なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性腎盂腎炎の疑い

2024年12月17日 | 感染症

 12月16日(月)の内科外来に、発熱外来から60歳代後半の女性が回されてきた。12月14日から倦怠感があり、15日に39℃の発熱があった。悪寒もあったが、悪寒戦慄まではなかった(らしい)。

 強皮症でリウマチ膠原病の専門クリニックに通院しているが、ステロイドは使用されていない。便秘症・甲状腺機能低下症で当院の消化器科外来に通院していた。

 発熱外来の担当医は新型コロナとインフルエンザの迅速検査が陰性で、アセトアミノフェンを屯用で処方していた。帰宅させようとしたが、思い直して内科外来に回したらしい。

 上気道炎の症状はない。意識清明で会話は普通にできる。一昨日から食事摂取が低下していた。診察して、左CVAに叩打痛はなかったが、後で左背部の重苦感があるといっていた。

 点滴と血液・尿検査をすると、白血球10300・CRP12.5と炎症反応が上昇している。尿検査は亜硝酸塩(2+)・白血球反応(1+)で、沈査は赤血球10-20/HPF・白血球10-20/HPF・細菌(3+)だった。沈査の結果が思ったより軽度だったが、尿路感染症(急性腎盂腎炎)が疑われる。

 尿路並閉塞の有無をみるためもあり、CTで確認した。左水腎症があるが、以前から指摘されていて、腫瘍や結石による閉塞はなかった。腎盂腎炎になりやすいのはあるかもしれない。尿路感染症は除外診断なのと、菌血症の有無をみるため血液培養2セットを提出した。

 入院のベットがないといわれて、地域包括ケア病棟で翌日に空く予定のところに入院予約とした。夕方になって急性期病棟がやりくりして空けてくれたので入院とした。夫が亡くなって現在一人暮らしだったので入院の閾値は低い。

 

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エムポックス

2024年12月14日 | 感染症

 12月12日(木)に感染対策合同カンファランスが地域の基幹病院であった。当院は感染対策加算2の病院で、感染対策加算1の病院の指導を受ける立場だ。

 年に4回のカンファランスと1回の実技に参加することになっている。ただ当院は感染対策加算1の病院2か所と連携しているので、それぞれとカンファランス2回+実技2回参加している。

 11月に別の病院の実技に参加したので、今回は出席しなくてもよかった。テーマがエムポックスで大学病院感染症内科の先生の講義と実技を行うというので、参加することにした。(発熱・皮疹の患者さんが受診した時の対応を具体的に考える、というもの)

 エムポックスは、以前サル痘monkey poxとされていたが、本来の感染主はげっ歯類(ネズミ、リスなど)だ。たまたまアカゲザルでウイルスが発見されたためにサル痘となって、サルも迷惑な話なのだった。

 エムポックスは主に接触感染だが、空気感染もあるそうだ(詳細は不明)。2022年は男性同性愛者に広まって、性感染症の様相を呈した。その後は家族内感染などがあり、フェイズが変わってきている。

 症状は、発熱の頻度は約50%で、皮疹が90%という。ただ感染後の日数により症状が変化するので、ウイルス感染の非特異的な症状(倦怠感、頭痛、関節痛など)だけだとこの疾患を想起できない。

 検査は保健所対応なので、鑑別の水痘帯状疱疹ウイルス・麻疹・風疹の検査も含めた検体を保健所に送ることになる。検体は皮疹(水泡内液・水疱底の擦過・かさぶた)と血液・尿を採取して、既定の梱包(3重に)で送る。

 県内ではまだ1例も出ていない。疑いを持った段階で検査も含めて、大学病院に紹介する方がよさそうだ。

 

 講義と実技(具体的な対応を参加者に訊いてから、正解を開設)は笑いありの楽しいものだった。とりあえず、「エムポックス診療の手引き 第2.0版」をダウンロードした。

 

 (ひまわり医院ホームページから)

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RSウイルスワクチン

2024年11月17日 | 感染症

 RSウイルスワクチンも2種類出ている。RSウイルスによる下気道感染症を80%くらい予防するそうだ。また妊婦の接種で新生児・乳児の重度のRSウイルス感染症を80%程度予防するという。

 ただ、なかなかの値段だった。長期の予防効果や、短期間では特異的な副反応はないとされるが、またよくわかったいない。接種が進んである程度のデータが出るまで待ってもいいか。

 コロナ前は、孫からうつった高齢者のRSウイルス感染症の入院がぽつぽつあった。細気管支炎で、臨床的には喘息重積発作のような病状になる。酸素吸入、二次性細菌性肺炎の予防(併発)に対する抗菌薬、喘息治療の準じたステロイドで治療を行った。

 

