なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

クローン病

2025年01月10日 | 消化器疾患

 1月6日(月)に、深夜から嘔吐と腹痛が続く20歳代後半の女性から受診希望の連絡が入った。大学病院にクローン病で通院しているということだった。

 当院でクローン病は扱えないので、大学病院に直接行ってもらうのがいいのだが、症状があってちょっと遠いか。いったん当院に来てもらうことにした。

 

 受診したわかったのは、治療中断していたことだった。15歳からクローン病で大学病院消化器内科に通院していて、レミケード注を3週おきにしていた。小腸型のクローン病で、手術歴(小腸を30㎝切除)もあり、小腸に狭窄部があるといわれていた。3年前に出産したが、その後は通院を中断している。

 その後症状がなかったのか訊くと、年に1回くらい腹痛はあったが、長くは続かなかったという。発熱・血便もなかったそうだ。

 その日の午前0時過ぎから嘔吐が5回あり、腹痛も続いていたが、受診した時には一番腹痛が強い時よりは軽減していた。発熱はなく、腹部は平坦・軟で圧痛は臍部周囲(特に右側)に軽度にあった。腹膜刺激症状ありとはいえない。

 生理が1か月以上ないというので、点滴・鎮痛薬(アセリオ1000mg注)と血液・尿検査(妊娠反応を含む)を提出した。妊娠反応は陰性だった。白血球11600・CRP0.4と急性期の炎症像だった。

 腹部単純X線ではニボー様の腸管ガス像がある。腹部所見と遊離ガスがないことから腸管穿孔はない。

 その後腹部造影CTを行うと、小腸の拡張・消化液貯留があり、一部に狭窄を疑う所見がある。腹水も軽度だがあった。

 アセリオ注で腹痛は軽快して、嘔気も治まっていた(検査をして午後4時になっていた)。子供を預けてきているので早く帰りたいという。食事摂取すると、症状が再燃しそうだ。

 大学病院消化器内科の予約をとってもらうと、幸いに2日後にとれた。(数週間後になる時は、直接大腸グループの先生に連絡するつもりだった。クローン病で治療中断、と伝えてもらったのが効いたのかもしれない。)

 患者さんにはこのままにしておくと、穿孔や腸閉塞で長期入院になる可能性があり、今なら外来治療でいけるかもしれないので、必ず受診するよう伝えた。診療情報提供書と画像のCDを持たせた。

 翌日も症状が続く時は受診するよう伝えたが、受診していない。(カロナール500mg3錠分3とドンペリドン10mg3錠分3は処方していたが、ゼリー状の栄養剤で経過をみるようにしたのが効いた?)多分無事に翌々日大学病院を受診したのだろう。

 病状が安定していれば、地域の基幹病院には大腸グループ(炎症性腸疾患の研究グループ)出身の先生がいるので、大学病院からそちらに紹介してもらえるかもしれない、とも伝えた。

 当院の消化器科医にもCTを診てもらって相談したが、「当院では無理」とはっきりいわれた(まあそうでしょう)。

 

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肝硬変・自己免疫性肝炎

2025年01月03日 | 消化器疾患

 12月26日(木)に転倒による骨盤骨折(左恥骨骨折・坐骨骨折)の91歳女性が、地域の基幹病院整形外科から当院のリハビリ病棟に転院してきた。

 担当は整形外科医だが、内科疾患の管理は内科ですることになっている。大抵は高血圧症・糖尿病くらいだが、この患者さんは自己免疫性肝炎からの肝硬変がある。

 肝硬変は基幹病院の消化器内科に通院していた。処方はプレドニン5mg2錠分1・ウルソ100mg6錠分3・リフキシマ200mg6錠分3・リーバクト3包分3・ラグノスNF経口ゼリー3包分3と本格的な肝硬変・自己免疫性肝炎の処方になっている。

 糖尿病もあり、こちらは市内のクリニックに通院していた。今回の入院で夜間せん妄の処方も追加されていた(ロゼレム、デエビゴ、トラゾドンで精神科の処方)。

 消化器内科の診療情報提供書によると、消化器内科で診始めたのは2024年6月とある。血液内科で自己免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)で診ていて、その精査中に肝硬変を指摘されたそうだ。

