栗原市栗駒沼倉地区、車道から分かれて林道に入ると、左手に岩山が見えてきました。
地形図から急峻な山があることは判っていましたが、落葉樹林に遮られ山容を見たことはあ
りませんでした。直下から見上げると、険しい岩壁が続いていて、山裾には崩れ落ちた岩礫
が積み上がって、崖錐をなしています。岩質は安山岩か、安山岩質の凝灰岩のようです。
崖錐を登って岩壁下部まで上がると、東面にはイワイタチシダくらいしか生えていませんで
したが、北面へ回り込むと、コケの中に生えているごく小さな羊歯を見つけました。
濃緑色の羊歯で、葉質はフィルムのように薄く、小さな海藻のような印象です。
羊歯植物図鑑で見たような・・たぶん「コケシノブ」か、その仲間でしょう。
二枚とも2019.12.30撮影
羊歯植物図鑑やネット記事を見ると、コケシノブ科のコケシノブで間違いないようです。
西日本では多くの府県が、絶滅危惧種に指定している希少な羊歯です。
下に参考にさせてもらった「しださがし コケシノブ」の写真を張り付けます。
コケシノブが着生していたのは北向きの岩壁下部で、コケに混じって群生していました。
岩壁の上の方には全く生えておらず、たぶんそこは広葉樹の葉陰より上に出てしまい、乾燥
しやすいのを嫌ったものと推測されます。
「しださがし コケシノブより」
二枚とも2019.12.30撮影
コケシノブ科コケシノブ属の小型の常緑性羊歯植物で、北海道~九州 に分布する。
低山~山地のやや湿った岩壁や、樹幹のコケの中に生え、マット状に群生することが多い。
根茎は長く横走し、不規則に分枝し、先端には褐色で多細胞の毛を付けるが早落性。
古い部分は暗褐色~黒色で針金状。草丈は3~6cm。
葉柄は短く、長さ0.7~2.5cm、基部に褐色の毛を付けることがあるが、他は無毛。
最上部を除いて翼はない。
葉身は2~3回羽状に分岐し、卵状長楕円形~3角状卵形、鋭頭~円頭、長さ2~5cm、
ふつう無毛だが、2~3細胞性の半透明で顕微鏡的な毛が疎らに付くこともある。
裂片は軸に対して30~45度と鋭角的に付き、やや長く伸びて黒褐色の軸が目立つ。
葉は暗緑色、細胞膜は薄い。胞子嚢群(ソーラス)は裂片に頂生する。
苞膜は2弁状で基部ちかくまで裂け、3角状卵形、胞子嚢床は棍棒状で苞膜より短い。
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