 
商品名 アレックスビー®筋注用 アブリスボ®筋注用
予防できる病気 RSウイルス感染症 RSウイルス感染症
ワクチンの種類 不活化ワクチン 不活化ワクチン
定期/任意 任意接種
・60歳以上の成人
任意接種
・妊娠24〜36週の妊婦
・60歳以上の成人
接種回数 1回 1回
接種量・接種方法 0.5ml 筋肉内接種 0.5ml 筋肉内接種
費用 1回約25000円
(施設により異なる)
1回30000〜38000円
(施設により異なる)

 

 
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インフルエンザ診療ガイド

2024年11月15日 | 感染症

 日本医事新報社から毎年11月に「インフルエンザ診療ガイド」が出ている。2019年まではずっと「インフルエンザ診療ガイド2019-2020」だった。インフルエンザは年を跨いで流行するため(前年の冬から翌年の春まで)、2019-2020シーズンと表記する。

 2020年は「新型コロナウイルス感染症流行下の インフルエンザ診療ガイド2020-2021」になった。2021年と2023年は。「インフルエンザ/新型コロナウイルス感染症診療ガイド2021-2022、2022-2023」。

 2023年は新型コロナウイルスが5類になって落ち着いたと判断したのか、また「インフルエンザ診療ガイド2023-2024」に戻っていた。ただし内容の1/3は新型コロナになっている。

 2024年も同じかと思ったら、「インフルエンザ・COVID-19(新型コロナウイルス感染症)・RSV(RSウイルス感染症)診療ガイド2024-2025」になっていた。

 確かにRSウイルスワクチンができたのはトピックではあるが、なんだかタイトルが迷走している。2023年にタイトルからCOVID-19を抜いたら売り上げが落ちたのだろうか。

 

 昨年編著者の菅谷憲夫先生は、小児への投与が好ましくないゾフルーザを小児科学会が擁護する記載をしているのを批判していた。 

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは感染予防効果が低く、A(H1N1)pdm09に効果がないそうだ。(米国では使用しない勧告もでている)今年は著者の菅谷先生が、それを小児科学会が擁護しているのを批判している。

 巻末のQ&A「マスク・手洗い・うがい、種々の室内空気感染対策のインフルエンザやCOVID-19に対する予防効果について」では、引き続き仙台医療センターウイルスセンター長の西村秀一先生が「西村節」で記載している。

 学会ににらまれても気にしない人たち?。

 

インフルエンザ・COVID-19・RSV診療ガイド2024-25

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新型コロナワクチン

2024年11月04日 | 感染症

 11月1日に新型コロナウイルスのワクチンを接種した。(正確には、オミクロン株JN.1系統対応ワクチン「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」

 初回から全部受けているので8回目になる。2回目までは注射部位の腫脹・疼痛だけだったが(それでも寝返りができないくらい痛かった)、3回目からは翌日から翌々日まで38℃の発熱と倦怠感が出るようになった。

 それでも受けていたのは2020年から3年間新型コロナの係として、保健所依頼のPCR検査数千件と入院200名を担当していたから。COVID-19として発症したことはないが、おそらく無症候性感染や軽症の感染(倦怠感が1~2日)は何度もあったのだろう。(N抗体を検査していないのでわからないが)

 7回目のワクチンの時も2日間の発熱を予想していたが(土日に休めるように金曜日に接種)、翌日37℃台の微熱があっただけですんだ。

 長くいっしょに診療している内科医は副反応で39℃の高熱が続くことから、接種はやめてしまっている。それでも3回以上は受けているので、基本的な免疫はついているのだろう。

 感染管理で来てもらっている大学病院の感染症の先生は、武田薬品の組み換えタンパクワクチン「ヌバキソビッド筋注」を受けてみたいといっていたが、どうなったのだろうか。

 

 ワクチン接種した日の夜から風車部位の疼痛・腫脹が始まった。翌日は午前中に悪寒・微熱・倦怠感があり、午後は38.1℃に上がって倦怠感が強くなった。夕方まで横になって休んだ。

 翌々日の朝には解熱して、倦怠感も軽快した。注射部位の症状も軽快していた。結局、翌日は1日副反応で何もできず、翌々日からはほぼ戻ったという経過だった。

 副反応があるのにワクチン接種を続けているのは、まだCOVID-19を最前線で診ているから。感染管理の仕事を続けているからというのもある。

 自分も、武田薬品の組み換えタンパクワクチン「ヌバキソビッド筋注」を試してみたいと思った。

 

 ワクチンに批判的な(元)京大の宮沢孝幸先生の本もほとんどもっている。何が本当かわからないという気もするが、初期から診療を行ってきた経験から、ワクチンは死亡数を確実に減らしているのは確かだ。

 

 

ファイザーのホームページによると

 ファイザー社は、12歳以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応ワクチン「コミナティ筋注シリンジ12歳以上用」〔一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン。以下、本剤〕を、2024年9月19日に発売いたします。

