なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

治療を中断した関節リウマチ

2012年08月31日 | Weblog

 60歳台男性。関節リウマチで治療を受けていたが1ケ月前から治療を中断した。多発性関節炎で歩行できなくなり、夜の救急外来を受診した。当直医は外科医で整形外科に入院させた。翌日主治医になった整形外科医から悪性関節リウマチかもしれないと相談を受けた。炎症反応高値で、発熱がある。膝関節の人工置換術を受けていた。土木関係の仕事で各地を転々としているので治療継続が難しいそうだ。治療薬はプレドニンとリウマトレックスだった。上肢の関節もだが、両側膝関節と足関節の腫脹・熱感が目立つ。胸部X線で胸膜の背側が部分的に肥厚しているが、活動性の間質性肺炎はない。明らかな関節外症状なさそうだった。とりあえずステロイドを再開して、大学病院から外来診察に来ている整形外科医がリウマチ専門なので相談するという。これまで関節リウマチの患者さんをあまり診ていなかった。今まで見たうちでは最も関節炎がひどい。

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できるだけ低血糖を避ける

2012年08月30日 | Weblog

 消化器科医から糖尿病の患者さんのことで相談を受けた。92歳女性で一人暮らしをしている。この暑さのせいで脱水症になり、入院していた。点滴数日で回復して食事摂取は普通になった。もともと糖尿病があり、食事療法のみでは血糖が200~300mg/dlになる。DPPⅣ阻害剤から開始したが、ケットウの改善はもうひとつだった。飲み間違いや低血糖の危険性を考えるとSU剤は使いたくない。軽度だが腎機能障害があり、メトホルミンは使いたくない。まずアクトスを追加して経過をみることにした。それにしても退院したら、また一人暮らしに戻ってやっていけるのだろうか。

 低血糖で入院していた80歳女性は、循環器科からSU剤とDPPⅣ阻害剤とアクトスが処方されていた。最近は食事量も低下してきて、実際は寝たきりに近く、病院に連れてくるのも大変という。症状も軽度の意識障害ののか認知症かのか、初めて救急外来で診ると判別しにくい。HBA1cが5.3%と良好な値なので、SU剤は中止とした。

 65歳男性は消化器科にアルコール性肝硬変と糖尿病で通院していた。一人暮らしで、以前から民生委員が時々自宅に様子を見に行っていた。たまたま民生委員が自宅に行って話をしている時に低血糖症状が出現して、救急要請してくれた。一晩低血糖で倒れていたら低血糖脳症で大変なことになっていただろう。ランタス注とDPPⅣ阻害剤とSU剤が処方されていた。SU剤を中止すると多少血糖は高くなるが、肝硬変があるため低血糖に弱い、SU剤中止で経過をみることにした。

 最近の糖尿病治療はすっかりDPPⅣ阻害剤が中心になった。極力SU剤を避けるか、ごく少量使うかという方針になる。

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夏バテ防止で血糖上昇

2012年08月29日 | Weblog

 61歳男性。糖尿病で外来通院している。最近のHbA1cは6.5%程度だったが、今日は7.4%と悪化していた。話を聞いてみると、夏バテしないように、いつもより食べるようにしていたそうだ。毎年夏は食べ過ぎるというので、昨年の血糖値をみると、夏だけ確かにHbA1cが0.5%上昇していた。これからは食事量を戻しますというので、処方は同じにして次回の検査をみることにした。今日外来に来た他の2名の糖尿病患者さんも同じ話をしていた。逆に暑さで食欲が低下してHbA1cが低下した患者さんもいた。その患者さんはインスリンを使っているが、血糖値が高く教育入院を勧めている。次回は食欲が戻って、血糖が元に戻るのかもしれない。

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外腸骨動脈閉塞

2012年08月28日 | Weblog

 昨日は外科医が当直だった。朝にコンピュータ画面で夜間の救急外来受診患者さんをチェックすると、一番の大物は89歳男性だった。2-3日前から右下肢が痛くなり、昨日の深夜に救急外来を受診した。下肢の造影CTで右外腸骨動脈が閉塞していた。血管外科医が呼ばれたが、すでに下肢の壊死が進行しつつあり、筋原性酵素が著明に上昇していた。血行再建は困難で、下肢切断も部位的にできないという。前日に整形外科を受診したらしい。鎮痛剤が処方されているが、下肢の冷感に気づかなかったのだろうか。

 外来で、17歳男性(高校生)は右肺炎だった。白血球数が正常域でマイコプラズマ肺炎が疑われた。病棟では81歳男性肺癌の患者さんが亡くなった。入院患者数は病院全体でも減っているが、受け持ち患者数も減って10数名となった。お盆前に比べれば、診療は楽になっているが、看護部は産休や病休が多くて大変らしい。

