9月上旬のこと。一関市花泉町日形地区北部、丘陵上の集落から細い山道を下っていると、
松の混じった雑木林内で、ちょっと変わったスミレの根生葉を見つけました。
すぐには種が判らず、しばらく保留にしていましたが、室内で過ごす時間が増えたので改
めて調べてみました。
この自生地は標高50mほどの地点で、山道のあちこちに赤土が露出しています。
スミレが生えていたのは松の樹下やその周辺の数ヶ所で、30mほどの範囲に散生していま
した。私が確認した株数は50株ほどですね。
二枚とも2020.9.3撮影
地上茎の無いタイプのスミレのようで、葉の形はヒナスミレに似ています。
「スミレ ハンドブック」でヒナスミレを検索し、その前後のページをめくって、よく似
たスミレを探してみましょう。
私の写真によく似たスミレに「フモトスミレ」があり、葉身はヒナスミレより一回り小さ
く、葉表は暗緑色、葉裏は赤紫色を帯びるものが多いとあります。
分布域も岩手県以南の太平洋側とありますから、フモトスミレで間違いないでしょう。
2020.9.3撮影
スミレ科スミレ属の多年草で、岩手県以南の本州~九州に分布し、草丈は4~7cm。
丘陵~山地のやや乾いた樹林内や林縁、ときに草地に自生する。地上茎の無いタイプ。
葉は根生し、葉身は卵形~広卵形で長さ1~3cm、先端は鋭頭~鈍頭、基部は心形。
葉縁には低い鋸歯がある。葉表は暗緑色で、脈に沿って白斑が入るものがある。
裏面は赤紫色を帯びることが多い。葉柄は長めで長さ2~5cm、ヒレはない。
花期は4~5月、長さ4~7cmの花柄の先に、直径1cmほどの白花を付ける。
唇弁の先はふつう尖り、他の弁より短く、紫色~赤紫色の条線が入る。側弁の基部は有毛。
距は短く長さ2~3mm、紫色を帯びる。萼片は広披針形。
果実は蒴果で、熟すと3裂して種子を飛ばす。
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