3連休明けにがんセンター血液内科から80歳代後半の患者さんが転院してくることになった。地域医療連携室では内科の若い先生に担当を依頼していた。
どんな患者さんか確認すると、当方も関わった方だった。8月の土曜日で、その日の日当直は外部の先生だった。(東京の有名病院で内科専攻医をしている先生のバイト)
その日は内科当番が当方で、その先生から連絡が入った。80歳代後半の男性が発熱で受診して、肺炎はなく膿尿から尿路感染症と診断していた。血液検査で血小板減少があるが、時間外で輸血はできますかと訊かれた。
当院は時間外は検査技師の対応はなく、輸血はできないとお答えした。すると地域の基幹病院に当たってみますという。後で連絡が来て、受けてもらえたので搬送しましたと報告があった。
週明けの月曜日に確認すると、血液検査の結果は血小板2.3万だった。白血球4500・CRP2.7で炎症反応はまだ初期像を呈していると思われた。
既往がなさそうなので、血小板の減少は感染症によるものだと判断されたのだろう。この値では大至急血小板輸血ではないので、経過をみて再検しての判断だろうと思われた。そこまでみて、後は忘れていた。
まず地域の基幹病院から返事がきていた。感染症の治療が開始されたが、血小板数は2000まで減少たそうだ。血小板輸血(15単位)をしたが、反応しなかった。
感染症の影響としてはおかしいということになり、がんセンター血液内科に相談して、そちらに転院した。(当院受診・転送から3日後)
がんセンターで骨髄検査と血液のマーカー(PA-IgG高値)などが検査されて、特発性(免疫性)血小板減少性紫斑症(ITP)と診断された。プレドニン30mg/日(0.5mg/kg)で血小板数は漸増して、直近では20万になっている。
まだプレドニン25mg/日で、食事は出ているが高カロリー輸液にもなっているから、もうしばらく当院で治療継続が必要なようだ。高次医療機関に送ってもらって助かった、という症例だった。