なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「内科で診る不定愁訴」

2016年12月31日 | Weblog

 「治療」2015年11月号特集CRPology(忽那賢志先生編集)を読んでいる。国立国際医療研究センター総合診療科の國松淳和先生が、「不定愁訴とCRP」の項を書かれていた。

 どこかで聞いたような名前と思ったが、ケアネットで不明熱の講義をしている先生だった。そして、「内科で診る不定愁訴」中山書店の著者だった。書店でみたことはあるが、まだ購入していなかった。

 昨日書店で改めて内容をみて、これは買いだった。まず、炎症反応のあるなしと、局在性のあるなしで分類した「不定愁訴診断マトリックス」を作成している。炎症反応ありなら、不定愁訴とはとらずに原因をさがしに行く。炎症反応なしでも局在性なら、やはり器質的な原因をさがず。炎症反応なしで局在性がないと、心身症にもっていきたくなるが、内分泌代謝疾患や神経疾患も入っているのでやはりちゃんと疾患をさがすのだった。

 不明熱を講義する先生が不定愁訴の講義をしていることになるが、不明熱の検索も不定愁訴(とされてしまいそうな主訴)の検索も同じことなのだった。

 この本の監修をされている加藤温先生は、もともと精神科医で「状況別に学ぶ内科医・外科医のための精神疾患の診かた」の著者だった。この本もすぐ買うことにした。

 「治療」の座談会での山口征啓先生(大手町病院)の、「CRPはのろまだけどいいやつなんです」にすごく同意してしまう。

 今日は当直(宿直)で病院に来ている。12月31日の当直はここ5年以上定番になってしまった。

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SGLT2阻害薬とケトアシドーシス

2016年12月30日 | Weblog

 29日の午前3時ごろに73歳女性が嘔気・倦怠感で救急外来を受診して入院していた。内科医院に糖尿病で通院していて、血糖コントロールが悪く(HbA1c10~11%))、今月からSGLT2阻害薬が処方された。処方後から嘔気が続いていたようだ。

 血糖は365md/dl・HbA1c11.4%で高値で、血液ガス検査でpH7.148でHCO3が5.1(BE-22.4)と糖尿病ケトアシドーシスだった。当直医が主治医で治療を開始して、入院後は改善している(同日午後から食事開始された)。

 昨日日直で出てきていたが、入院の心不全の患者さんを診に来ていた若い循環器科の先生が、「これはSGLT2阻害薬のためですかねえ」とおしえてくれた。どれどれと画面で確認すると、上記の経過だった。この方は肺炎を併発していて、それも悪化の原因になったもかもしれない。

 血糖コントロール不良として、当院に紹介されてもおかしくないが、内分泌代謝の得意な先生なので、自分で診ていたのだろう。DPP4阻害薬+SGLT2阻害薬という今時の処方だった。この順番の処方で間違っているとはいえないだろう。

 以前SGLT2阻害薬処方に伴う副作用を危惧し過ぎていた時に比べれば、最近は少しずつ処方が増えている。ただし、DPP4阻害薬のように誰にでも安心して出せるという薬ではない。

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年末年始の始まり

2016年12月29日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。29日はまだ市内のクリニックのほとんどが開いているので、それほど受診は多くなかった。

 85歳女性が食事中に一過性に意識消失して救急搬入された。食事の時だけ起き上がるくらいのADLなので、一過性に脳循環不全となったものかと思われた。救急隊到着時には意識が回復していて、搬入時には会話可能だった。一通り検査して異常がなければ帰宅も可能と思った。ところが、胸部X線で左胸水があり、胸腹部CTで確認すると腹水もあった。

 この方は今年の10月に大腸癌(上行結腸2か所に進行癌)で外科手術を受けていた。術中腹水細胞診は陰性とある。手術自体するかどうか本人と相談して、手術に踏み切ったそうだ(つまり術中の死亡もありうるという説明で)。全身状態から術後の化学療法の適応はなかった。CEAは軽度上昇して、術前より若干高かった。正確には細胞診での診断が必要だが、安全に穿刺できる程度ではない。入院して経過をみることにしたが、同居の娘さん(高めの中年だが)には、癌性胸膜炎・腹膜炎の可能性があると伝えた。

