里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

トウゲシバ 常緑性羊歯

2018-11-24 | 日記
栗原市栗駒鳥沢地区北西部、丘陵地の荒れた林道をゆるやかに下って行くと、林道内
にモミの木のミニチュアのような植物を見つけました。
これは常緑性羊歯植物のトウゲシバでしょう。1群見つけるとあっちにもこっちにも点々と
生えていて、全体としてはかなりの株数になります。

トウゲシバは地際で茎を分岐させて、数本が斜上~直立して株立ち状になります。
アップした写真程度の茎の本数ですと1株だけなのかも知れません。ここのトウゲシバは草丈
が低く、茎の本数も少なめで若い株が多く、比較的新しい自生地と推測します。




                             二枚とも2018.11.16撮影

トウゲシバは生薬名を千層塔(せんそうとう)といい、中国では古来より止血・消炎・ 解毒等に
用いられてきました。日本ではあまり利用されなかったようです。
近年、アメリカにおける科学的な研究の結果、脳の働きを活性化するとして、トウゲシバに含ま
れるアルカロイド成分のヒューペルジンAが注目されているそうです。
この成分には脳内の神経伝達物質の一つである、アセチルコリンの分解酵素の働きを阻害する働き
があることが確認されていて、以下の効果が期待されているとのこと。
•脳梗塞・老衰による初老期認知症の軽減効果。
•アルツハイマー患者の認識機能の改善効果。


                                 2018.11.16撮影

ヒカゲノカズラ科トウゲシバ属の常緑性羊歯植物で、日本全土に分布し、草丈は10~20cm。
丘陵地~山地の針葉樹林の林縁や、谷斜面などのやや湿った場所に自生する。
茎は斜上する基部から分枝して数本が直立し、高さ10~20cm。茎の周囲には葉を円柱状に密生する。
葉は倒披針形~長楕円状披針形で長さ1〜2cm、先端は尖り、縁に不整な鋭鋸歯がある。
葉質は薄い革質で深緑色、下部は短い葉柄となる。
胞子嚢は大きく、上部の葉腋に1個ずつ生じ、腎円形で黄白色、横に裂けて黄色の胞子を出す。
ややまれに茎の頂端に無性芽を生じ、これが落ちて新植物となる。


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