里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ツチアケビ 寄生ラン

2017-03-03 | 日記
栗駒沼倉地区の林道を2kmほど入ると、山側の斜面がスプーンですくったような
なだらかな窪地になっていて、そこを作業道が上がっています。
一帯は杉林ですが、適宜間伐されているため予想外に明るく、林床にはスゲの
仲間やシダが生い茂り、所々にクマザサが群落をつくっています。
作業道を少し上がると、クマザサの間から淡褐色の何かが見えます。
クマザサをかき分けて確認すると、ツチアケビが一株だけ咲いていました。




                             二枚とも2016.7.25撮影

ツチアゲビの地上部は全体が淡褐色で、一枚の葉も付いておらず、緑色の部分は
全くありません。それは葉緑素を持たないからで、そのため自らは光合成で栄養を作り
出すことはできませんが、今も花を咲かせていますから、どこからか栄養を得ている
はずです。ツチアゲビは土中のナラタケ菌から、栄養を得ていると言われています。

ナラタケ属は針金状の菌糸束を地中に伸ばして、栄養となる樹木や枯れ木を探します。
細い根のような菌糸束がツチアケビの太い根にとりついて、栄養を摂ろうとします。
ところがツチアケビは、逆に菌糸束を通じてナラタケ属から栄養を奪うのだそうです。
つまり、ナラタケ属に寄生しているんですね。


                                 2016.7.25撮影

ラン科ツチアケビ属の多年草で、北海道~沖縄に分布する。
山地のやや湿気のある、落葉樹林下や笹の群落中に自生し、草丈は30~100cm。
和名は果実の形がアケビに似ていて、直に土から生えているところから付けられた。
根茎は分枝してほぼ横に這い、直径1~2cm、卵形の鱗片をわずかに付ける。
茎は赤褐色で直立し、上半分は短い銹色の綿毛が密にある。
花期は6~7月で、茎上部は分枝して総状花序となる。
花序は頂生又は側生し、側総状花序は長さ3~7cm、花を4~9個付ける。
花序の基部には長さ1.5~2.5cmの卵状披針形の苞を数個付ける。
花は黄色で、薄く赤褐色に汚れる。萼片は楕円状卵形で長さ2cmほど。側花弁は萼片
に似ていて、わずかに幅が狭く、無毛。唇弁はほぼ広卵形で黄色、萼片より短い。
果実の形はアケビよりはバナナに近く、血赤色で肉質、長さ7~13cm、直径1.5~2.5cm、
熟しても裂開しない。中には密に種子が入る。種子は卵形で、長さ0.7~0.9mm。


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