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手術不能の乳癌

2012年08月27日 | Weblog

 昨日は当直だった。22歳女性の急性虫垂炎を外科にお願いしたくらいで、比較的平穏だった。

 97歳女性。それまで自宅で這って動いていたが、動けなくなったということで家族が救急要請した。外科外来に乳癌で通院していたが、手術不能だった。左前胸部に乳癌が不整な隆起として盛り上がっていて、表面は崩れて化膿と出血のため、ガーゼと尿とりパットを当てていた。今時お目にかからない病状だった。意識は清明で特に麻痺はない。両側膝関節が変形拘縮していた。動けないのは膝のためかと思われたが、炎症反応(白血球数・CRP)が高値だった。肺炎はなかった。尿は軽度に混濁していたが、腎盂腎炎とも言い難い。乳癌周囲の皮膚に発赤・腫脹・熱感を認め、前胸壁に蜂窩織炎をきたしている。入院して抗菌薬(セファゾリン)で経過をみることにした。今日外来で診ている外科医から外科で診ますといわれたので、そのままお願いした。

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高齢者のうっ血性心不全

2012年08月25日 | Weblog

 87歳女性。1ヶ月半前から腰椎圧迫骨折で整形外科クリニックに入院していた。そこは、今時珍しく入院ベットを持っている。木曜日の早朝から胸が苦しくなって、頭重感もあった。夕方になって整形外科医の院長が気づいて当院へ紹介してきた。待っていたが、なかなか到着しない。外来の看護師と、救急車で搬送するように連絡しようかと相談していると、クリニックの看護師が付き添ってそこの車で送ってきた。当院に到着したときは時間外になっていた。紹介状には胸痛と頭痛で紹介と記載されていたが、実際の症状は微妙に違う。心電図では虚血性変化は全く認めず、正常洞調律だった。血液検査ではBUPが900と高値で、それ以外は炎症反応も陰性で異常なしだった。胸部X線とCTで心拡大・肺うっ血・胸水を認めた。聴診で心雑音はなかった。両側下腿に浮腫を認めた。血圧は200/105mmHgと著しく高値で、頭重感は高血圧による症状だった。87歳だけあって、難聴で大声で話さなければならず、理解力の問題で何度も聞かないと症状を教えてくれない。よくよく聞いてみると、心不全症状で呼吸が苦しいが正しい表現になる。室内気で酸素飽和度は94%で画像所見の割には低下していなかった。

 1年前まで内科クリニック(循環器科医)で高血圧症の治療をしていたが、中断していた。ラシックス20mgとソルダクトン200mgを静注して、ペルジピン1mgを静注すると血圧は140mmHg程度に下がった。当番の循環器科医にすでに帰宅していて、携帯電話に2回かけたが、出なかった。酸素飽和度が極端に低下していないので、内科でそのまま診ることにした。降圧のため、さっそくCa拮抗剤の内服を開始した。翌日の胸部X線で心不全の所見はかなり改善していた。機能の当番だった循環器科医に心エコーを依頼してみてもらった。有意な弁膜症はなく、左心室の肥厚が目立った。ラシックス10mgとソルダクトン200mgの静注をして、翌日からは利尿剤(ダイアート)とARB(ミカルディス)の内服で経過をみることにした。うまくいけば1~2週間で心不全が軽快して退院可能となるかもしれない。ただし腰痛で1ケ月半ベット上にいたので、どこまでリハビリをするかだ。それにしても、ラシックスだけで治療するのは古典的だ。循環器科だとトリプルルーメンの中心静脈カテーテルを挿入して、ハンプなどが使用されると思う。降圧剤も点滴静注で継続されるだろう。内科の治療は、このくらいの重症度だから許される治療というべきか。

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これは気管支喘息でしょう

2012年08月24日 | Weblog

 21歳女性。先週の外来に2週間前から咳が続くという訴えで受診した。発症時に発熱があったかどうかはっきりしない。少なくとも38℃以上の高熱はなかったようだ。日中も夜も咳が出るいう。夜間に喘鳴は自覚していない。診察でも異常はなかった。胸部X線は異常なし。炎症反応は正常域で好酸球増加もない。RSウイルスとマイコプラズマの迅速試験は陰性だった、急性の咳が長引いているというべきか、慢性咳の始まりというべきか、なんともいえない。レスプレンとテオドールとクラリスを処方して1週間経過をみた(クラリス処方は問題ありといわれそう)。今日再受診した。耳鼻咽喉科を受診したが所見はなかったそうだ。そのうち、過呼吸になると言い出した。よく聞いてみると夜間それも午前2時ごろに過呼吸になるという。過呼吸というのは本人の表現で、喘息発作が起きているようだ。初診時から夜間に喘鳴があるかどうか何度も聞いていたが(わかりやすく具体的に聞いたつもり)、うまく症状を説明できなかった。、しつこく聞いていると、どうもあるらしい。プレドニンを3日間内服して、吸入ステロイドを開始した。内服はテオドール継続(吸入ステロイドとの相乗効果期待)にシングレアを追加した。次回受診時には症状が軽快している予定だが、どうなるか。ちなみにスパイロはほとんど正常域だが、ピークフローが軽度に低下していた。

