日曜日に85歳男性が食事がとれない、動かないという訴えで当院に救急搬入された。血糖689mg/dlと高血糖で、HbA1cは9.6%だった。ふだんもある程度高めの血糖で推移しているようだが、さらに上昇していた。搬入時から37℃台後半の発熱があったが、炎症反応は陰性だった。呼びかけると何か言葉が出るが、聞き取れない。頭部CTでは出血・梗塞はなく、症状の左右差もない。家族はADLは自立としているが、脳萎縮の程度からは違うようだ。
高ナトリウム血症とBUN・血清クレアチニンの上昇があった。血液ガスでケトアシドーシスはなく、高血糖高浸透圧症候群だった。日直の内科医が生理食塩水点滴と、インスリン混合の生食の点滴静注を開始して、その日は翌日まで当番の外科医が指示を出してくれることになっていた(内科の人数が少なすぎて毎週末病院に出ることになるので、緊急措置だった)。
月曜日には血糖が160mg/dlにまで下がっていて、5%グルコース入りの点滴に切り替えて、インスリンを混合して、皮下注でさらに補正するやり方にした。カリウムの補正がされていなかったので、カリウムも混合した(低カリウムは正常化)。
月曜日は39℃の発熱が続き、インフルエンザ迅速試験は陰性だったが、搬入時の胸部CTを見ると、左肺の下肺野背側に淡く浸潤影があるように見える。入院後は炎症反応が上がり出していて、再検した胸部CTでその部位に明らかな浸潤影(肺炎)を認めた。
この患者さんは地域の基幹病院の糖尿科に通院していたが、血糖が安定したので(BOTだった)、、近くのクリニックに紹介になっていた。日曜日はそちらの病院がベット満床で受け入れができずに、当院に搬入された経緯がある(当院は自宅からは遠くなる)。
昨日から当方の調子が悪く(倦怠感)、今日は発熱がある。上気道症状はまったくなく、インフルエンザ濾胞もない。インフルエンザ迅速試験は陰性だった(否定はできないが)。先週末に一緒の車で感染管理の相互評価に行ったICN(感染管理ナース、正確にはCNIC)も発熱で今日は休んでいた。地元のクリニックを受診したはずだが、この時間に連絡がないので陰性だったのだろう。運転していた事務の方は無症状。先週末からは外来に出ていないし、病棟にもインフルエンザの患者さんはいない。
そういう事情があり、他の内科医も手一杯なので、基幹病院救急部に連絡して(呼吸器内科や糖尿病科では引き受けてもらえないから)、総合的に診てもらうことにした。家族には、ベットが空いているかどうかわからないが、と断って連絡した。幸い引き受けてもらえて、ありがたく搬送した。酸素吸入2L/分だし、重症肺炎ではないが、今日は勘弁して下さい。
病棟で最低限の指示だけ出して、後はマスクをして医局にこもっていた。画面上の指示だけ出しているが、他科の患者さんの診療もしていて、なかなか終わらない。