里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

トゲチシャ 捩れた茎葉 

2023-06-17 | 日記

涌谷町南部の国道交差点、赤信号で止まったときに、ふと道路脇の植物を見ると、茎葉が
捩れて縦になっているように見えます。交差点を過ぎてから横道に車を入れ、数百メート
ル戻って確認すると、その植物はノゲシに似ているものの、茎葉が基部で90度捩れている
ため縦に付いています。また茎の下部や、葉裏の葉脈に多数の鋭いトゲが生えています。
他にも生えていないか国道沿いを探すと、交差点の前後100mほどの範囲にのみ20株ほど
生えていました。今まで見たことの無い植物なので、比較的新しい外来種と思われます。

ノゲシはキク科ですから「キク科 外来種 茎葉 捩れ」と検索しましたが、それらしい
植物に行き着きません。今度はトゲに注目し「キク科 ノゲシ属 外来種 トゲ」で検索
し、表示された写真を見ると『トゲチシャ』という植物が載っていて、私の写真の植物に
よく似ています。改めてトゲチシャで検索し、解説文を読むと各部位の特徴も合致します。

                             二枚とも2023.6.14撮影

トゲチシャはヨーロッパ原産の帰化植物で、1949年に北海道で初めて確認されたようです。
ノゲシの仲間ですから種子には冠毛が付いていますが、飛散しづらいのか分布域が南下す
るのに年月がかかり、現在でも近畿~中国地方止まりのようです。
幹線道路沿いや駅近くにより多く見られ、それは自動車や列車に種子が引っ付いて、その
沿道に広がっているということでしょうか。或いは、これらの場所にはコンクリートが用
いられていることが多く、それで土がアルカリ性になり、それを好むトゲチシャが生える
ということかも知れませんね。

トゲチシャの大きめな茎葉の多くが、葉の基部で90度捻れて縦になっています。
これはより多くの陽光を受け、積極的に光合成を行うための変化と言われています。
トゲチシャの葉表が南を向くことで、アメリカでは’compass plant'(羅針盤植物)とも呼ば
れるようです。なお、多くの株では葉が羽状に切れ込んでいますが、少数の株では葉の切
れ込みがありません。これを区別してマルバトゲチシャとする分類もあるようです。

                             二枚とも2023.6.14撮影

キク科アキノノゲシ属の1~2年草で、ヨーロッパ原産の帰化植物。草丈は100〜200cm。
道端や荒地に生えるが、特に駅近くの交差点や、交通量の多い道路沿いに多い。
茎は直立し、赤色を帯び、下部には長い刺が生える。
根出葉はロゼット状に展開し、葉身は倒長卵形で長さ14cm、羽状に切れ込む。下部の茎葉
は倒披針形〜挟楕円形で長さ3〜7.5cm、頭大羽状に中〜深裂し、刺状の鋸歯があり、葉脈
が白く目立つ。葉裏の中央脈に、1列に刺が並ぶのが特徴。無柄で基部は茎を抱くが、基
部がねじれて、葉身が垂直になり、葉表が南に向く。
花期は8〜9月、茎の上部で多くの枝を出し、茎頂や枝先に円錐花序を出し、多数の頭花
をつける。頭花は黄白色で直径約1cmほど、長さ1cmほどの舌状花のみからなる。
舌状花の先は浅く5裂する。総苞は3~4列。
果実は痩果で、タンポポに似て長さ4.5mmほどの細長い嘴があり、長さは7mmほど。
冠毛は白色で長さ4~5mm。



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