 75歳男性は、感冒症状(鼻汁・咽頭痛・咳)で受診した。37,5℃の発熱もあり、症状が1週間続いているという、食欲もないというので、胸部X線に点滴と血液検査を行った。胸部X線ではっきりしなかったが、炎症反応が上昇していて、追加した胸部CTで肺炎の浸潤影があった。体格も元気もよく、この時期入院したくないというので、外来でセフトリアキソンを点滴静注して、レボフロキサシン内服で外来治療とした。

 82歳女性は、この秋から肝機能障害と肝内胆管拡張があり、内科に入院していた(担当は別の先生)。総胆管拡張はそれほど目立たない。肝門部胆管癌が疑われたが、造影CTでも明らかな腫瘍は指摘できない。この方は認知症で、じっとしていることがない。MRCPはできなかった。胆道感染の治療をしていたが、病棟で抑制しようとしても、うまくすり抜けて動きまわるので、治療にならなかった。抗菌薬経口で何とか軽快して、外来通院になっていた。今日はデイサービス先で黄疸があるので、病院に連れて行くようにと家族に連絡がきたそうだ。確かにいい時よりもビリルビンは高い。発熱はなく、腹痛もない、相変わらずじっとしていなくて元気に?動き回っている。好ましくはないのだろうが、また抗菌薬経口で経過をみることにした。

 年末年始は3回出るが、1回目の今日は楽な方だった。内科当番なので、このまま病院に泊まって明日帰ることにした。

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ホジキンリンパ腫

2016年12月28日 | Weblog

 一昨日の月曜日の他院呼吸器科((地域の基幹病院)から、81歳男性が転院してきた。2年前に頸部リンパ節腫脹があり、その病院の血液内科(大学病院から出張)と大学病院血液内科で精査して、ホジキンリンパ腫と診断された。一時化学療法を受けたが、その後はかかりつけの内科医院に戻っていた。

 今月中旬に体調不良(食欲不振・倦怠感など)で検査したところ両側肺に異常陰影があり、呼吸器科に紹介されて入院していた。両側肺に腫瘍があると判断されたらしい。10日経過して、当院に転院の依頼がきたので、緩和ケアですがと訊いても、まあそんなものという感じではっきりした返事ではなかったが、いつものように受けた。

 来てみると、発熱があり、食事摂取はできなかった。肝心の胸部陰影だが、肺門部から腫瘤(リンパ節腫脹も)があり、その末梢側に浸潤影があった(閉塞性肺炎)。

 呼吸器科の紹介状には、病名しか記載がなく、肺に腫瘍があるという記載しかなかった。鎮痛薬の投与のみで、肺炎の治療をしてようでもなかった。昨日開業医(他の市)の長男が来院して、これまでの経緯を直接聴くことができた。以前に別の病院で何度か会ったことがあり、「お久しぶりです」ということになる。

 胸部CTを診てもらって、腫瘍+肺炎としてできる範囲で治療することになった。希望はとにかく苦痛がないように、余計な管は入れないようにということだった。昨日は目を開けず発語もほとんどなかったが、今日は会話ができるようになった。

 

 今日で仕事治めになるが、年末年始も何度か病院に出る、というよりほぼ毎日病院にいるので休みはない。何人かの入院患者さんたちは、院内の理髪店の出張サービスを受けていた。年末の風景ではある。

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原発不明腹部悪性腫瘍・腹膜播種・癌性腹膜炎

2016年12月27日 | Weblog

 昨日内科新患に内科医院からの紹介で72歳男性が受診した。約1週間前から腹部膨満と食欲不振があった。胸腹部造影CTで、十二指腸近傍に充実性と嚢胞性が混在した腫瘤を認め、それは直腸に接した部位にもあった。