 そもそもITPでいいのか、肝硬変としての血小板減少なのか、記載されていないのでよくわからない。自己免疫性肝炎はずっと放置されて、肝硬変になってから診断されたということらしい。

 2023年10月に市内のクリニックから当院内科に食欲不振・浮腫で紹介されて1か月弱入院していた。脱水症による腎前性腎不全を呈していたが、点滴などで回復して退院している。入院時に軽度の肝障害を認めているが、その後軽快したので担当医は肝疾患とは認識していなかったようだ。その時の胸腹部CTを見ると、肝硬変・脾腫がある(後からだと何とでもいえるが)。

 ここ数年で、原発性胆汁性肝硬変になってから診断がついた高齢女性が2名いた。自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎が気づかれないまま進行して肝硬変になってから診断されることもあるということ。

 

 

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アルコール性肝硬変、多臓器不全

2024年12月10日 | 消化器疾患

 12月6日(金)の午後に救急室を通ると、黄疸の痩せた男性がストレッチャーに横たわっていた。その日の救急は大学病院から来ている先生(非常勤の外科医)で、当方は入院時の当番になっていた。検査結果待ちで入院を依頼されるのかと思ったが、違っていた。

 患者さんは50歳代後半の男性で、10月末から消化器科の外来に数回通院していた。アルコール性肝硬変だったが、飲酒は続いていた。ふだんは缶酎ハイ2Lほど飲むらしいが、体調不良で飲酒量は減少していた。

 昨年消化器センターのある専門病院で食道癌のESD(内視鏡的粘膜剥離術)を受けている。10月には同じ病院で大腸ポリープの粘膜切除術(EMR)も受けていた。消化器科の外来では頻回の下痢を訴えていた。

 その日の午前0時過ぎに救急外来を受診している。転倒した際にできた左肩のかさぶたを剥がしたら、出血が止まらなくなったという。当直だった内科の若い先生が、oozing(しみ出るような出血)を圧迫止血した。血液検査で血小板数は正常域(下限)だったが、凝固検査は時間外はできない。肝硬変に関連した凝固異常と判断されたが、事情も分からず困ったらしい。

 バイタルは、血圧が88/53mmHg・脈拍82/分・呼吸数16/分・酸素飽和度94%(室内気)だった。いったん帰宅して、午前中に消化器科の外来を受診とした。

 

 消化器科の外来を受診したが、黄疸が進行していた。会話はできるが意識清明とは言い難いと記載していた。末梢の静脈から通常の採血ができず、大腿静脈から採血している。

 結果は、白血球23900・CRP6.3と炎症反応の上昇を認めた。10月の受診時からCRPは同程度で推移している。Hb7.3g/dl(MCV120)と大球性貧血があるが、血小板は17.8万と意外に正常域にある。

 PT-INR2.17・APTT63.7と延長している(Dダイマー6.7)。凝固因子欠乏からの出血傾向のようだ。(抗凝固薬も抗血小板薬も使用されていない。)

 10月の受診時は、AST 145・ALT 38・LDH 224・ALP 113・γ-GTP 1265・総ビリルビン6.1とアルコール性肝障害(肝硬変)らしい結果だった。その日は、AST 158・ALT 79・LDH 365・ALP 128・γ-GTP 188・総ビリルビン19.9となっていた。血清アンモニアは102(<75)。(アルコール摂取は少なくなっている)

 正常だった腎機能がBUN77.1・血清クレアチニン9.40と著しく上昇していた。血清カリウムが10月も2.3と低下しているが、1.8とさらに低下していた。

 胸腹部CTで軽度の胸水貯留もあるが、腹水は中等度に貯留している。肺炎はないようだ。原発性腹膜炎を来しているのか。

 昨年から内視鏡治療をしている消化器センターのある病院に連絡していたが、ひどい急性腎不全があるので対応できないといわれた。次に大学病院の救急科に連絡すると受けてもらえた。

 救急室で見た時は、搬送する救急車待ちのところだったようだ。後で消化器科医に訊くと、このままダメかもしれないが、何しろ年齢はまだ若いので、できるだけの治療は受けさせたいということだった。

