なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

虫が見える高齢女性

2013年10月29日 | Weblog

 当院の循環器科に通院している89歳女性が内科外来を受診した。先週風邪症状(鼻水・咳)があり、普段より食欲が落ちていたという。近くの内科医院を受診した風邪として処方を受けた。薬手帳を見せてもらうと、総合感冒薬が出ていた。その後に「虫が見える。そこに孫がいる(実際はいない)」という発言があり、心配して家族が連れてきた。発熱はなく、風邪症状自体は軽快していた。何となく食欲は出ないという。受け答えは年齢を考慮するとふつうに思える。一時的にせん妄状態になったと思われる。

 高齢なので検査することにした。頭部CTはラクナ梗塞が数か所あtった。MRではないので、新鮮なものかどうかはわからないが、局所症状はないので、陳旧性と判断した。血液検査で炎症反応は陰性。電解質も正常域だった。多少脱水気味かもしれない。外来で点滴を開始した。点滴途中でも外来に来た時よりも、表情が良くなっていた。風邪薬の抗ヒスタミン剤が悪いようだ。入院にすると、かえって悪化する可能性があり、今日は点滴1本で帰宅とした。風邪薬を中止して、水分を摂るように勧めた。明日調子が悪い時はまた点滴に来てもらう。

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やっぱり肺炎

2013年10月28日 | Weblog

 59歳女性が内科小児科医院から紹介されて、午後に受診した。診断は肺炎となっていた。2週間前から咳と咽頭痛が続いているという。明らかな発熱はなくて、寝汗もない。持たされた胸部X線では右下肺野に浸潤影があるようだ。吸気不足で心拡大にみえて、左2弓がぼやけている。両側下腿の浮腫があるが、押してみるとそれほどではなかった。73Kgと肥満があって、腹部は2段になっていた。酸素飽和度96%(室内気)はふだんより低下しているのかもしれない。聴診上は特に異常なかった。夜間の起座呼吸はない。

 当院で十分に吸気させて胸部X線を再検すると、肺炎でいいような浸潤影に見える。胸部CTで確認すると、やはり浸潤影で良いようで、ヒ左肺には所見がなく、多少心拡大傾向はあるが、胸水貯留や肺うっ血はなかった。心電図は異常なしで、ST-T変化はない。心不全としての所見を取りにいったが、心不全とはいえず、肺炎でいいと判断した。初見の印象が心不全だったので、さまざまな検査をしたが、検査のし過ぎかもしれない。

 入院で治療を受けるか患者さんが迷ったが、今日外来で抗菌薬を投与(点滴静注+経口)して、明日の具合で決めることになった。調子良くなれば3日後に外来受診で、あまり良くなければ明日受診してそのまま入院の予定とした。

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胃癌の出血

2013年10月27日 | Weblog

 50歳台男性が夫婦で温泉旅行に来て、新幹線で帰る途中にめまいがした。何とか東京まで帰ろうと思ったらしいが、耐えきれず新幹線を途中で止めて、救急要請した。当院に搬入されて、救急担当は神経内科医だった。午前中の当番で、その時午後の当番は私だった。ほとんど交代の時間だったのだが、救急隊からめまいという報告が入っていたので、脳神経の問題だと専門なので自分が受けた。来てみると、明らかに貧血で、Hbは7g/dlだった。話を聞くと、温泉にいる時から黒色便(タール便)が続いていたそうだ。

 すぐに消化器科に回されて、緊急内視鏡検査となった。胃噴門部から食道に少しかかる腫瘍があって、露出血管が出ていた。消化器科医がエタノールとクリップで止血処置をした。輸血も6単位行った。糖尿病で総合病院に通院しているというので、担当した消化器科医(とても律儀な先生)がそこの主治医(糖尿病の担当)に電話した。そうしたら、癌ならがんセンターに紹介してくださいと言われたそうだ。できれば東京に戻ったそのまま入院で診てほしい。がんセンターでは手術まで2カ月待ちで、受診日に入院はとてもできないだろう。消化器科医がインターネットで調べたところでは、通院しているのは旧国立病院なので、当然消化器科も外科もちゃんといる。私は適当なので、病棟でその話を聞いた時、「その病院の消化器科宛てに紹介状を持たせればいいじゃないの。あとは向こうで何とかするでしょう。」と言った。