 新患担当の先生から、「こんな患者さんが来てます」と相談された。CEAが5890と著増している。腹膜播種を示唆する結節があり、腹水が貯留していた。腹水細胞診はしていないが、腹膜播種・癌性腹膜炎と判断される。さて原発巣はどこだろうか。両肺野には異常を認めない。肝内にも腫瘤はない。

 放射線科医に相談したが、やはり原発巣を確定できないという。肝臓・胆道系・膵ではない。胃十二指腸は内視鏡検査を施行しないとわからないが、こんな形にはならないと思う。直腸に接した病変から直腸癌も疑われるが、内腔側は平坦だ。腫瘤は一部の腹膜播種巣が増大したものの可能性も考えた。

 いずれにしても、癌腫であること、そして腹膜播種・癌性腹膜炎まで進行していることは、間違いないだろう。まずは診断だが、腹水細胞診はできて腺癌が証明されたとしても、上部下部内視鏡検査で原発巣を確定できるかどうかもわからない。治療は、手術は不可能で抗癌剤治療も適応がなさそうだ。

 付き添いの弟さんに検査結果を説明したが、年齢的にはできるだけの治療を受けさせたいという。当院で精査してるうちに急変することが危惧され、精査不十分ではあるが、すぐにがんセンターの紹介することにした(年内受診の予約をとった)。

 たぶん検査としては、腹水細胞診、上部内視鏡、直腸病変の確認で無処置の大腸内視鏡まではすると思う。治療は緩和ケアのみになるのではないだろうか。

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DKAが来ていた

2016年12月26日 | Weblog

 23日に救急搬入(下痢・嘔吐・腹痛)された85歳女性は、入院後血圧低下が続き、昨日から乏尿・血圧測定不可となった。家族(娘さん)に病状が厳しいことを伝えて、そのまま病室にいてもらった。日付が変わってすぐに心肺停止になり、亡くなった。搬入時の検査結果をみて、嫌な感じがしていていたが、悪い見込みが当たってしまった。

 それで昨日の日曜日に病院に来ていたが、土曜日に当直だった循環器科の若い先生から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の患者さんが来ていたと言われた。

 32歳女性で、この方はちょうど1年前に脳出血(脳室出血)をきたした。当院救急外来から脳外科のある病院に搬送されて、頭部MRIで、もやもや病と診断された。ドレナージ手術などを受けて、一時大学病院脳外科にも入院した。病状が落ち着いて、脳神経のリハビリ専門の病院をへて、今年の11月に当院の神経内科外来に戻ってきていた。後遺症で、不全麻痺や記憶障害があるそうだ。可能であれば、脳血管のバイパス術を考慮することになっていたらしい。

 嘔気嘔吐が続いて、救急搬入された時は昏睡状態だった。既往歴からは脳出血再発と思われ、救急隊から以前に診た脳外科のある病院に連絡がいったが、まずは地元の病院でということになり、当院に搬入された。さっそく撮った頭部CTでは特に問題(出血)がなかった。血液検査で血糖750mg/dlと判明して、血液ガス検査でpH7.014・HCO3が2.2と代謝性アシドーシスだった。糖尿病とは言われていなかったはずだが、年齢を考慮すると糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と判断された。

 脳外科に搬送のつもりで検査を始めたが、結果的にはその脳外科のある病院の糖尿病科への紹介になった。DKAですがと連絡すると快く受けてくれたという。当院で治療ができないわけではないが、年齢が若いので専門医のいる病院の方がいいと思いましたと言っていた。既往が既往だし、それでよかった。

 それにしても、この方は昨年12月の脳出血発症から今年の11月まで入院していた。その間の血液検査では、血糖の異常を指摘されなかったのだろうか。まず1型糖尿病の発症だと判断される。が、ここ1~2か月間の(通常の)1型糖尿病あるいは劇症1型糖尿病なのだろうか(HbA1cを測定してなかった)。神経内科の処方にドンペリドンが定期で入っていた。通常神経内科でドンペリドン長期処方はしないので(むしろ禁忌)、違和感がある。嘔気をずっと訴えていて、それが糖尿病の症状ではという話も出たが、確かめようはない。急性期の治療後にインスリン強化療法になる。この方は自己注射はきびしいかもしれないが、その辺は専門医にお任せ。

