なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌・脳転移

2022年03月31日 | Weblog

 水曜日に、がんセンターから肺癌の71歳男性が紹介されてきた。

 一昨年5月から頭痛・めまいがあり、8月半ばに右半身麻痺と失語が生じて、地域の基幹病院に救急搬入された。脳血管障害ではなく、左前頭葉に腫瘤とそれに伴う浮腫があった。(右は今年1月の像)

 

 また左肺に腫瘤を認めた。肺癌・脳転移と診断された。そこの脳外科では腫瘍は扱えないので、がんセンターに搬送された。

 がんセンター脳外科で腫瘍摘出術が行われて、その後に全脳照射が行われた。今年1月のMRIを見ると、効果があったことがわかる(その後の癌化学療法の効果も)。

 抗がん剤の変更などで治療が継続されたが、全身状態が低下して、積極的な治療は継続できなくなった。後は緩和ケアとなる。左肺が癌の進行で(無気肺も)つぶれてしまっている。

 オピオイドは呼吸困難感のある時にモルヒネ剤屯用になっていた。定期処方のオピオイドはなかった。外来で経過をみて、病状悪化時に入院になるが、近いうちに入院になりそうだ。

 

 最初に搬入された時は右半身麻痺・失語なので、左大脳(中大脳動脈領域)の脳血管障害を想定して検査したと思うが、驚愕の画像が出てきたのだった。

 

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慢性膵炎術後

2022年03月30日 | Weblog

 退職する外科医は先週初めに、もう一人の患者さん(75歳男性)を消化器科医に申し送っていた。

 大学病院で慢性膵炎の手術’(Frey手術)をしていた。膵性糖尿病でインスリン強化療法になっている。それだけでも大変だ。

 その後に食道胃接合部の癌と診断されて、癌切除・食道胃管吻合術(胸骨前)を受けた。術後の2月半ばに、当院外科にリハビリ目的で転院していた。経口摂取もできるが、腸瘻造設による経管栄養をしていた。

 さらに前立腺癌・多発性骨転移があり、大学病院泌尿器科でホルモン治療を受けていた。満身創痍の患者さんなのだった。

 

 胸腹部CTを見ると、膵臓に膵石が散在して、膵管が不整に拡張している。まさしく慢性石灰化膵炎(アルコール性)だった。

 Frey手術だと胃はそのままなので、まだ上部消化管内視鏡検査も普通にできる。食道胃接合部癌の手術にはそれほど支障がないのだろうが、全体的には消化管の組み換えが複雑に出来上がったことになる。

 (慢性膵炎の手術)

 大学では少しだけ膵臓の研究をしていたので膵疾患には関心があるが、最近急性膵炎(特にアルコール性)の患者さんを診ることはほとんとなくなった。

 

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申し送られた患者さん

2022年03月29日 | Weblog

 最後に残っていた外科医が今月いっぱいで退職して、他の病院に移動になる。先週末が最後の出勤日だった。

 コロナで送別会はできないので、医局長が花束と記念品を渡しただけの送別になった。20年以上の勤務で本来ならば盛大な送別会を開くところだ。

 長年いっしょに勤務した消化器科医が、個人的にいっしょに飲んだと言っていた。移動は医局の指示であり、ご本人は不本意だったが仕方がなかった。

 

 外来患者は数か月前からできるだけ他院に紹介している。入院は最後に残った79歳男性を当方に申し送っていた。

 2月初めの日曜日に呼吸困難で救急搬入されて、肺炎・胸膜炎で特に左肺の病変がひどかった患者さんだった。(右は胸腔ドレナージ後)

 胸腔ドレナージと抗菌薬投与でなんとか改善していた。嚥下障害で、「唾液で溺れている」という申し送りだった。それでも胸部X線(ポータブル)で見ると、案外きれいな肺に見える。

 

 2019年7月に直腸癌の手術を当院でしていた。人工肛門が造設された。2020年3月には肝転移に対して肝部分切除術も施行していた。(肝切除した外科医はすでに退職)