 

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非代償性肝硬変、痛風発作

2024年12月05日 | 消化器疾患

 12月2日(月)にアルコール性非代償性肝硬変の60歳代半ばの男性が受診した。消化器科で診ていた患者さんだが、検査で手一杯ということで内科に回された。もっとも症状は消化器ではなかった。

 10月始めに消化器センターのある病院(肝臓内科がある)に腹水・食道静脈瘤で紹介していた。入院して連日の腹水ドレナージで腹水(胸水もあった)が軽減した。食道静脈瘤は結紮術(EVL)が行われた。

 10月末に退院したが、また腹水が貯留して11月始めに再入院となった。12月2日受診時の話では、前週の木曜日に退院したという。(まだ診療情報提供書は来ていなかった)

 動けないという訴えで妹さんに連れてもらって来ていた。外来看護師さんは血圧が88mmHgと低いことを気にしていたが、最近はふだんから100前後らしい。一見して腹水はあるが、入院した時よりは軽減しているようで、自覚的には気にしていなかった。  

 退院後から右手関節と左膝関節・左足関節の疼痛で動けないということだった。関節の発赤・腫脹はそれほど目立たないが、やや熱感があった。

 白血球11100・CRP5.3と炎症反応が上昇していた。肝機能も前よりも目立ち、飲酒が疑われたが、今回はそこは触れなかった。

 この方は高尿酸血症で処方(フェブキソスタット)を受けている。尿酸値は7.2mg/dLと正常上限だが、11月の消化器科外来受診時は9.3mg/dLと上昇している。

 痛風発作(関節炎)を来して、尿酸が関節内で消費されてむしろ低下してらしい。利尿薬の影響と、飲酒の影響が疑われた。

 通常はNSAIDsで治療するが、この方は血清クレアチニンが2.0mg/dL前後(eGFRが20前後)と慢性腎臓病(CKD)があって使用し難い。プレドニン20mg分1を3日分処方して、外来再診とした。

 本日(12月5日)外来を受診した時には関節痛は軽快して、歩行可能となっていた。プレドニンを漸減~中止とした。(下記のやり方で3日おきに漸減)

 

 あまり痛風発作に対するステロイドについての記載は見ないが、疾患として多い「偽痛風」を参照とある。偽痛風の治療は、プレドニゾロン20mg分1か分2を2~3日10mg分1か分2を2~3日5mg分1を2~3日プレドニン2.5mg分1を2~3日→その後中止。(「すぐに使える リウマチ・膠原病診療マニュアル」羊土社、による)

 

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総胆管結石

2024年12月04日 | 消化器疾患

 12月2日(月)の午前8時半に前日当直だった内科の先生から、夜間に診た患者さんが来るのでよろしく、と申し送りがあった。夜間の血液検査は簡易検査なので、血液検査を入れておいたという。

 患者さんは90歳男性で、本当にその年齢かと思うような元気な方だった。12月1日の午後4時に突然に胸背部痛が出現した。症状が続くので、午後9時前に当院の救急外来を受診した。

 まず心電図を検査したが、異常はなかった。血液検査は白血球12100・CRP0.0と超急性期を示唆する値だった。AST 386・ALT 86・γ-GTP 126・総ビリルビン1.4と肝機能障害を認めた。

 胸腹部CTで胸部には異常がなく、総胆管拡張(肝内胆管も拡張)があって、末端に結石を認めた。(放射線技師さんが指摘したかもしれない)

 発熱はなく、痛みの部位は「胸と背中」ではなく、正確には「心窩部周囲とその背部」だったようだが、軽快していた。結石が自然に落下するのを期待した、ということだった。

 

 内科再来と新患が多くて、診察しているうちに頼まれたことを忘れていた。その患者さんの順番になった(血液検査と腹部エコーがオーダーされていて、それが終わってから外来に来た)。すたすたと軽快に歩いて診察室に入って来た。

 痛みは治まっているが、発熱38.5℃があった。血液検査結果を見ると、白血球14900・CRP5.2と上がってきている。肝機能は、AST 831・ALT 302・ALP 109・γ-GTP 239・総ビリルビン4.0と悪化している。腹部エコーでは総胆管拡張は指摘できるが、末端は描出できないので拡張原因は不明とあった。