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若い女性の糖尿病

2013年10月26日 | Weblog

 統合失調症で精神科病院に通院している32歳女性が、内科外来を受診した。先週受診した精神科で、血糖が高いので内科を受診するようにいわれたという。紹介状はない。HbA1cが15%あった。口渇があるというが、それ以外には自覚症状はない。20歳台から通院しているらしいが、昨年病状が不安定になって、その病院に入院していた。その時からセロクエルが処方されていて、先週血糖が高いことが判明して中止するよう言われた。持っていると飲んでしまうので、残りのセルクエルは捨てさせたそうだ。

 この方の母親が統合失調症で糖尿病もあった。両親は離婚していて、母親の現在の所在はわからないそうだ。父親は再婚していた。一人暮らしで、仕事はしている。外見と話しぶりはいわゆるボーダーラインの患者さんの印象があり、他の内科医も同様の意見だった。俗に言うと、「ケバい」のでした。セロクエルの影響もあるが、この血糖では入院治療が必要になる。食事療法の話と治療初期にはインスリン注射が必要なことを話したが、いやだという。付き添いなしでひとりで受診していた。精神科の主治医に紹介状を書いて、精神疾患として安定しているのかどうか、可能であれば精神科医と内科のいる病院で入院治療を受けた方がいいと勧めた。

 精神科の判断では病状は安定しているいう判断で、糖尿病専門医のいる当地域の基幹病院に紹介された。そこは精神科医はいない。外来を受診したが、「地元の貴院での治療を希望していますからよろしく」と結局当院にまわされた。今回は両親(父親と継母)が付き添ってきた。前回とは違い、食事療法とインスリン注射を受け入れるという。両親に当院には精神科医はいないこと、糖尿病教育入院がきちんとできるかどうかわからないが、入院治療してみること、入院中問題が起きた時(入院治療に耐えられず退院を希望するなど)はまた相談するすることを伝えた。

 肥満があり、1600Kcal/日の食事療法とインスリン強化療法で治療を開始した。最初の入院なので、1ケ月かけたいところだが、途中で退院する可能性もある。インスリン自己注射を血糖自己測定を早めに習得させて、早期に退院となっても、外来で治療できるよう準備することにした。

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急性胆管炎

2013年10月25日 | Weblog

 91歳女性が昨日の夕方息子に連れられて内科外来を受診した(午後は外来がないが)。これまで2回急性胆管炎で入院していた。最初の入院時にMRCPで総胆管結石を指摘されたが、年齢的に内視鏡処置もむずかしいかと経過観察にした。2回目の入院では総胆管結石は指摘できなかった。今回も総胆管結石はできず、というかなかった。胆嚢内と総胆管内に少量の胆泥があり、体位によって動くと腹部エコーで診断された。こうなると内視鏡治療もないので、抗菌薬で治療するしかない。

 内科クリニックの紹介で、65歳女性が急性腎盂腎炎で受診して入院した。2年前に紹介された時に左尿管結石があり、当時当院に泌尿器科常勤医がいなかったので常勤医のいる病院へ紹介したことがある。尿管結石は自然排石したという。今回は腎尿管結石はなかった、入院して抗菌薬(セフトリアキソン)で治療を開始した。この方は糖尿病でインスリン強化療法を受けていた。肥満があって、大きい病衣が必要と病棟看護師さんが言っていた。入院中2kgくらい減量できないだろうか。

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非結核性抗酸菌症

2013年10月24日 | Weblog

 「肺MAC症診療Up to Date」を購入した。春の化学療法学会のランチョンセミナー(化学療法学会では教育セミナーという)で非結核性抗酸菌症(NTM)の話を聞いた。その時の演者の先生が編集していたので買ってみる気になった。外来でNTMを診ることがたまにある。大学病院からの応援医師による呼吸器外来があるので、そこで経過を診てもらっているが、困るのは増悪した時にどうするかだ。それである程度進行した患者さんは呼吸器科のある病院の管理にしてもらっている。

 現在、基幹病院の呼吸器科に通院していた78歳女性が入院している。1か月前から発熱が続いていた。外来を受診するたびにカロナールだけ処方されていた。家族が困って当院内科を受診した。一般細菌の肺炎の併発を考えて治療してみるが、軽快するかどうかわからないとお話して、それでも良ければ当院で入院治療しますということになった。