 その後は、ポートを使用して癌化学療法を受けていた。抗がん剤投与で数日の入院を繰り返していたが、今どきだと本来は外来化学療法なのだろう。腫瘍マーカーが上がらない方なので、現在の癌の広がりはPET-CTで見ないとわからない。

 

 1週間前に発熱と炎症反応の上昇があり、抗菌薬を短期間投与していた。喀痰培養では、MRSAとセラチアが検出されていたが、セフトリアキソンで解熱軽快しているので、検出菌は定着菌で起炎菌ではないのだろう。

 通常の高カロリー輸液にしていたが、腎機能がちょっと悪化して、先週末から腎不全用の高カロリー輸液に変更していた(腎機能は変更前には前と同程度に戻っていたが)。糖尿病があり、インスリンを混合していた。

 とりあえずは、誤嚥性肺炎に注意しながら、同じ点滴で経過をみることになる。それなりに安定したら、療養型病床のある病院と交渉することになるか。

 

 

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わからない発熱

2022年03月28日 | Weblog

 先々週に発熱が続く78歳男性が入院していた(他の内科の先生が担当)。外国人の方で、なんでもポルトガル語を話すという話だったが、日本在住が長く日本語はわかる。

 両側肺野に浸潤影があるように見えるが、呼吸器症状はなかった。尿所見は尿路感染症らしくなかった。スルバシリン(ABPC/SBT)で開始していた。

 入院当初の炎症反応は、白血球10300・CRP42.2と著明に上昇していた。発熱は38~39℃を推移していた。

 右膝痛があったが、膝関節自体ではなかった。X線でもわずかなOAの変化しかなく、関節内石灰化はなかった。膝蓋骨の形に境界明瞭な発赤があり、真っ赤にピンクを少し混ぜたような色だった。顔面ならば丹毒となるが、膝頭でもあるのか。

 抗菌薬投与で数日して、その部分は退色して境界は不明瞭になっていた。疼痛も軽減している。皮膚(軟部組織)感染症なのだろうか。

 数日して血液検査で炎症反応が軽減して、発熱の程度も37~38℃台になった。発熱が続いていたので、担当医は抗菌薬をメロペネムに変更していた。

 本日の検査では、白血球6000・CRP14.2に軽減していた。37℃台の発熱はあるが、先週末から意識も良くなり、食事摂取は良好だった。

 胸腹部CTで胸椎を取り巻く軟部組織を指摘されていた。リンパ腫疑いとあったので、可溶性IL-2受容体抗体を提出していたが、1700と微妙な値だった(炎症での上昇相当)。病変?の濃度からはリンパ腫といえるかどうかはっきりしない。生検できる部位ではないので、再検はしてもいいと思うが。

 蜂窩織炎では血液培養の陽性率が5%程度だが、入院時に血液培養提出がほしかった。全体的には良くなっているが、右膝の皮膚感染症?(何らかの結果?)だけでこんなことになるとも思えない。後縦隔の病変なのだろうか。

 

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蜂窩織炎で入院したCOVID-19の高齢者

2022年03月27日 | Weblog

 水曜日に新型コロナウイルス感染症で入院していた92歳男性が退院した。

 3月2日に発症して当初はホテル療養となった。その後高齢のコロナ患者さんを診る施設療養になったそうだ。そういう施設があるのは知らなかったが、最近できたばかりなのかもしれない。

 8日目に高熱があり、翌日に当番の病院でアセスメントが行われた。コロナの肺炎なのではなく、右前腕~手指の発赤・腫脹・疼痛があり、蜂窩織炎と診断された。

 レボフロキサシン内服が処方されたが、入院で抗菌薬の点滴静注が必要というコメントが出た。翌日は微熱になっていたが、当院に入院依頼が来て、入院となった。

 入院したのは発症10日目に当たり、感染病棟に入院させるしかなかった。元気な方で。右手はかなり腫れていたが、ポータブルトイレには自分で移動できて、その後は個室内のトイレまで歩いていた。

 白血球5100(もともと3000くらいらしい)・CRP11.5と炎症反応が上昇していた。胸部CTで肺炎像はなかった。

 セファゾリン1gを1日3回の点滴静注を行って、解熱軽快した。入院5日目には、白血球3200・CRP1.8と炎症反応は著明な改善があったが、右手の腫脹は続いた(疼痛は軽快して喜んでいた)。1週間後にはケフレックス内服に変更して経過をて、右手はほぼ普通の状態(左手と同じ)になった。

