は50~80cm。
地下茎を伸ばし、随所から不定芽を出して殖え、しばしば群生する。
根生葉は毛の密生した長い葉柄があって3出複葉、 小葉は3~5裂し、鋸歯がある。
茎葉は柄が短いかほとんどない3出複葉で、 2~3輪生し、上部のものは小さい。
花期は9~11月、茎上部で分枝し、枝先に直径5~6cmの紅紫色の花を咲かせる。
花弁に見えるのは萼片で20~30個付く。外側の萼片は厚く、淡緑色を帯びるが、内側の
萼片が開くにつれて脱落する。
雄しべは多数、葯は黄色。雌しべも多数、中央に丸く集まる。
果実は痩果だが、種子は稔らない。
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