なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

副腎不全

2018年01月31日 | Weblog

 施設に入所している62歳女性が昨日から言動がおかしくなり、低体温(34℃台)と低血圧もあって、内科新患を受診した。この方は15年前に副腎腫瘍(クッシング症候群)で大学病院で手術を受けた。その後はステロイド補充療法を受けていた。もともと精神遅滞があり、実家で生活していたが、その後は施設に入所していた。(事情はわからないが、親が亡くなって兄弟に代替わりしたせいか)

 これまで数回にわたって、慢性副腎不全の急性増悪で入院している。大抵は感染症による増悪だった。インフルエンザ迅速試験は陰性で、胸部CTで両側肺背側に浸潤影が散在していた。肺炎による増悪と判断される。

 ステロイド糖尿病があり、てんかんもあり、おそらく肺胞低換気による高炭酸カス血症もあり、盛りだくさんの患者さんだった。なによりムチムチしていて(もともとの肥満+ステロイド)、点滴する時の末梢静脈があまりない。今日も手背の母指のところからの点滴となった。

 抗菌薬は何にしようかと思ったが、施設入所・ステロイド依存ということで、ゾシンにした。

 昨日は麻黄湯を2時間おきに3回飲んでみたが、あまり汗はかかなかった。動くのもつらいので、結局午後7時まで医局にいた。今日は微熱になって、昨日よりはいい。もともと病棟看護師さんまかせの診療なので、なんとかなるものだ。

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高血糖高浸透圧症候群

2018年01月30日 | Weblog

 日曜日に85歳男性が食事がとれない、動かないという訴えで当院に救急搬入された。血糖689mg/dlと高血糖で、HbA1cは9.6%だった。ふだんもある程度高めの血糖で推移しているようだが、さらに上昇していた。搬入時から37℃台後半の発熱があったが、炎症反応は陰性だった。呼びかけると何か言葉が出るが、聞き取れない。頭部CTでは出血・梗塞はなく、症状の左右差もない。家族はADLは自立としているが、脳萎縮の程度からは違うようだ。

 高ナトリウム血症とBUN・血清クレアチニンの上昇があった。血液ガスでケトアシドーシスはなく、高血糖高浸透圧症候群だった。日直の内科医が生理食塩水点滴と、インスリン混合の生食の点滴静注を開始して、その日は翌日まで当番の外科医が指示を出してくれることになっていた(内科の人数が少なすぎて毎週末病院に出ることになるので、緊急措置だった)。

 月曜日には血糖が160mg/dlにまで下がっていて、5%グルコース入りの点滴に切り替えて、インスリンを混合して、皮下注でさらに補正するやり方にした。カリウムの補正がされていなかったので、カリウムも混合した(低カリウムは正常化)。

 月曜日は39℃の発熱が続き、インフルエンザ迅速試験は陰性だったが、搬入時の胸部CTを見ると、左肺の下肺野背側に淡く浸潤影があるように見える。入院後は炎症反応が上がり出していて、再検した胸部CTでその部位に明らかな浸潤影(肺炎)を認めた。

 この患者さんは地域の基幹病院の糖尿科に通院していたが、血糖が安定したので(BOTだった)、、近くのクリニックに紹介になっていた。日曜日はそちらの病院がベット満床で受け入れができずに、当院に搬入された経緯がある(当院は自宅からは遠くなる)。

 昨日から当方の調子が悪く(倦怠感)、今日は発熱がある。上気道症状はまったくなく、インフルエンザ濾胞もない。インフルエンザ迅速試験は陰性だった(否定はできないが)。先週末に一緒の車で感染管理の相互評価に行ったICN(感染管理ナース、正確にはCNIC)も発熱で今日は休んでいた。地元のクリニックを受診したはずだが、この時間に連絡がないので陰性だったのだろう。運転していた事務の方は無症状。先週末からは外来に出ていないし、病棟にもインフルエンザの患者さんはいない。

 そういう事情があり、他の内科医も手一杯なので、基幹病院救急部に連絡して(呼吸器内科や糖尿病科では引き受けてもらえないから)、総合的に診てもらうことにした。家族には、ベットが空いているかどうかわからないが、と断って連絡した。幸い引き受けてもらえて、ありがたく搬送した。酸素吸入2L/分だし、重症肺炎ではないが、今日は勘弁して下さい。