 

 最近80歳代後半~90歳代のCOVID-19 患者さんばかりで、隔離期間が過ぎてもすぐには退院できないことが多い。感染病棟から自宅退院できるのはありがたい。もっとも退院日の朝に滑って転倒して看護師さんを慌てさせた(骨折はなく問題なかったが)。

 

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内側側頭葉てんかん

2022年03月26日 | Weblog

 火曜日の救急当番の時に、20歳の男性が救急搬入された。てんかんで当院小児科に通院している。いわゆる小児期からの持ち越し例ということになる。

 発達障害があるそうだ。確かに会話すると、小学生のような印象のしゃべり方だった。主訴は右臀部痛で、先週の震度6強の地震があった時から続いているという。

 転倒して打撲したわけでもなく、物が倒れてきて当たったわけでもなかった。数日は足を引きずるようにして歩いていたが、土曜日からは歩こうとしなくなった。

 右臀部には圧痛はなかった。右下肢を挙上しても痛みはないようだ(表情は変らない)。2~3年前に大型の台風が来た時と、昨年2月の地震の時にも同じ右臀部痛を訴えたが、2日くらいで治まったので、受診はしていなかった。

 今回は症状が長く、実際歩こうとしないので、父親が救急要請したという経緯だった。通常の骨盤X線で確認したが、単純X線で見る限り、異常はない。CTやMRIで診ないとわからないのかと思ったが、圧痛がないのでそこまでするべきか。

 ふだん診ている小児科の先生に相談すると、こちらで診ますということだった。血液検査をすると、炎症反応がわずかに上がっていた。

 地域の整形外科の外来に紹介となった。先方の検査では炎症反応は軽快していたが、MRIで確認するそうだ。

 

 この患者さんは内側側頭葉てんかんと診断されている。抗てんかん薬は4剤併用になっていた。最近、発作(意識減損を伴う自動症)が断続的にみられて、手術の可否を相談すべく専門病院に紹介していた。

 てんかんは簡単なテキストしか持っていないが、内側側頭葉てんかんは薬剤抵抗性に経過するとある。

 2018年に頭部MRI検査が施行されていて、左海馬のFLAIR高信号と萎縮を認めていた。テキストにあるような所見だった。「手術治療成績は薬物治療を上回るので、漫然と薬物治療を続けずに、専門の脳外科(の中でもてんかん専門の医師)に紹介すべき」、だそうだ。(本人の同意を得るのは難しいかもしれないが)

 

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糖尿病性壊疽

2022年03月25日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院形成外科から78歳男性が転院してきた。1型糖尿病で左第3趾の糖尿病壊疽で、今月初めに当院外科に入院した。経過が思わしくなく、先方の病院に転院となった。

 左第3趾の切断術が行われて、開放創で経過をみて、その後断端形成術が行われた。術後の創培養から緑膿菌が検出されて、抗菌薬(モダシン)を使用したとある。

 3月で常勤の外科医がいなくなるので、皮膚科医に転院の話が来たが、1型糖尿病があって血糖コントロールが難しいので、創処置だけ担当します、ということになった。(皮膚科主治医で、内科で血糖コントロールでもいいのだが)

 超速効型インスリン3回と持効型インスリン1回の皮下注で、現在はいずれも3単位ずつになっていた。今回の壊疽の感染症で転院後はインスリン量は増加されていたが、それでも5単位程度だった。

 この患者さんは、当院の糖尿病外来(大学糖尿病代謝科から)に通院している。低血糖で1回のインスリン量が1単位や2単位の指示になることもあった。強化療法でも血糖コントロールが難しい。直近のHbA1cは8.0%だった。

 

 2002年の58歳時から糖尿病で当院消化器科(当時は消化器科医が糖尿病を診ていた)に通院していた。当初は経口血糖降下薬(当時なのでグリベンクラミド)で治療していたが、血糖コントロールが悪化して教育入院でインスリン治療が開始された(混合型1日1回)。