 突然の痛みは総胆管結石が総胆管末端に嵌頓した時のものだろう。急性胆管炎を併発してきている。

 

 当院では総胆管結石は扱えないので、地域の基幹病院に連絡することにした。地域医療連携室に連絡したが、担当の先生は相当に忙しく、こちらから連絡しますといわれた。何とかつながって、運よく(消化器内科はほぼ満床運営)引き受けてもらえた。

 発熱以外のバイタルは問題なく、何しろ当方よりも元気なくらいなので、いっしょに来た家族の車で向かってもらった。

 

 申し送りを受けた時は、そのまま紹介してもらう方がよかったと思った。ただ前日に連絡しても、発熱がなく疼痛も治まっているので、明日(月曜日)に改めて連絡するように、といわれたかもしれない。

 

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食道裂孔ヘルニア・続き

2024年11月29日 | 消化器疾患

 昨日(11月28日)の続き。

 11月27日入院して、点滴とPPI注(オメプラール1Aを1日2回)で経過をみて、夜間から28日朝にかけて嘔吐はなかった。前胸部がすっきりした、という。

 胸腹部CTで確認すると、食物と消化液が充満していた胸腔内胃は、内容物が流れて来ていた。これなら内視鏡ができるということで、午後から消化器科医に診てもらった。

 食道から胃にかけての食物残留はなくなっていた。食道中下部から胃にかけて発赤とびらんを認めたが、出血はなかった。 

 胃の大部分が胸腔内の入り込んでいるが、胃底部が垂れ下がっているので、そこが充満すると遠位部が圧迫されて排出できなくなるようだ。餅がそもそもまずかったのかもしれない。

 29日朝から食事が出たが、食べても症状は生じなかった。通院している病院のPPIをP-CAB(タケキャブ20mg)に変更して、効果はわからないが消化管運動薬(モサプリド)も追加してみた。

 

 消化器科医は週末他県で親の法要(13回忌)があるので、この患者さんの入院主治医になってほしいといわれた。同じ年に当方と消化器科医の母親が亡くなっていた。当方の13回忌は10月始めに済んでいる。

 

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食道裂孔ヘルニア

2024年11月28日 | 消化器疾患

 11月27日(水)に前日から嘔吐が続く90歳女性が受診した。前日の昼に餅を食べたそうだ。午後から嘔吐が続き、吐物は黒色(コーヒー残渣様)となっていた。

 患者さんは外来の処置室に横臥していた。意識清明で普通に会話ができる。認知症はないようだ。吐物は確かに黒色だった。

 隣町の病院に通院していて、PPI(ランソプラゾール15mg)とスタチンが処方されていた。食道裂孔ヘルニアといわれているという。結膜を見ると貧血かもしれない。

 前日から30回は嘔吐している、と問診票に記載していた。腹部は平坦・軟で圧痛はなかった。腸閉塞ではない。食道裂孔ヘルニアのためか、幽門狭窄による嘔吐が疑われた。

 単純X線では確かに胃の大部分が胸腔内に入り込んでいる。胸腹部CTで確認すると、胃内に食物と消化液が充満している。高濃度に見えるのは餅かもしれない。

 消化器科医に相談すると、この状態で内視鏡を入れるのは危ないといわれた。入れて吸引してもすぐに吸引口が詰まってしまう。そもそも入れた時に嘔吐して誤嚥性肺炎を来す可能性が高い。経鼻胃管(NGチューブ)を入れるのも同じことが起こるかもしれない。

 点滴をしてPPI注を行っていたが、その後は嘔吐しなくなった。絶食・点滴・半座位で腸管への流出があるか1日経過をみてから、処置を決めることになった。

 

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直腸癌

2024年11月19日 | 消化器疾患

 11月19日地域の基幹病院消化器内科から直腸癌の60歳代半ばの男性が転院してきた。

 11月8日(金)の夜間に便秘・腹部膨満・食欲低下で当院の救急外来を受診している。当直医は外部の病院の先生(バイトの外科医)だった。

 腹部単純X線で著明なニボーを認めて、誰が見ても腸閉塞だった。腹部CTで大腸が拡張していて、直腸に狭窄部とその口側の拡張を認めた。直腸癌による狭窄と診断していた。当院では対応できないので、基幹病院に搬送した。

