福島県新地町福田地区、三滝川に沿った県道を西へ上がって行くと、小さな自然公園
があって、その周囲の藪や川沿いに、ウツギの花が咲き始めていました。
かつて小学校の音楽で「夏は来ぬ」という唱歌を歌いましたが、それに歌われているのが
「卯の花」で、白いウツギ花のことなんです。
「 ♪ 卯の花のにおう垣根に ほととぎすはやも来鳴きて しのび音(ね)もらす夏は来ぬ 」
ウツギを漢字表記すると空木となり、それは茎が中空であることからの命名です。
二枚とも2017.6.10撮影
高級な和家具や細工物に用いられるのが木釘(きくぎ)で、多くがウツギの木から作られます。
木釘を打ってからも鉋掛けが出来、仕上りが美しく錆が出ないことから、今でも高級な和家具や
細工物には用いられているようです。
ウツギは材質が硬く粘りがあるため、木釘や楊枝などに用いられてきました。
ウツギの木を細く断ち割リ、必要とする寸法に削ります。これを米糠と一緒に弱火でじっくり
炒ってつくりますが、そうすることで水分がよく抜けて木が引き締まり、同時に糠の油がしみ
込んで釘が丈夫になるのだそうです。
2017.6.10撮影
ユキノシタ科ウツギ属の落葉広葉樹で、樹高2mほどの低木。
日本全土に分布し、日当たりのよい山野の、川沿いや林縁に自生する。
樹皮は灰褐色、短冊状にはがれる。枝は暗褐色、若枝は赤褐色で星状毛がある。
葉は対生し、葉身は楕円形〜卵状披針形で長さ4〜9cm。先端は長く尖る。基部は円形〜くさび形。
縁には微細な鋸歯がある。質はやや厚く、表裏とも星状毛が生えてざらつく。葉柄は長さ3mmほど。
花期は5〜7月で、枝先に円錐花序を多数出し、白色の花を多数下向きにつける。
花弁は5個、長さ1〜1.2cmの長楕円形倒披針形。雄しべは10個。花弁よりやや短い。
花柱は3〜4個、花弁とほぼ同長。萼筒は短い鐘形で長さ2.5mmほど、萼片は5個、ともに灰白色
を帯びる。花柄は長さ3mmほど。
果実はさく果。直径4〜6mmの椀形で、先端はやや窪み、花柱が残る。
種子は褐色、長さ2.5mmほどの長楕円形で、片方に膜質の翼がある。
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