仙北平野のほぼ中央に、東西に長々と横たわる箟岳・加護坊丘陵は標高200mほど。
凡そ600万年前の海底火山活動で基盤が形成され、噴出した安山岩上に砂や泥が
積もって堆積岩となり、やがて、これらを載せたまま隆起して、いま見るなだらかな
山容が形成されたものと推定されています。
丘陵上にある涌谷町の成沢集落へは、南麓の大崩集落から町道が上がっています。
舗装されているものの、山谷の地形なりに屈曲したり、岩壁が続く大変な道です。
ここの岩壁は前述した堆積岩からなっていますが、浅海に堆積したことや地質年代が
新しいことなどから、殆どがやわらかな砂岩や凝灰岩です。
そんな岩壁なら各種羊歯植物が着生しているだろうと、町道沿いを踏査しました。
二枚とも2015.12.2撮影
やわらかい堆積岩ゆえ風化しやすく、その細粒が草木の根やコケに留まり、或いは
岩壁の割目や窪みに積もり、着生する羊歯類の苗床のようになっています。
そんな岩壁で最初に見つけたのがミツデウラボシです。
大和町宮床地区の岩壁では、小さな楕円葉しか見つけられませんでしたが、この岩壁
では長さ5cm以上に生長しています。
葉の向きが揃っていますから、まるで小川を遡る小魚の群れのように見えます。
さらに探すと、岩壁の上部にきれいな三つ手になった株が見つかりました。
このように完全な三つ手は、写真以外では初めて見ました。
最下段の写真はミツデウラボシのソーラス(胞子嚢)です。
確かに、葉裏にホシのごとく並んでいますね。
「星」と書くと夜空の星を思い浮かべますが、方言などで聞く「ホシ」はホクロとか
シミのことを指しているように感じます。この場合のホシもホクロでしょうね。
二枚とも2015.12.2撮影
ウラボシ科ミツデウラボシ属の常緑性羊歯植物で、日本全土に分布する。
山地の岩場や低地の石垣などに着生する。
根茎は葉柄にくらべて太く、横に這って茶褐色の鱗片を密生する。
葉柄は細い針金状で光沢があり、長さ4~15cm。
葉身は発達の良いものは三裂し、中央の裂片が最も大きく、長さ5~15cm、
幅1.5~3cm、披針形で先は細くなって尖る。
貧栄養の岩壁や北国では、未発達の楕円葉が多い。
葉表は少しくすんだ緑色、葉裏は緑白色で葉脈は明瞭。
ソーラスは円形で中肋寄りに並ぶ。
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