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レスパイト入院

2016年12月25日 | Weblog

 今度当院でも「レスパイト入院」を始めるそうだ。レスパイト入院は、常時在宅介護が必要な方が、介護者の事情(親族の冠婚葬祭、介護者の病気・旅行で介護できない時、介護者が疲れ果てている時)で一時的に在宅介護を受けるのが困難になった時に、病院に短期間入院するもの。周辺の小規模病院ではすでに始めている。

 担当の看護師さんたちから、入院になった時の診療依頼をされた。原則は病状が安定している方の入院で、ふだんの治療を継続するだけで、入院での検査(新たな)治療はしないことになっている。各科とも忙しいので、院長先生が数人なら自分が主治医でみると言っていた。実際はそうもいかないので、内科と外科の責任者にお願いしておくことにしたそうだ。特に依存はない。

 ただ、レスパイト入院での、短期間の地域包括ケア病棟入院はいろいろ問題がありそうだった。

(病状の問題)常時介護が必要な方たちなので、安定して過ごせるかどうかは、わからない。いつ誤嚥性肺炎になっておかしくない胃瘻の患者さんとかだから。また自力歩行できる患者さんでは、不穏・徘徊が問題になる。

(入院までの期間の問題)入院の依頼は遅くとも入院の1週間前までとあるが、旅行ならともかく、介護者が介護できなくなる状況は突発する可能性があり、今日明日からの入院依頼の方が需要はあるはずだ。ずっと前からの予約なら、大抵は施設のショートステイで対応している。

(入院期間の問題)入院期間は14日以内とあるが、入院中に何事か(病気の発症)あれば、当然予定期間内では治まらない。介護者がそのくらいで介護できる状態にもどれるかどうかもわからない。まあ病院なので普通入院に切り替えるだけではあるが。入院をきっかけに、もう今後在宅介護は困難ですという話になる可能性もある。

 内科病棟では、脳梗塞後遺症の奥さんの介護をしていた夫(どちらも80歳代)が脳梗塞になり、奥さんも一緒に入院としたことがある。また退院可能になっても、ショートステイの予約日まで入院を延期してほしいという希望にも対応していた。退院が決まっていたが、介護している家族が風邪を引いたので1週間延期の高齢男性がいる。せっかく介護していた脳梗塞後遺症の夫が肺炎で入院して、その間介護疲れを癒やしていた妻の要望で、1週間退院延期になったりする。

 すでにレスパイト入院を上回る入院対応を行っていたことになる。むしろ、病院からそういう入院もあることを正式に認めてもらうことの方が大事だ。

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糖尿病性壊疽

2016年12月24日 | Weblog

 昨日の日直の時に、78歳女性が嘔吐が続いて食事がとれないと救急搬入された。今時の嘔吐下痢(ウイルス性胃腸炎)かと思ったが、来てみるとそれどころではなかった。在宅で寝たきり状態になっていた。2か所の脳梗塞はあるが、前頭葉の萎縮と脳室拡大がある(認知症相当)。糖尿病歴があり、右足は壊疽に陥っていた。仙骨部に広範囲の褥瘡もある。

 嘔吐を繰り返して右肺には誤嚥性肺炎があった。もともと心房細動と言われていたが、特に処方はなかった。搬入時は頻脈性(心拍数160~170/分)だった。

 内科医院の処方はDPP4阻害薬と利尿薬のシンプルなものだった。その医院から下肢切断は県内有数の市立病院の整形外科に依頼して、来週外来で相談することになっていた。その病院がこの状態で入院治療を引き受けるとはとても思えなかった。