 その後、経緯はわからないが、ちょっと遠方の糖尿病専門医のクリニックに通院していた。下記の大動脈解離発症後は(専門病院での治療後に当院循環器科に転院してリハビリ)、クリニックへの通院困難ということで、当院に糖尿病外来に通院することになった。

 最初の糖尿病科外来受診時に外注検査が出されていて、抗GAD抗体陽性・血中Cペプチド完全枯渇(測定感度以下)だった。発症年齢からは緩徐進行型1型糖尿病に相当する。

 

 2016年11月3日の大動脈解離発症時、当院で診たのは当方だった(たぶん日直だった)。その日ブログ記事を記載していたので再掲して画像を追加。(胸部X線は今回の3月の入院時検査で、大動脈にステントが挿入されている)

 

(2016年11月3日の記載)

 今日は日直で病院に出ている。73歳男性が嘔気・嘔吐が続して食事がとれないという症状で救急搬入された。ちょっと遠方の糖尿病専門医のクリニックに糖尿病・高血圧症で通院している。糖尿病の治療はインスリン強化療法だった。

 3日前の月曜日から症状があり、昨日クリニックを受診した際にそのことを訴えた。ポタージュスープなど食べやすいものをというアドバイスを受けたそうだ。

 微熱があり、酸素飽和度が軽度に低下していた。血圧も90~120mmHgで変動した。意識も会話はなんとかできるが、ぼんやりしていた。搬入時に血糖が73mg/mlと低下気味で、50%グルコース20mlを静注したところ、30分後には300mg/ml越えで上げ過ぎてしまったが、意識ははっきりしてきたので、最初は低血糖の影響かと思った(たぶん点滴を入れたのが効いた)。

 心電図は異常なし。胸部X線で右肺炎?と思って、浸潤影と胸水を見るために、胸腹部CTをとると、大動脈解離だった。造影CTを追加して確認した。大動脈弓の直下からの解離だった。胸部X線でも縦隔開大と大動脈弓の石灰化の位置で気づくことができるのだった。

 搬入時には訴えていなかったが、よくよくきくと、月曜日から胸部不快感があり、本日の午前4時から強くなったそうだ。どこか痛いところ苦しいところはありませんがではなくて、頭痛は?胸痛は?腹痛は?関節痛は?と何度も訊けばよかったのだろう。

 心臓センターのある専門病院に連絡すると、受けてくれたのですぐに搬送した。後縦隔が腫脹して両側胸水(血性か)もある。このくらいだと大動脈解離としての重症度病状は厳しいのだろうか。

 

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腹部大動脈瘤

2022年03月24日 | Weblog

 内科外来に特発性(自己免疫性)血小板減少症で通院している69歳女性は、経過が長い。

 当方が当院に赴任する前にいた血液内科医が発症当初から診ていた。プレドニンを休止すると、血小板数が1万未満になってあわてたこともあったようだ。その後は、プレドニンは絶対に中止しないという方針になっていた。

 血小板数が10万を切って、プレドニンを少し増量したこともあった。最近はプレドニン5mg/日で血小板が10~15万で安定して、さらに15万前後で推移していた。これまでの経過から、へたに漸減などはしないで、5mg/日で継続とした。

 受診した時に軽度の肝機能障害があり、体重が2kg増加したという。脂肪肝を疑って腹部エコー検査を行うと、脂肪肝どころではない病変があった。腹部大動脈瘤だった。

 腹部CTで確認すると、確かに径5cm紡錘形の腹部大動脈瘤がある。

 

 症状はなかったが、腹部大動脈瘤で径5cmだと手術適応があるので、最近専門医が赴任した地域の基幹病院の血管外科に紹介した。

 患者さんは手術に前向きなので、手術を予定しますという返事が来ていた。

 

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肝血管腫

2022年03月23日 | Weblog

 先週内科医院から当院消化器科に47歳女性が紹介された。心窩部痛と腹部エコーで高エコーの腫瘤があったという内容だった。

 高エコーの肝腫瘤は通常は肝血管腫(肝細胞癌もあるが)なので、腹部造影CTで確認していた。単純CTで低濃度に描出される腫瘤が、造影では早期から次第に内部が造影されていき、血管腫で間違いなかった。

