肺癌(扁平上肢癌)の83歳男性が緩和ケアで入院している。この方は昨年の11月に頸部痛~背部痛で整形外科クリニックを受診した。X線検査で肺癌が疑われて、がんセンター呼吸器科に紹介された。肺扁平上皮癌と診断されて、放射線治療が開始されたが、発熱をきたして中止になったそうだ。抗癌剤治療も年齢とCOPD合併ということで断念され、緩和ケアで経過観察となった。食欲もないので、今年の1月に直接当院に転院となった。酸素吸入が継続されていた。鎮痛薬はNSAIDのみで治まっていた。
当院転院後は案外食欲も良く、元気になってきた。そのまま入院継続するのはもったいないので、家族と相談して退院して外来で診ることにした。5月になって、癌性疼痛(頸部痛~背部痛)が悪化して、オピオイド(オキシコンチン)内服を開始した。疼痛は軽減したが、食欲不振・倦怠感で今月入院となった。入院後に発熱もみられ、肺癌は進行して胸椎に浸潤していた。閉塞性肺炎を考慮して抗菌薬も使用したが、ステロイド(デカドロン)で解熱軽快した。腫瘍熱だったようだ。ステロイド投与で食欲不振・倦怠感もある程度回復してきた。オピオイドは増量して、オキシコンチン内服からフェントステープ(現在6mg/日)に切り替えた。
今週は少し動いてみたいと希望されて、看護師さん見守りで歩行器でちょっとだけ歩いた。家族は病院に置いてもらって、毎日来るのが楽ですという。もう一度自宅退院させたいが、受け入れが難しいかもしれない。外出・外泊ならさせたいというが、脊椎浸潤をみると心配にはなる。