コミナティ筋注シリンジ12歳以上用 製剤写真

コミナティ筋注シリンジ12歳以上用 製剤写真

 本剤はプレフィルドシリンジ製剤であり、解凍・希釈・充填の作業が不要です。2~8℃で冷蔵保管が可能であり、有効期限は8か月間です。接種時は室温に戻し注射針を装着することですぐに接種が可能です。誤接種を防止するために製品名と投与方法をラベルに表記し、他のワクチンとの識別を容易にしています。また、従来のコミナティ同様、本剤も1回あたりの投与量は0.3mlです。

 本剤は、本年10月1日から開始される新型コロナワクチンの定期接種ならびに、定期接種非対象者の任意接種に供する製剤として流通いたします。本剤は、品質に係るデータに加え、オミクロン株XBB.1.5系統対応のCOVID-19ワクチンに比べ、JN.1およびKP.2、KP.3を含むその亜系統に対しても優れた免疫反応を示した非臨床データ等をもとに、本年8月8日に厚生労働省から製造販売承認事項一部変更承認を取得しています。本年5月29日に開催された「第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」では、2024/2025シーズン向けの新型コロナウイルス感染症ワクチンの抗原組成について、JN.1系統が選択されています1

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菌血症・敗血症

2024年10月24日 | 感染症

 10月20日(日)に日当直をしていた先生(別の医療機関の先生のバイト)から入院の報告がきた。(その日は内科当番だった)

 施設入所中の90歳代前半の女性が、前日に転倒して頭部を打撲した。地域の基幹病院に搬入されて、頭部CTでは異常がなかった。しかし発熱があったために抗菌薬内服を出されて、帰宅(施設)となった。

 施設といってもケアハウスなので、自力歩行できる人が対象になる。その女性はふだんは歩行器を使用して自力歩行が何とか出来ていたが、転倒打撲後は歩行できなくなった。施設におけないので、当院に入院させてほしいと連れて来られたのだった。

 社会的入院ですが、ともいわれた。当院受診時は発熱はなかった。(36℃台なので、ふだんより微熱?)白血球は正常域だが、CRPが9.3と上昇していた。

 総胆管結石で基幹病院消化器内科に2回入院して内視鏡治療を受けていた。総胆管ステントはまだ挿入されたままだが、肝機能の異常がなかった。胸部X線で肺炎もないので、尿路感染症だろうという。セフトリアキソンを入れておきます、ということだった。

 

 月曜日に本人に話を訊くと、転倒する前に顎があわあわとなったという。歯があれば、ガチガチ鳴りましたということだろう。悪寒戦慄だった。

 また前腕に皮下出血が目立ち、救急車内で血圧が80mmHgで救命救急士が点滴しようとして、何度か失敗していた。(静脈は見えるが、もろい)

 基幹病院搬入時のバイタルはどうだったのだろうか。どうも菌血症・敗血症になっていたようだ。当院入院時は血圧100ちょっとにはなっていた。(敗血症性ショックの定義は、①十分な輸液にもかかわらず、平均動脈圧65mmHgを保つための循環作動薬を要し、かつ②血清乳酸値2mmol/L=18mg/dL以上)なので、正確には該当はしない)

 入院後は発熱もなく、食事摂取良好で会話も普通にできていた。自力で両手をベット柵にかけて臥位から座位になれた。すでに抗菌薬2種類が入っていて経過が良好なので、培養は提出しなかった。

 すると、10月22日施設の嘱託医からFAXが病院に来た。血液培養2セットから大腸菌が検出されて、どうやらESBLらしいということだった。最終結果と薬剤感受性が出たら再度伝えるとなっていた。入院で抗菌薬を使用するならセフメタゾール(CMZ)かカルバペネムを、内服ならST合剤にというアドバイスも記載していた。

 セフメタゾールは尿路系のESBLに使用できるが、以前感染症の先生(感染管理指導で来ている教授)に訊いたところでは血液培養で出た時はきちんとカルバペネムを使用するようにといわれていた。

 薬剤感受性がないセフトリアキソンやレボフロキサシンが効いたような経過になるのは尿路感染症特有のことだ。

 先方の病院は抗菌薬内服だけ出してあっさり帰宅としていたが(病室逼迫の問題かもしれない)、きちんと検査は提出していたのだった。

 

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大動脈ステント感染

2024年10月23日 | 感染症

 10月13日に記載した大動脈ステント感染の60歳代前半の男性のその後。

 血液培養2セットから翌日にはグラム陽性桿菌が検出された。大学病院感染症内科から来ている先生が、鏡検してコリネバクテリウムなのでバンコマイシンで開始するようにと担当医に伝えていた。

 実際に出た血液培養の結果はCorynebacterium striatumが検出された。一般的には多剤耐性で経験的治療はバンコマイシンを使用することになっている。血液培養再検では陰性になっていた。

