月曜日の午後に、糖尿病で通院している76歳女性がまた低血糖で救急搬入されていた。またというのは、名前を聞くと低血糖と反射的に想起する患者さんだから。
救急隊が到着して、血糖を測定すると26mg/dlだった。血管確保をして、50%グルコース40mlを静注すると、意識は昏睡状態から一桁にまで回復した。
病院に到着した後には、意識はほぼ清明に戻った。経過観察のため翌日までの入院となった。救急当番は腎臓内科の若い先生で、そのまま自分が担当してくれた。
超速効型インスリンを食直後皮下注にして、外来の治療を継続していた。翌日には低血糖もなく(空腹時血糖80mg/dlと低め)、退院していた。
もともとは1型糖尿病として大学病院の糖尿病代謝科に通院していた。当院の内科外来にも高血圧症で通院していた。2006年2回、2011年、2013年に低血糖で入院している。昏睡状態で救急搬入されて、低血糖の治療後の経過観察で、翌日か翌々日までの入院だった。
2013年から糖尿病の治療も当院に紹介されて、糖尿病外来(大学病院糖尿病科の先生担当)に通院していた。治療は持続型インスリン(トレシーバ)6~10単位と、超速効型インスリン(ノボラピッド)毎食直前3回(2~6単位)の強化療法だった。
最近(今年度)のHbA1cは8.0%程度で経過している。以前は7%台で、0.5%くらい高めになったことになる。
入院したのはこれで5回目だが、入院したくない方なので、救急外来で低血糖の治療後にそのまま帰宅することもあった。救急搬入されない程度の低血糖は頻発しているのだろう。
血糖の変動は80~300md/dl台で推移していて、低血糖になると交感神経症状がないか(あっという間に通り越して)意識障害に陥るようだ。
工夫するとすれば、若い先生が指示したような超速効型インスリンは食直後とするのが確実だろう。持効型インスリンは低血糖にそれほど影響していないはずなので、超速効型を1~2単位減量したい。
1型だと経口血糖降下薬としてはSGLT2阻害薬が使えるが、持効型は減量できても、超速効型は減量しにくいのかもしれない。
地域の基幹病院ではCSIIをしているはずだが、年齢的に難しいか。このくらいの頻度の低血糖は、年数の経過した1型としては許容範囲なのだろうか。