 入院後にファーストシン点滴静注で解熱してきて、その後画像から真菌感染も疑われてファンガードを投与した。全体的には改善して検査値もよくなった。それでも時々発熱があり、呼吸器科処方のクラリス・エタンブトール・クラビットの処方のうちクラビットをアベロックスに変更してみた。苦し紛れだが、結果的には良くなった。いったん退院して外来で経過をみる予定だが、再入院もやむなしという退院だ。

 それにしても、一般内科として間質性肺炎やNTMの成書を購入するのは、やりすぎかもしれない。広い分野を担当するので、基本的には各分野の代表的な本を一冊購入して、それを読み込むほうがいいと思う。興味があればあるいは必要があれば、その分野をある程度突っ込んで勉強してもいいのだろうが、きりがなくなってしまう。

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胃癌はなかった

2013年10月23日 | Weblog

 昨日内科クリニックから食欲不振と貧血の82歳男性が紹介されてきた。鉄欠乏性貧血で便潜血が陽性だった。胃癌か大腸癌が疑われた。腹部CTで胃体部の胃壁が肥厚しているように思われた。胃癌を疑って今日上部消化管内視鏡検査を行ったが、胃癌はなかった。CEAが55と高値で、悪性腫瘍の存在を示唆していて、あるとすれば大腸癌ということになる。CTで明らかな大腸腫瘤は指摘できないので、大腸内視鏡検査が必要だ。ところが、この方は認知症があり、入院後せん妄になっていた。大腸検査は難しいかもしれない。ケアハウスに入所しているが、基本的に認知症の進行した入居者は退所となる。家族との関係も悪いという話だった。医療の問題と介護の問題をそうしていくか。内科の新人先生の担当だが、結構大変かもしれない。

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廃用症候群

2013年10月22日 | Weblog

 高齢者が肺炎などで入院して1~2週間ベット上生活になる、病気が治っても歩けなくなってしまう。リハビリをするとして、歩けるまでには横臥した期間の倍はかかる。流行りの言葉でいうと「倍がえし」?時々肺炎で入院してくる80歳台の男性は肺炎が治ったが、促さないと歩こうとしないので、筋力が低下してきた。自宅内はつかまりながらでも歩いていたので、動けない状態では家族が引き取らない。食事の様子をみていると箸やフォークの使い方が下手で、うまく口まで持っていけない。食事摂取量が少ないので、食欲がないのかと思っていたが、実際に昼食を撮っているところを見ると、食べ方が下手なだけだった。

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癌だった

2013年10月21日 | Weblog

 内科外来に高血圧症・脂質異常症で通院している60歳女性が先月末からの心窩部痛で受診した。今月初めの予約日に受診した際に、心窩部違和感があついう話があった。もともとGERDでPPIが処方されていて、7月に上部消化管内視鏡検査を健診として行い、異常がなかったこともあり、粘膜保護剤の追加で経過をみていたが、はっきりした心窩部痛となって再受診した。血液検査で肝機能検査があり、念のために提出した腫瘍マーカー(CA19-9)が高値だった。腹部エコーで膵頭部に低エコーの腫瘤像があり、総胆管と主膵管が軽度に拡張していた。すぐに腹部造影CTで確認すると、確かに膵頭部に腫瘍像があった。まだ若い方で、できるだけの治療を受けてほしいので、大学病院の専門科に紹介させてもらうことした。鎮痛剤としてトラマールを処方して、紹介状と画像を入れたCDを用意して、明日受診の予約をとった。患者さん本人と家族のショックは大きく、こちらもどう対応すべきか困ってうろたえてしまった。

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胆嚢結石

2013年10月20日 | Weblog

 午前3時ごろに57歳男性が上腹部痛で救急外来を受診した。糖尿病があるという肥満の男性だった。正中よりは右季肋部に圧痛がある。腹部エコーで診ると、胆嚢内に結石が複数あった。胆嚢自体の腫大はなかった。今年の胃の検診は異常ないというので、胃十二指腸潰瘍はないと考えてよい。ボルタレン坐薬50mgを挿入(体重90Kg)して、朝まで外来のベットで休んでもらうことにした。朝になって見に行くと、腹痛は治まっていた。当地に実家があり、母親を施設に入れているので時々帰ってきて見舞うという。今は他県に住んでいる。2か月前に転勤したため、糖尿病の治療は中断している。今日中には戻るというので、最近腰痛で受診したという総合病院を受診して、糖尿病の治療を再開するよう勧めた。その際に胆嚢結石のことも伝えてもらうことにした。

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