なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「非実力派宣言」

2024年08月31日 | 循環器疾患

 総合診療の生坂政臣先生や救急の林寛之先生の本を購入したり、セミナーやCareNeTVの講演を聴いたりしている。興味深く見せてもらっているが、実力のなさに愕然とすることもある。

 そもそも全国区レベルの先生方には教えを乞うだけであって、比較しても仕方がないのだろう。

 そういう時に、随分昔に森高千里さんが出したCDアルバム「非実力派宣言」が頭に浮かぶ。「かわいいだけでしょ」といわれるのを逆手にとっているわけなのだろう。森高さんは現在55歳だが、「私がおばさんになっても」と歌いながら美貌を保っていて、おばさんにはなっていないといわれている。

非実力派宣言

 

 先日ふだんあまり話すことのない内科の若い先生と話していて、「内科全般のベテランですか」いわれた。「未だに研修医向けの本を購入することが多く、専門的なことは何もやっていません」と答えた。

 研修医向けの医学書を出している羊土社には大分貢献している。

 

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急性肺炎

2024年08月30日 | 呼吸器疾患

 8月24日(土)の当直の時に、日直だった腎臓内科の若い先生が3名外来で点滴をしていた。いずれも終了後は帰宅予定ですといわれた。

 そのうちの一人は、23日金曜日に肺炎で入院した80歳代前半の男性だった。知的障害があり、障害者施設に入所している。

 

 これまでも2019年に急性肺炎(右下葉)で入院している。2023年に通院している泌尿器科で撮影した胸部X線でも、認識されていないが肺炎像が写っていた。

 時々、おそらく誤嚥性肺炎を繰り返しているのだろう。軽度だと自力で治癒していて、免疫力で抑えきれないと肺炎として診断・治療されるという経緯らしい。

 

 23日(金)に発熱で受診して、胸部X線・CTで右中葉肺炎を認めた。

 内科で入院にしていたが、入院後の不穏がひどく、一晩はナースステーションの前にベットを持ってきて対応していた。酸素吸入は不要なので、24日はその日の分の抗菌薬(セフトリアキソン)を点滴静注して、抗菌薬内服治療として退院となった。

 午後から高熱と食欲不振として、施設で救急外来に連れてきた。不穏がひどくて退院ということなので、外来で点滴をして、翌日(日)も点滴に来てもらうことにしていた。

 結局発熱が続いて、26日(月)に再入院となった。胸部X線・CTで右中葉の浸潤影が進み、左舌区にも軽度に陰影がある。

 今度は抑制と抗精神薬使用でなんとか入院継続で治療するようだ。入院数が増えている状況で、本来の治療以外の対応もあると、病棟の看護師さんは大変なのだった。

 

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カテーテル関連血流感染症

2024年08月29日 | 感染症

 内科の若い先生に、血液培養でカンジダが検出された患者さん(70歳代後半)がいて、と報告があった。

 

 入院は長期になっていて、そもそもは4月に地域の基幹病院脳神経内科から脳梗塞のリハビリ目的で転院してきた。両側大脳に脳梗塞があり、血栓性脳塞栓症が疑われたが、心電図では洞調律だった。

 深部静脈血栓症からの卵円孔を介した奇異性脳梗塞を疑っていたが、確定はできなかった。当院転院後も心エコーを行ったが、真空内シャントは否定的だった。

 転院当初は食事摂取もできたが、その後反応が悪くなり、経口摂取は不可能になった。頭部MRI再検で梗塞巣が増加してきていた。

 7月には中心静脈カテーテルを挿入(PICC)して、高カロリー輸液を行っていた。病状が安定していれば、療養型病床へ転院ということになる。

 8月22日から高熱があり、24日に血液培養2セットを提出していた。(それまでも発熱が出没していたが、持続するようになった。)今週酵母様真菌が検出され、Candidaの何かだった。

 

 PICCのカテーテルは抜去していた。菌名確定まではミカファンギンで開始していいでしょうか、ということだった。グラブラータなどでなければ効くはずだ。カテーテル抜去だけで解熱はしていた。