 病棟で最低限の指示だけ出して、後はマスクをして医局にこもっていた。画面上の指示だけ出しているが、他科の患者さんの診療もしていて、なかなか終わらない。

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壊死性筋膜炎

2018年01月29日 | Weblog

 内科新患担当の先生(大学病院からのバイト)から連絡が来た。後天性血友病の73歳女性が右下腿の腫脹で受診して、救急の対応が必要だという。この患者さんが通院しているのは知っていたが、まだ診たことはなかった。

 約10年前に腸腰筋血腫で地元の病院から大学病院の救急部に搬送された。その時に凝固異常を指摘されて、血液内科に紹介されていた。診断は後天性血友病。精査の結果、大腸癌が発見されて、それが誘因になったと考えられたそうだ。術後にステロイドは漸減中止となっていた。

 2年前に顔面打撲からの口唇・口腔内出血が続いて、内科医院から当院に紹介された。担当医が大学病院の血液内科に問い合わせて、ステロイド治療を再開した(プレドニン1mg/kg/日から)。その後軽快して、現在はプレドニン10mg/日になっていた。大学病院への通院はいやがったとある。夫は理解力があるが、患者さん自身は病識に乏しく理解力にも問題があるようだ。

 今回は夫の話によれば、1~2週間前から右下腿の一部に傷があって発赤していたそうだ。それが一昨日に下腿全体に広がってきた。昨日の日曜日は当院の救急外来を受診して、蜂窩織炎として抗菌薬内服が処方されている。今日も外科外来を受診したが、後天性血友病ということで内科に回されていた。

 右下腿全体が著明に腫脹してまだらに紫黒色になっている。多発性に水疱が形成されていた。教科書に載っている壊死性筋膜炎(軟部組織感染症)の像だった。血圧98/40mmHgと、高血圧症の治療の受けている患者さんとしては低下している。心拍数は77/分と正常域で、全身の発熱はなかった(右下腿は熱感あり)。炎症反応もほとんど上がっていなくて、この辺はよくわからない。

 ふだんよりもHbが4g/dl程度低下している。下腿内部に出血しているようだ。足背も腫脹しているので足背動脈がよく触知できないが、足趾は壊死になっていない。凝固検査をみると、血友病として悪化しているようではないが、感染症そのものによるのか。

 壊死性筋膜炎疑いとして、大学病院の救急部に搬送するしかないと判断した。当地域の基幹病院でも血液内科はいないので難しいだろう(たぶん)。大学病院に電話連絡すると、幸いにも引き受けてもらえたので、すぐに搬送した。よろしくお願いいたします。

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NASH

2018年01月28日 | Weblog

 昨年末に腹水・浮腫で入院していた非代償性肝硬変の68歳女性。ウイルス性でもなく、アルコール性でもなく、抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体も陰性で、肝硬変の原因は不明だった。サムスカを含む利尿薬で腹水・浮腫は軽快して退院した。退院後に、基幹病院消化器内科の肝臓専門医に紹介していた。

 肥満と糖尿病があり、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)からの肝硬変の可能性が高いという返事だった。血小板数が比較的保たれていたが、NASHでは血小板数が保たれている状態でも肝硬変に至ることはしばしば経験されるそうだ。

 糖尿病の厳格なコントロールと筋肉量の維持・増大が必要で(確立した治療法はないそうだが)、患者さんが希望すれば介入するが、そうでなければ終末期相当として当院に戻しますという返事だった。

 病院で購入している「臨床消化器内科」2018年1月号が「NASH2018」だったので、読んでみよう。

 

 

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急性大腿動脈閉塞

2018年01月27日 | Weblog

 69歳男性が他院からの紹介で当院に救急搬入された。以前から心房細動があったが、抗凝固薬は処方されていなかった。右大腿動脈が閉塞している。血管外科医が緊急でカテーテル治療を行って、無事血流が回復した。ヘパリン点滴静注からDOAC(エリキュース)内服が開始された。

 心房細動は怖い。こういうのを見ると、きっちり抗凝固療法を行う必要があると思う。逆に、頭蓋内出血や消化管出血の時は何でこんな薬が入っているんだと思ってしまうが。本来の投与量よりも少な目の抗凝固薬が処方されがちなのは、治療しなければならないが出血性病変を作ったと言われたくないからだ。

 

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インフルエンザ後肺炎

2018年01月26日 | Weblog

 昨夜高熱と呼吸苦で69歳男性が救急外来を受診した。4日前の日曜日に高熱で近医を受診して、インフルエンザB型と診断された。吸入薬を使ったということで、イナビルが処方されたようだ。その後微熱になっていた。昨夜は急に高熱が出た。