 今回の菌は感受性は良く、大抵の抗菌薬に感受性があり、アンピシリン(ビクシリン)に変更していた。抗菌薬で経過をみたが、発熱が断続的に続いて、結果的には炎症反応は上昇した。画像でも大動脈弓部周囲の軟部組織陰影が増大した。

 保存的には到底無理となって、手術をした大学病院心臓血管外科に転院搬送となった。

 

 担当の先生は、相談した感染症内科の先生に入院時から大学病院への紹介を頼みたかったようだ。抗菌薬で経過をみるようにといわれたのでやってみたが、最初から紹介でよかったと思う。(大学病院でもまずは抗菌薬で経過をみての判断にはなるが)

 

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尿から黄色ブドウ球菌

2024年10月17日 | 感染症

 10月16日別の内科の先生から、前日に尿路感染症からDICを来した80歳代の男性が亡くなった、といわれた。別の胆道感染症の患者さんのこともいわれた。

 こちらから訊いたのではなく、当方を見かけたので愚痴をこぼしたという感じだった。両者とも地域の基幹病院から療養転院(実際は治療継続)で来た患者さんだった。

 内科に転院してくるのは、入院となった原疾患が軽快してもそのまま退院できない80歳以上の高齢の患者さんたちだ。廃用が進んでリハビリにのらないことも多く、経過をみているうちに別の感染症が発症したり、脳血管障害や心不全が出現したりする。(当院で手に負えない患者さんの急性期を診てもらっているので、その辺は仕方がない)

 

 亡くなった患者さんは肺化膿症で先方の病院に入院して、抗菌薬投与は6週間にわたっていた。8月下旬に、廃用症候群のリハビリ目的で転院した。

 9月下旬から発熱があり、肺炎の悪化ではなかった。尿混濁を認めて、尿路感染症として治療を開始していた。発熱が続き、次第にDICを満たす検査値を呈して、バイタルの不安定になっていった。

 

 後で確認すると、尿培養からはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出されている。バンコマイシンで治療を開始して、血中トラフ値も適切だったが軽快しなかった。

 尿培養でのブドウ球菌は二次的な細菌尿で、尿路感染症そのものではなく、黄色ブドウ球菌菌血症となった結果、尿からも検出された可能性がある。(感染症ではなく単なる定着菌のことも多いが)

 肺炎や肝胆道系感染は否定的で、感染性心内膜炎(明らかな心不全症状はなかった)、化膿性脊椎炎などの骨関節感染、感染性塞栓などが考えられる。経過をみると、どこかにMRSA の膿瘍があったかもしれないが、外科的に手が出せなければ治療・結果は同じだったとは思う。

 

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大動脈ステント感染の疑い

2024年10月13日 | 感染症

 7月に60歳代前半の患者さんがグラフト感染疑いで入院していた。幸いにも、抗菌薬長期投与で軽快して退院していた。

 その後近くの医院に通院していたが、2~3週間の食欲不振と体重減少があった。医院の検査で貧血・低蛋白血症・炎症反応の上昇があった。前回のことがあるので、入院の時に担当した先生に紹介された。

 胸部大動脈のステント挿入と腸骨動脈のグラフト置換術を、それぞれ大学病院と地域の基幹病院で受けた既往がある。前回はグラフト周囲に軟部組織陰影を認めて、そこが感染巣と推察された。

 今回はその部位は軽快していて、胸部大動脈の弓部から下行大動脈近位部の周囲に軟部組織陰影を認めた。放射線科の読影レポートは感染か出血かということだった。

 胸部単純X線でも、ステントが大動脈石灰化のような役割を果たして、いわゆるcalcium sign、egg shell signのようになっている。

 

 血液培養を提出すると、翌日には菌が検出された。グラム陽性桿菌だった。前回の菌種(グラム陰性球桿菌)とは違う。外来診療に来ている大学病院感染症内科の先生に相談して、Corynebacteriumを想定してバンコマイシンが開始された。

 まずは菌種の確定と抗菌薬にどれだけ反応するかみての判断になる。思わしくない時は大学病院紹介というのは前回と同じだった。手術だと大手術になってしまうので、何とか抗菌薬でやれないだろうか。

 

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敗血症の本

2024年09月16日 | 感染症

 敗血症の本は、基礎的な内容の記載でわかりにくいものが多かった気がする。今回、実践的な記載の「敗血症診療トレーニング」近藤豊著(金芳堂)を購入した。

 症例の提示があり、それに対する輸液・循環作動薬・抗菌薬投与などが、具体的に記載されている。これなら通読できるし、すぐに役立つ。研修医にお勧めの本になる。

 

 いったい自分はいつまで敗血症の診療をするのか、とは思っている。もう外来診療だけ、あるいは健診などだけ行うような時期だから。

 

敗血症診療トレーニング

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