 どこまで治療したものでしょうか、とも訊かれた。患者さんは寝たきり状態で発語もない。カテーテル関連血流感染は医原性ともいえるので、ここは治療しましょう、と答えた。培養陰性日から4週間の投与にはなる。

 ミカファンギンは1瓶約5000円で、2瓶使用するので1日1万円になる。ジェネリックだとその半額くらい。

 

 

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急性虫垂炎

2024年08月28日 | 消化器疾患

 8月24日(土)は当直だった。当直帯になってすぐから午前0時近くまで断続的に受診があった。それでもいわゆる深夜帯の受診は救急搬入がなくて、その点では助かった。

 夜間に回転性めまいの患者さんが救急搬入された。搬入時には回転性の要素は治まっていたが、浮遊感が残り、そのまま帰宅にできなかった。一晩入院させようとしたが、COVID-19罹患9日目であることが判明した。

 外来担当の看護師さんには申し訳ないが、外来の処置室で朝まで点滴を継続して帰宅とした。午前7時半ごろに診に行くと、症状消失して、帰宅可能だった。

 

 これで終わりかと思ったが、午前8時15分に救急要請があった。前々日から心窩部痛があった30歳代半ばの女性が、前夜から右下腹部痛になっているという。37℃台の微熱もあった。

 経過から急性虫垂炎と思われたが、当院では外科手術ができない。外科手術の可能な地域の基幹病院に直接搬入してもらう方がいいかとも思ったが、当院で診断確定してから搬送することにした。(もっとも、満床で受け入れ困難となると遠方の病院との交渉になってしまう。)

 搬入された患者さんを診察すると、右下腹部に圧痛があり、筋性防御はないがpercussion tendernessはある。腹部手術の既往はなかった。最終生理からは、数日後が生理予定日だった。

 前々日の夜間から心窩部痛(違和感程度)・嘔気がり、前日(土)の午前中に市内の医院を受診していた。P-CAB、整腸剤と吐き気止め屯用が処方された。前日の夜間から右下腹部に腹痛が移動して持続していた。

 搬送を想定してコロナとインフルエンザの迅速検査を行い(陰性)、尿の妊娠反応を確認した(陰性)。白血球12800・CRP4.9と想定どおりの値が出た。

 腹部造影CTを行うと、虫垂の腫脹・壁肥厚があり、糞石もあった。周囲の脂肪織に炎症像がある。急性虫垂炎だった。ここまで典型的な症状の虫垂炎も逆に珍しいかもしれない。

 基幹病院の外科担当の先生に連絡した。これまでも何度かお世話になっている常勤の外科医で、すぐに引き受けてくれた。転送の救急車が午前10時半に出発した。

 

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急性肺炎

2024年08月27日 | 呼吸器疾患

 8月22日の午後に、糖尿病で通院している50歳代半ばの女性が発熱外来を受診した。発熱外来扱いでコロナとインフフエンザの迅速検査の後(両者陰性)、内科外来に回された。

 ふだんは糖尿病外来に通院している。インスリン強化療法にGLP1受容体作動薬(注)とSGLT2阻害薬が使用されて、直近のHbA1cは6.8%だった。

 発熱37.4℃以外は、呼吸器症状も含めて症状がないという。胸部X線と血液・尿検査が行われた。右上葉に浸潤影(斑状影の散在)を認めた。

 白血球18300・CRP5.2と炎症反応の上昇がある。尿中抗原は肺炎球菌、レジオネラともに陰性だった。担当の先生はアジスロマイシンを処方して1週間後の再受診としていた。

 夕方発熱外来受診者を確認していて、この患者さんに気づいた。オグサワなどの定型(細菌性)肺炎用の処方で治療した方がいいのではないかと思ったが、その後特に受診して来なかった。

 

 

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COVID-19~デキサメサゾンによる血糖上昇

2024年08月26日 | 循環器疾患

 8月23日(金)に地域の基幹病院から90歳代前半の男性が転院してきた。COVID-19 罹患による廃用症候群に対するリハビリ目的だった。

 超高齢だが、車椅子からつかまって立ち上がることはできる。家族も室内でトイレまで歩行できればいいというので、短期間のリハビリで済む見込みだ。

 どちらかというと、血糖コントロールに手がかかりそうだった。今回使用したデキサメサゾンによって、糖尿病の血糖上昇を来してて、糖尿病科の介入でインスリン強化療法が導入されていた。

