里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

キササゲ 長い鞘状の果実 

2017-03-25 | 日記

一関市弥栄地区の北ノ沢川沿いで見かけた、キササゲの実です。
名前にササゲが付きますから、豆に似た長い鞘状の果実で、中に多くの種子が入って
います。初夏の花がきれいなようで、民家の庭先や街路に植えられているのは見ますが、
山野に自生しているのは初めて見ました。
その全てが川沿いで、空地に一本、道路法面に一本、川端に四本。
他では見ませんでしたから、川沿いを好む樹種と思われます。

キササゲは日本の在来種ではなく、中国南部が原産地で、我国に持ち込まれたのは
奈良時代か、それ以前と言われています。
長年の間に日本の気候に順応して野生化し、今では東北・北海道にも分布しています。




                             二枚とも2015.8.28撮影

キササゲの根皮と果実には薬効があります。
漢方ではキササゲの根皮を梓白皮(しはくひ)といい、有効成分はフェルラ酸、イソ
フェルラ酸。夏に根を掘り採って皮をはぎ、天日で乾燥させます。
この煎じ液を皮膚のかゆみやできものなどに塗布します。

キササゲの実は漢方で梓実(しじつ)といい、有効成分はカタルピン、オキシレン酸、
プロトカテキン酸。初秋の未熟な実を採取し、2~3cmに刻んで乾燥させます。
非常に利尿作用が強く、腎炎やネフローゼによる顕著なむくみや、蛋白尿をおこした
ときに煎じて服用します。


                                 2015.8.28撮影

ノウゼンカズラ科キササゲ属の落葉広葉樹で、樹高5-15mの高木。
中国南部原産で、奈良時代の頃に渡来した帰化植物。今では日本全土に分布する。
古くから植栽されたため山野に逸出し、日当たりのよい川岸などに野生化している。
樹皮は灰褐色で円形の皮目が多く、成木では縦に浅く裂ける。
葉は対生し、葉身はやや三角形状の広卵形で、長さ10~25cm、幅7~20cm、
浅く3~5裂し、先端は短く尖り、縁に鋸歯はない。
基部は心形で、葉柄の長さは5~20cm。
花期は6~7月で、枝先に長さ10~25cmの円錐花序をだし、黄白色の花を多数つける。
花冠は長さ2~3cmの漏斗形、上部は5裂しやや唇形、内側には濃紫色の斑点がある。
雄しべは5個、花柱(雌しべ)は雄しべと同長で、柱頭は2裂する。
果実は蒴果で、長さ30~40cm、幅5mmほどの線形、果序の軸から垂れ下がる。
果実は落葉後も長く枝に残る。
種子は長さ8~10mmの扁平な長楕円形、両端に長い毛が密生し、風で散布される。



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