 搬送後すぐに直腸ステントを留置したそうだ。腸閉塞はうまく解除された。当院の単純CTではわかりにくいが、造影CTでは多発性肝転移もあった。

 診療情報提供書によるとアルコール依存症と著明なるい痩があり、ADLは介助で車椅子移乗程度のため、治療適応なしと判断された。緩和ケアの継続をお願いしますという内容だった。

 妻子はいないが、親族と同居している方だった。リハビリをして、トイレ歩行できれば、いったん退院にできるかもしれない。地域包括ケア病棟で受けたので、入院期限60日になる。越える可能性があると事務には伝えた。

 

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多発性骨転移

2024年11月18日 | 消化器疾患

 11月15日(金)に泌尿器科の先生(非常勤)から相談された。患者さんは、多発性骨転移の80歳代前半の男性だった。

 右下腹部痛(チクチクする痛みと)で内科外来を受診した。腹部CTで特に所見はなかった。前立腺肥大症があり、担当した内科の先生は泌尿器科に紹介した。

 泌尿器科で検査しているうちに、血清PSA値は正常域だったが、骨条件でCT画像を見ると、脊椎(椎体)に多発性に転移巣(造骨性)を認めた。

 内科に戻されて内臓癌の腫瘍マーカーを測定すると、CEA 123.1・CA19-9 >12000と腺癌のマーカーが異常高値だった。造影CTでは胃癌・大腸癌・胆道系癌は指摘できないが、膵頭部にIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)を示唆する病変を認めた。IPMNから膵癌が出ていれば腫瘍マーカーの所見と合うか。原発巣が小さくて、転移巣が目立つ形?。

 肝転移・肺転移は画像上認めない。炎症反応は陰性で肝機能検査は骨転移を反映してALPのみが高値だった。

 内科の先生はがんセンター消化器内科に紹介した。返事はあっさりしたもので、「検査としては超音波内視鏡になるが、高齢で危険があり、しないことになった。」というものだった。治療についての記載はなかった。

 前立腺肥大症の治療は継続しているので、その日患者さんが泌尿器科外来を受診した。内科医の外来予約もあったが、泌尿器科医は(訊きやすい当方に?)どうにかならないのかと訊いてきた、という経緯だった。

 超音波内視鏡はできると思うが、それだけでは診断がつかないので、FNA(超音波内視鏡ガイド穿刺)の適応はないということなのだろうか。抗癌剤治療は組織がないのと、年齢の問題で行われないか。

 泌尿器科の先生から、PETはどうですかと訊かれた。(依頼するとすればガンセンターではない、他の病院になる。)侵襲はないのでやって悪くはないが、原発巣が小さいと所見が出るかわからない。そもそも治療に結びつかなければ高額な検査をする意味がない。

 

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膵癌の腫瘍マーカー~APOA2アイソフォーム

2024年11月10日 | 消化器疾患

 JDDWの教育講演で、膵癌の新しい腫瘍マーカーAPOA2アイソフォーム(アポエーツー)の話があった。今年(2024年)4月に保険適応となっていた。

 APOA2アイソフォームは、CA19-9とは相補的な腫瘍マーカーで、これまでの腫瘍マーカーでは検出できなかった膵癌を検出することが期待されるという。カットオフ値は<59.5μg/mL

 apolipoprotein A2 2量体タンパク質のC末端アミノ酸が欠損したアイソフォームisoformsのうち、C末端アミノ酸配列がATQ/ATとなるapoA2-ATQ/AT(アポA2中間鎖)が、膵癌や膵癌前がん病変のIPMNで、健常者と比べて有意に低下する。

 APOA2アイソフォームはCA19-9 よりも感度が高い。これまでは膵癌の腫瘍マーカーとしてCA19-9・DUPAN-2を測定していたが、今後はCA19-9・APOA2アイソフォームの測定になる?。

 

表

図5

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