 超速効型インスリンが(8-4-4-0)単位、持続型が(0-0-4-0)単位で単位数は多くないが、継続になると家族が習得しなければならない。経口血糖降下薬にしてほしいということだった。

 

 8月3日から嘔吐があり、8月4日(日)に救急搬入された時は、酸素飽和度が低下していた。COVID-19中等症・誤嚥性肺炎と診断して、レムデシビル・セフトリアキソン・デキサメサゾンで治療をしていた。呼吸器症状は速やかに改善したとある。

 送られてきた画像を見ると、COVID-19肺炎(ウイルス性)のようだが、一部浸潤影のようにも見える。入院当初からデキサメサゾンも使用しているが、当院だと急性期には使用しないかもしれない。

 糖尿病はDPP4阻害薬内服が処方されている。経過を見るだけではインスリンをすぐに中止するのは難しいかもしれない。超高齢者だと、無難なDPP4阻害薬の次の経口血糖降下薬は迷う。

 若年~中年だとメトホルミンand/orSGLT2阻害薬で決まりだが、超高齢者だとどちらも使用し難い。SGLT2阻害薬だとサルコペニアになってしまう。結局SU薬ごく少量(グリクラジド10~20mg)にすることもある。

 

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アルコール肝硬変~中断後の受診

2024年08月25日 | 消化器疾患

 次の週末に夏休み分で出かける予定にしている。週の半ばにちょうど台風が東日本の方に曲がって来る。出かけるのをやめるか、そのままにするか迷っている。

 

 7月6日に記載したアルコール性肝硬変の50歳代後半の男性のその後。

 8月初めに、外来予約をとりたいと地域医療連携室から連絡が入っていて、来院できる日に予約を入れてもらっていた。8月21日(水)に普通に外来に来た。

 何しろ体格が大きいので粗野な雰囲気はあるが、これまでとそう変わらない。会話したところでは肝性脳症の進行とは言えなかった。

 ずっと治療を中断していたので、両下腿の浮腫が増加していた。両足底の感覚障害(鈍麻)は同様で、それがふらつきの原因になっている。

 肝機能は、AST 26・ALT 13・ALP 158・γ-GTP 23と正常域だが、血清総ビリルビンが9.5と上昇している(これまでも高値だが漸増)。血清アンモニアは84と高値だが、これまでと同程度だった。

 γ-GTPの値から見ても、直近では飲酒はしていないようだ。中断前まで処方していた肝硬変の薬剤を再開とした。

 

 あまり待たせるとまずいかと思って、少し早めに診察室に入ってもらう配慮をした。対応はこれまでと変わらず、拍子抜けする感じだった。また定期的に通院してくれるだろう。

 

 

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肺癌、脳転移

2024年08月24日 | 呼吸器疾患

 8月21日に日当直のバイトに来ている先生のことを記載した。その先生が7月に来ていた時に、めまい・ふらつき・食欲不振で救急外来を受診した70歳前半の男性を入院にした。

 その患者さんは、胸部X線・CTで左上葉にかなりの大きさの肺癌を認めて、脳転移(小脳転移)もあった。(その後PET-CTも、行っている病院に依頼して撮影した)

 内科当番だった先生が担当になったが、こんな患者さんがいて、と嘆かれた。症状は3週間前からあった。もう少し早めに(体調がひどく悪化する前に)受診していれば、外来検査で診断を付けてそのまま適切な高次医療機関に紹介できたのに、ということだった。

 年齢的には最善の治療を行わなければならない。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に入ってもらって、家族と相談した。

 結局、肺癌に対する積極的な治療は希望されず、地域の基幹病院で脳転移に対する緩和照射だけ行うという方針になった。当院から転院となったが、先方は放射線治療科で全身管理はできないので、照射後はすぐに転院にして下さい、ということだった。

 