 

 心窩部痛については上部消化管内視鏡検査を行っていた。軽度の萎縮性胃炎で、ピロリ菌の検査(尿素呼気テスト)を行って陰性を確認していた。

 処方は何を出すのかと思ったが、機能性ディスペプシア(心窩部痛症候群)としてアコファイドを使用していた。効果がない場合は、六君子湯などもご考慮下さいという記載だった。

 確実に効果のある処方もないので、まあいろいろやってみて経過を見てください、ということだろう。

 

 感染病棟に入院しているCOVID-19の96歳女性は、食事摂取が進まなかったが、先週末から食べられるようになった。退院後にデイサービスなどが受けれれるように調整して退院にできそうだ。

 今日また保健所から90歳代の患者さんの入院依頼が来ている。最近の入院は80歳代後半から90歳代になっている。

 

 

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化膿性脊椎炎?

2022年03月22日 | Weblog

 先週水曜日の午後11時過ぎに腰痛の74歳男性が救急搬入された。

 もともと頸椎症の術後で、左半身の筋力低下がある(左上肢は筋肉量が低下)。自宅内をつたい歩きするくらいのADLだった。

 2~3日前から腰痛があったらしいが、その日に急激に腰痛(右臀部痛も)が悪化して、動けなくなった。救急隊から搬入依頼があった時は、椎間板ヘルニアかと思った。

 当院の整形外科診療はちょっとあやしいが、地域の基幹病院に連絡して搬入不可だったというので、とりあえず来てもらった。

 37.2℃の微熱があり、一応発熱外来扱いで新型コロナの抗原定性検査をしてから、通常の検査をした。ストレッチャーからの移動でも痛みで声を上げていた。

 夜間は頭部以外MRI検査はできないので、CTで検討を付けることにした。お騒ぎでCT台に移動して撮影する時に、地震が来た。最初の揺れで終わりかと思ったら、その後にさらに大きな揺れがきた。

 立っているのもちょっと難しいくらいの揺れだった。体格のいい看護師さん(当直師長)が放射線部の女性技師といっしょにCT台の患者さんを押さえていた。

 停電になってしまい、病院内は自家発電に切り替わったが、検査はできなかった。その日は(午前0時を過ぎて翌日扱いになったが)鎮痛薬で経過をみて、翌日に検査ができるようになってたら行うことにした。腎機能もわからないので、アセリオ注1000mg点滴静注を入れた。

 

 翌朝午前5時ごろに停電は回復していた。放射線科と検査部で器械の点検をしてから検査開始となった。まだ腰痛があり、同じ姿勢をとり続けるのが困難だった。それでもかろうじて読影できそうな画像ができた。

 夜間に38℃台の発熱があり、血液検査で白血球8500・CRP8.0と炎症反応の上昇を認めた。 腰椎のL2-4の前部に高信号を認めた。読影レポートとしては化膿性脊椎炎疑いだった。血液培養2セットを提出した。胸腹部CTで確認したが、発熱・炎症反応上昇を説明するような病変は指摘できない。 

 翌日の金曜日に、患者さんはトイレまでつたい歩きで行っていた。腰痛はどうかと訊くと、まったく痛くないという。もう帰りたいともいう。ADLとしてはふだんと同じくらいらしい。

 処方はカロナール(500mg)3錠分3・セレコキシブ(100mg)2錠分2を出していた。抗菌薬はまだ投与していない。

 夕方に家族に来てもらった。3連休になるが、連休明けに地域の基幹病院整形外科の外来予約を取ったことを説明した。患者さんはいっしょに自宅に戻ると主張したが、家族の説得で入院継続となった。

 抗菌薬は使用せず、経過をみていたが、(アセトアミノフェン+NSAIDs投与で)発熱はなかった。腰痛の悪化はなかった。化膿性脊椎炎がこんなに簡単に軽快するのは考えにくい。といって、何かといわれるとわからない。

 予定通り、整形外科外来を受診してもらって(当院は退院)、判断は専門医にお任せするしかない。

 

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