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耳鼻科領域のリンパ腫か

2012年08月23日 | Weblog

 44歳女性。2週間前から発熱と咽頭痛があった。耳鼻咽喉科クリニックを受診して、セフェム系の抗菌薬を処方された。熱は37℃台だった。今日の早朝に前胸部痛で地元の病院を受診した、心電図で虚血性心疾患の所見はなかったが、症状が続くため当院へ搬送されてきた。昨日当直の外科医が受けた。まだ胸痛があり、上背部痛もあるというが、持続痛ではなかった。吸気で胸痛が生じるわけでもない。心音・呼吸音は正常だった。心電図ではやはり虚血性変化を認めない。胸腹部造影CTで急性大動脈解離はなかった、酸素飽和度は正常で気胸でも肺梗塞でもない。原因がはっきりしないが、重大な心肺疾患はないということになった(日勤帯になり、放射線科医も循環器科医も来ていた)。むしろ血液検査で異常があり、内科の私に連絡がきた。

 頸部リンパ節(前頸部と後頸部)が拇指頭大とピンポン玉大の中間くらいの大きさで複数触知した。CTでは両側腋下部のリンパ節腫脹もあった。血液検査でリンパ球系異常細胞が20%認められた。肝脾腫もある。肝機能検査でAST・ALT・LDHの上昇を認め、LDHの上昇が目立つ。単なる化膿性扁桃炎(咽頭炎)や伝染性単核球症ではない。耳鼻咽喉科領域から出たリンパ腫が疑われ、すぐに血液科のある専門病院に紹介することにした。当院でもリンパ節生検や骨髄穿刺(ある程度見当はつくが、診断は外注)はできるが、耳鼻科領域とすると気道閉塞の問題があり(今のところは呼吸苦なし)、早急に紹介するべきと考えた。当直の外科医は、当直終了前の依頼だったので、検査をして循環器科に回せばよいと判断したのだろうが、予想外の展開だった。

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熱中症で搬入

2012年08月22日 | Weblog

 42歳男性。朝から高速道路で作業していた。朝食は食べず、昼食もあまりとらなかった。午後になって、手のしびれと脱力があり、その後動けなくなって倒れた。同僚が病院に連れてきた。午後は小児科外来のみ開いていたので、そこで診てもらえると思って担ぎ込んだ。すぐにストレッチャーで救急室へと運ばれて救急当番の私が呼ばれた。呼びかけると短く話はできたが、意識がぼんやりしていた。さっそく生理食塩水の急速点滴を開始した。500mlが2本入ったところで、少し反応がよくなった。検査では血液濃縮が目立ち、腎障害(脱水による急性腎前性腎不全)があり、血清クレアチニンが3md/dl台だった。念のため行った頭部CTは異常なしだった。入院で明日まで点滴を持続することにした。

 32歳男性。救急隊から連絡があって、朝から畑で作業していて、筋肉がつっぱり動けなくなったという。搬入時、こちらは意識は清明で、筋肉のつっぱりも少し軽減していた。生理食塩水1000mlで症状は軽快した。こちらも血液濃縮があり、血清クレアチニン1.5だった。一晩病院にいることを勧めたが、症状がとれて明日仕事(室内での仕事)があるので帰りたいという。若いので大丈夫だろう。生理食塩水をもう500ml追加して帰宅とした。

 病院内も病室はエアコンが効いているが、廊下は暑くて湿度が高くムッとしている。夕方になっても、外はまだ暑そうだ。

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低血糖で昏睡

2012年08月21日 | Weblog

 76歳男性。内科医院に糖尿病で通院している。インスリン(ノボラピッド30ミックス)を朝夕に注射していた。朝食後に農作業をして、家に戻って日本酒を2合飲んだ。お昼に妻が、意識がないのに気づいて救急要請した。搬入時は昏睡(JCS300)だった。16mg/dlと著しい低血糖になっといた。50%ブドウ糖の注射ですぐに意識は戻った。救急当番の外科医師から連絡が来て、救急外来へ診に行った。日中でもお酒を飲むのは以前からのことらしい。HbA1cは4.9%と血糖コントロールは良好だが、良好というより、低すぎる。昼前に低血糖を自覚することがあるというが、無自覚低血糖も頻発していると思われる。アルコールによる低血糖も起こる患者さんなので、もっと緩いコントロールのほうが無難だろう。アルコールをやめる気はないというか、まったく考えたことがないようだ。奥さんが注意してもまったく効果がない。点滴を継続して、遅い昼食を食べてもらい、血糖を1時間おきに測定して経過をみたが。低血糖にはならなかった。最近はさっぱり行っていないという血糖自己測定をして、主治医の先生に適切なインスリン量を指示してもらうことにした。とりあえず、朝のインスリン量を少し減らすことにする。

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