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精巣上体炎

2024年08月23日 | 泌尿器科疾患

 8月19日(月)に80歳代前半の男性が内科外来を受診した(予約日)。高血圧症・うっ血性心不全・気管支喘息で通院していて、息切れや下腿浮腫の確認になる。

 その日は別の話をされた。8月17日(土)入浴中に陰嚢が腫れているのに気付いた。37.8℃の発熱もあった。18日(日)は36.9℃で、19日は36.6℃だった。

 ご本人は鼠径ヘルニアではないかという。触診すると、左精巣自体が腫れているようだった。腸管が脱出しているようではない。自発痛はほとんどなく、触診しても圧痛はわずかだった。

 エコーで診る自信がないのと、ヘルニア否定もあり、腹部CTで確認した。ヘルニアはなかった。精巣炎より精巣上体炎がよく精索捻転との鑑別で記載されているが、そうなのか。要はよくわからない。精索捻転のような緊急性はないのだろう。

 抗菌薬はどうしようかと思ったが、セフトリアキソンを入れて、翌日20日の泌尿器科外来に紹介とした。尿路感染症が波及して精巣上体炎を来したものと診断された。セフトリアキソン点滴静注とオーメンチン内服が処方されていた。

 泌尿器科医に、抗菌薬投与前に尿培養を提出するように、といわれた。ふだん見ない場所の炎症なので、培養が思い浮かばなかった。

 

 プラチナマニュアルによれば、「急性精巣上体炎は35歳未満では性感染症(淋菌、クラミジア)を強く疑う。処方はセフトリアキソン1g静注単回+ドキシサイクリン内服200mg分2を10日間」。

 「高齢者の精巣上体炎は通常の尿路感染症同様に大腸菌を代表とした腸内細菌が主である」。

 

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蜂窩織炎

2024年08月22日 | 皮膚疾患

 8月19日(月)に60歳代女性が内科外来を受診した。8月17日(土)の早朝に発熱で救急外来を受診して、当直医(16日の)に週明けに内科外来を受診するようにといわれていた。

 

 16日(金)の午前7時半ごろに嘔気とふらつきがあった。体温は36.6℃だった。夕方午後6時ごろに高熱(39.8℃)が生じた。17日(土)の午前2時に当院の救急外来を受診した。

 呼吸器症状はなく、診察で右状背部に叩打痛があった。簡易尿検査で白血球反応があり、尿路感染症と判断していた。急性期病棟が満床状態だったので、外来治療となった。抗菌薬内服(セフジニル)とアセトアミノフェンが処方された。 

 

 19日(月)の外来受診時は、解熱していた。普通に診察室に入って、落ち着いた会話ができた。胸部X線と血液・尿検査を行った。肺炎像はなく、炎症反応が白血球11200・CRP26.0と予想外に高値だった。

 尿所見(沈査)は赤血球20-29/HPF・白血球5-9/HPF・細菌(ー)で、尿路感染症だとすれば軽快している所見になる。抗菌薬内服で経過をみることになるかと思われた。

 膝までの長さの白色調のストッキングをはいていた。右下腿に茶色にみえる。脱いでもらってどうしたのかと訊くと、2月に蜂窩織炎で治療していた。色素沈着が残ったようだが、もともと体格がよくうっ滞性皮膚炎があるようだ。

 左のストッキングも脱いでもらうと、左下腿全体が発赤していた。白色調のストッキング越しだと、案外わかりにくい。一部小水疱(実際は膿疱)が散在している。比較的には違和感程度で痛みというほどではないそうだ。今回は下腿の蜂窩織炎だった。

 17日の受診時にも左下腿の違和感があった(発赤もあったのだろう)。高熱で具合が悪くてそれどころではなかったという。

 2月の時も病棟が満床で、皮膚科外来で抗菌薬点滴静注に通院して軽快治癒した。すでに昼過ぎになっていて、皮膚科医はその日午後は不在だった。2月と同様に外来でセフトリアキソンを点滴静注して、翌日皮膚科外来で診てもらうことにした。

 20日(火)は急性期病棟の患者さんを地域包括ケア病棟に移動させて、入院可能だった。外来で点滴に通院するのは面倒ということで、今回は入院となった。

 

 この患者さんは、関節リウマチで大学病院に通院して、プレドニン(6mg/日)を内服している。軽度のステロイド糖尿病でメトホルミンも投与されていた。

 

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