 胸部X線・CTで左下葉背側に浸潤影を認めて、急性肺炎と診断された。電話で内科入院の連絡が来たので、セフトリアキソンを点滴静注してもらっていた。今朝は解熱していた。

 胸部CTで明らかな気腫性変化があり、現在も喫煙していた。これを機会にタバコはやめるとは言っていた。肺炎球菌迅速試験は陰性だった。区域をまたいで広がっているので肺炎球菌かと思ったが。昨夜は喀痰が出なかったので、起炎菌は不明になる。

 昨夜当院で行ったインフルエンザ迅速試験は陰性だった。何日で陰性化するのだろうか。病室は個室にして、来週になってから大部屋にすることにした。

 

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TEVAR後

2018年01月25日 | Weblog

 昨日、大学病院心臓血管外科から69歳女性が術後のリハビリ目的で転院してきた。

 この患者さんは当院の心臓血管外科外来(大学病院から出張)で胸部大動脈瘤でフォローされていた。3週間前に左肩・上背部痛が出現して内科外来を受診した。胸部大動脈瘤切迫破裂疑いで急遽大学病院に搬送された。(対応した先生は循環器に詳しいが、さすがです)

 その日のうちに緊急にTEVARを施行したと診療情報提供書に記載されていた。TEVARは胸部大動脈ステントグラフト内挿術Thoracic endovascular aortic repair。へえーっと驚くばかりだが、胸部x線でみると確かにステントグラフトが入っていた。

 処置をした鼠径部の傷が開いていて一部化膿していたが、大学はそういう細かいことは気にしないらしく、記載はなかった。歩行できなくはないが、一人暮らしだった。約1か月間当院でリハビリ(見守り程度なので足慣らし?)をしてから、今度は術後フォローの患者さんとして元の心臓血管外科外来に戻す予定だ。

 この方は自己免疫性肝炎から肝硬変になっていて、肝細胞癌の治療をがんセンター紹介で受けたという既往もある。担当していた消化器科医によると抗核抗体は陰性だったが、臨床的に自己免疫性として治療が始まったそうだ。もう少しそちらも検査してみたい。

 現在循環器科がないので、心臓リハとして算定できない。左から3枚が術前で、右側が術後。

 

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院内勉強会(感染管理)

2018年01月24日 | Weblog

 先週の院内勉強会は、東北医科薬科大学病院感染症内科の関雅文先生に来ていただいた。院内の各職種が参加するが、主には看護師さんたちなので、わかりやすい(明日から役立つ)話をお願いしますと依頼していた。

 いつもの?インフルエンザウイルスと肺炎球菌に罹患したマウスの肺のスライドが出た。臨床微生物学会と感染症学会・化学療法学会でも見せていただいたが、ダブルで罹患すると肺全体が真っ赤に腫脹して、そうなるともう何を使っても手遅れというものだ。

 抗菌薬の使用で注意するべきことと、具体的な感染管理(特に病棟の点滴作成テーブルについて)をわかりやすくお話していただいて、好評だった。

 ご自身の病院では、受付に咳エチケットのポスターを表示して、マスクの自動販売機を設置されているそうだ。当院でも病棟のお見舞いの時はマスク着用をお願いすることになった。院内発症のインフルエンザはお見舞いの方の持ち込みが多い気がする。

 感染症内科は教授を含めて2名しかいないそうで(プラス研修医)、それでも10床のベットを持っていて重症も診ているという。人数からは院内の感染症コンサルタントかと思ったが、そうではなかった。直接自分で診る方が治療がやりやすいと言われた。

 学会でちょっと聞いたくらいだが、抗インフルエンザ薬や抗菌薬をしっかり使用する先生という紹介をされていたように思う。感染症の先生も、コンサルテーション中心の先生と実際に患者さんの治療に当る先生では、言うことに違いが出るようだ。コンサルテーションの先生はなるべく抗菌薬は使用しないようにと言いたがる印象がある(個人の感想です)。

 記念に、監修されたmedecinaの2017年1月号「肺炎への最新アプローチ」にサインしてもらった。感染管理では年に2回院内勉強会を開催する必要があり、1回は比較的若い先生か認定感染管理ナース、もう1回は教授かそれに準ずる先生というパターンになる。

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昨日は大雪

2018年01月23日 | Weblog

 昨日は夕方から雪が降り出した。奥さんから、「今日は病院に泊まれば」という指示も来ていた。コンビニで夕食用の簡単な食事も朝に買ってきていたので、予定通り病院に泊まることにした。通院が片道55Kmの神経内科医も泊まることにしたと言っていた。