 日直の外科の先生だったので、診てもらった。足壊疽が悪臭のひどいと言われたが、こちらは風邪で鼻が詰まっていてよくわからなかった。ぶにゅぶにゅして内部に膿がたまっていた。切開すると、どろっとした膿が出てきた。壊死の部分を切除すると足背全体に及ぶ潰瘍形成で腱が見える。右大腿動脈の拍動から弱く、近位からの血流低下(途絶?)らしい。

 内科的な問題もいろいろあって恐縮だが、外科入院で診てもらうことになった。今の状態では切断術にはとてももっていけそうにない。

 今日も日直で出ているが、今日はどうなるか。

 

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今日は日直~4名入院

2016年12月23日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。内科の入院は4名。96歳男性は高熱で動けなくなって救急搬入された。インフルエンザか肺炎かと思ったが、インフルエンザA型陽性で、白血球数増加とCRP6と炎症反応上昇があり、胸部X線で斑状影が軽度にあった。ラピアクタ点滴静注とセフトリアキソンで治療を始めた。

 脳梗塞後遺症で神経内科外来に通院している80歳男性は、数日咳と発熱が続いて、食欲が低下していた。2年前に2回肺炎で入院しているが、その後は入院していなかった。誤嚥性の要素がありそうだが、胸部CTで斑状陰影散在を認めて肺炎として入院した。

 83歳女性は日曜日に発熱・咳で救急外来を受診してインフルエンザA型陽性だった。イナビル吸入とカロナールが処方されていた。発熱・咳が続いて、食欲低下・体重減少もあるという。胸部X線・CTで、ひどくないが肺炎像を認めて入院とした。

 85歳女性は嘔吐下痢で、往診した内科クリニックの先生からの紹介で救急搬入された。もともと寝たきりではあるらしいが、盛んに両上肢を動かしていて、意識は清明だった(たぶん)。腹部は平坦・軟で圧痛ははっきりしない(認知症あり)。白血球数24000・CRP16と高値だった。ノロウイルス検査は陰性で、便培養も提出した。案外腎機能障害はなかった。点滴と抗菌薬で治療を開始した。

 

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CEP(chronic eosinophilic pneumonia)?

2016年12月22日 | Weblog

 今週初めに内科の若い先生から相談された48歳女性の肺炎。気管支喘息で内科医院に通院していて、その医院から肺炎疑いで紹介になった。胸部CTでみると、両側肺野に陰影が多発)しているが、どうも変だという(通常の細菌性肺炎ではないということ)。

 両側肺の上葉には境界の比較的くっきりとしたスリガラス様陰影が散在している(教科書の症例に近い)。中~下肺野になると浸潤影の散在になってくる。確かに通常の細菌性肺炎ではまったくない。

 少なくとも今月初めから喘息症状が悪化していたという。点滴中の患者さんを診察すると、両側に喘鳴(piping)が聴取された。酸素飽和度は94%(室内気)だったが、呼吸苦を訴えていたので酸素吸入(2L/分)していた。検査結果は白血球数16000で好酸球が46%と好酸球増加があった。これは呼吸器科の専門医にお願いする一手。地域の基幹病院呼吸器科の先生に電話して、さっそく紹介させてもらった。

 末梢血の好酸球増加と、矛盾しない胸部CTの所見から、慢性好酸球性肺炎(Chronic eosinophilic pneumonia,CEP)が疑われた。中年女性に多く、気管支喘息の合併は1/3~1/2らしい。胸部単純X線では、特徴的とされるphotographic negative of pulmonary edemaとは言い難いかもしれない。

 診断としてはすでに末梢血好酸球増加はあるが、気管支鏡を行ってBALF中の好酸球増加を証明するのだろうか。呼吸器科のない当院としては、疑って紹介するところまでだ。御高診よろしくお願いします。昨日は紹介したその先生から、高齢男性(リンパ腫で食事はとれないそうだ)の転院依頼がきていた。最期までの入院(BSC)は当院で引き受けている。

 

 

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