クリニックからの紹介で38歳女性が受診した。血液検査上の炎症反応上昇が問題だった。
4年前から体外受精を希望して、有名な産婦人科病院で治療を受けていたが、成功しなかった。それで2年前から別のARTクリニックに通院することにした。スクリーニング検査として行われた血液検査は、2年前は異常がなかったが、昨年11月は異常を認めた。白血球数11000、CRP1.1と微妙なものだった。発熱はない。「内科を受診すること。この値では不妊治療はできない。」と言われた。
そのころに感冒症状(鼻汁・咳・発熱)が出て、他の症状は治まったのに咳だけが続いた。近くのクリニックを受診して処方を受けたが、咳は遷延して、結局2か月弱で症状が消失した。抗菌薬がミノマイシン・レボフロキサシン・ジスロマックと次々に処方されたが、効果はなく、自然経過で治ったようだ。血液検査の異常値も同程度で続いていた。
今日受診して、何か気になる症状はと訊くと、朝に両手がこわばるという。時間は30分くらいらしい。以前から自分でも自覚して、他の人にも言われるのが、手が腫れているということだった。体格が良くて体重はけっこうあるが、体重が変わらないのに結婚指輪はきつくなったというので、有意なのだろう。両手指は少し硬くなっているようだ。ソーセージ様の腫脹とは言い切れない。診察室で見た手指は普通に赤みがかっているが、自分としては赤く見えるというので、寒いところでは白くなるのだろうか。
血液検査では、白血球数9100、CRP1.3と、これまでとほぼ同程度の値だった。血沈46mmHg/時。他の生化学検査は正常域だった。印象としては強皮症が疑われた。リウマチ膠原病の外注検査を提出して、2週間後に外来予約とした。異常がない時はどうしようかと思ったが、高次医療機関に紹介するしかない。
もうひとり別の医院から紹介された83歳女性は、昨年11月から顔のほてりと微熱が続くということだった。程度は変わらないという。漢方薬などを処方されたが、効果がなかったそうだ。もともと心気症の傾向があり、見た目は元気そのもので、付いてきた夫は「すぐ気に病むから」と言う。
血液検査は極々わずかにひっかかるが、やはりこれといったものはない。何か隠れている可能性はあるが、積極的に検査をする気にはならなかった。1か月経過をみてもいいですかと訊くと、それでいいと言う。途中で症状に変化がある時は早めに受診してもらうことにした。
診断力ないなあ。