 午後は救急当番だった。救急隊から75歳男性が自宅で倒れて(意識は清明だが)起き上がれないという。訪ねて行った娘さんが発見して、救急要請した。搬入時は、意識清明で四肢の麻痺はなかった。バイタルも問題ない。先月も浴槽がら上がれなくなったと救急搬入されたが、搬入時は動けるのでそのまま帰宅していた。

 インフルエンザや肺炎になって、発熱で動けなくなったというわけでもなかった。発熱はなく、炎症反応は陰性だった。頭部CTで脳血管障害はないが、年齢の割に委縮が目立つようだ。年令・生年月日は答えられたが、現在の年月日曜日はわからない。慎重に座位、立位をとらせるとちゃんとできた。歩行もできたが小刻み歩行だった。ただし、明らかな振戦や筋強剛はなかった。

 首都圏に妻と住んでいたが、妻が癌でなくなってから当地に住むひとり娘が引き取ったそうだ。同居はできないので、近くのアパートに住まわせて、毎日食事を届けている。ご本人にできる家事は電子レンジだけだという。介護保険は受けていない。認知症の範疇に入るのだろうが、確定診断と鑑別診断があるので、頭部MRIと神経内科外来を予約した。介護保険申請も勧めた。

 この患者さんを診ていると、時間はすでに当直帯に入っていて、その日当直の外科医が急性腹症の患者さん(56歳男性)の救急搬入を受けていた。夕方腹痛が突発したそうだ。胃潰瘍の既往があり、腹部CTで腹腔内遊離ガス像と少量の腹水を認めて、診断は容易だった。そのまま緊急手術になった。胃角部後壁に穿孔を認めたと記録されていた(術式は縫縮して大網を充填)。朝に、いっしょに手術に入った外科医に会ったが、手術終了後そのまま病院に泊まっていた。外科の先生方、お疲れさまです。

 

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普通に溶連菌性扁桃炎

2018年01月22日 | Weblog

 インフルエンザが流行している。家の奥さんも先週木曜日にインフルエンザA型に罹患した。今日まで休みで、明日から仕事に出るという。病院には、インフルエンザによる高熱で動けなくなった高齢者が数は少ないが入院してくる。インフルエンザA型とB型が混在していた。

 先週の金曜日に溶連菌感染症の32歳男性が入院した。火曜日から発熱と咽頭痛が出現して、鼻汁・咳はなかった。木曜日に当院内科を受診して、溶連菌迅速試験陽性だった。外来でセフトリアキソン1gの点滴とパセトシン(AMPC)1500mg/日が処方された。症状が続いて、頭痛がひどいということで、翌金曜日の日中に再受診した。アセリオ1000mgの点滴静注が行われた。

 金曜日の夜にもまた受診した。当直医の先生(外部のバイト)から連絡が来て、セフトリアキソンを1g入れて、入院にしてもらった。土曜日に病院に来て診察した。右扁桃の発赤はごく軽度で白苔はまだ付着していた。前頸部リンパ節が腫脹して圧痛があった。Centorの基準、McIsaacの基準4点で、溶連菌迅速試験も陽性なので、間違いなく溶連菌感染。

 土曜日には解熱傾向で日曜日は平熱になっていたので、金曜日の日中にもセフトリアキソン点滴静注が入ったら外来治療でもいけたがもしれないが、きちんとパセトシンが出ていたので単に投与日数の問題なのかもしれない。溶連菌と出てるし、異型リンパ球も肝機能障害もなく(扁桃の所見が主に右側で)EBウイルスの関与は否定されているので、ビクシリン(ABPC)の点滴静注かそのままパセトシン内服継続でよかったのだろう。

 ところでこの患者さんは、昨年の11月に排尿痛で市内の泌尿器科を受診していた。おねえちゃんと遊んだのかと、訊かれたそうだ。尿道口から膿が出たというので、淋菌だったのだろう(クラミジア混合感染?)。最初期の治療内容は不明だが、その後もずっと抗菌薬(クラリス)が処方されていた。前立腺炎とも言われたという。これは慢性前立腺炎の処方?。

 頭痛もあるので、溶連菌は頭にも入るのかと患者さんに訊かれたが、溶連菌の髄膜炎はないのだろうから、単に高熱に伴う症状だろうと答えた。本当かな。

 

 

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