なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

カンピロバクター腸炎

2013年11月30日 | Weblog

 腸間膜リンパ節炎で入院した28歳女性は、便培養でカンピロバクターが検出された。検査の細菌検査室の検査技師に聴くと、カンピロバクターの中での分類はできないそうだ。弱い菌で、感受性試験をしようとしても死んでしまうという。腸間膜リンパ節炎といえばエルシニア菌だが、実際は違った。「臨床消化器内科」の一昨年の増刊号が腸管感染症の特集で、カンピロバクターやエルシニアが載っている。カンピロバクターでは回盲弁に浅い潰瘍をつくるのが特徴(特異的ではない)とあった。腸間膜リンパ節炎になるとは書いてなかった。鶏肉からの感染が多いことになっているので、患者さんに聴いてみたが、特に覚えはないようだ。

 感染性腸炎は軽症では自然治癒するので抗菌薬は不要とある。今回は高熱で入院したので、軽症とは言えないが、経過から言うと一週間で自然治癒するようだ。細菌性腸炎として抗菌薬を処方する時、エンピリックにはニューキノロンになるのだろうか。カンピロバクターは1/3がニューキノロン耐性とある。ホスミシンもよく細菌性腸炎で使用されているようで、カンピロバクターに感受性がある。しかし、なにしろ日本独特の薬なので、感染症の本には記載されていない。大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターをカバーする処方として良いような気がするが、どうなのだろう。矢野晴美先生の本には、ホスミシンの記載はない。岩田健太郎先生の本には、自分は使用したことがないこと、今のところ評価の仕様がないことが書かれている。

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102歳女性急性膵炎

2013年11月29日 | Weblog

 昨日の午後に102歳女性が嘔吐・腹痛・発熱で内科外来を受診した。嫁など女性の家族3人で連れてきた。見た目は80歳台といわれても納得するくらいだった。ふだんは家の中を這って移動しているという。今年の春に急性膵炎で外科に入院していた。総胆管結石が疑われたらしい。膵炎は軽快したが、その後食事摂取で肺炎になり、2か月近く入院して退院になっていた。今回も血清アミラーゼが高くCTで膵頭部周囲に浸出液があり、膵自体も腫脹しているようだ。総胆管と肝内胆管が拡張していたが、単純CTでもあり、総胆管結石ははっきりしなかった。通常ならば、MRCPを撮って結石があれば、内視鏡治療のできる施設に搬送するが、年齢が高すぎて受けてくれないだろう。1日保存的に治療してらか判断することにした。今日は腹痛もなく、問いかけにも返事をして昨日より反応がいい。このまま週明けまで経過をみることにした。可能であればMRCPをやってみたいが、多分動いて無理だろう。昨夜はベットから降りているところを夜勤の看護師さんに発見されている。認知症に家族が手を焼いていて、以前から申し込んでいた施設入所ができそうだったという。

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腸間膜リンパ節炎

2013年11月28日 | Weblog

 昨日検討会が終わって帰ろうとすると、当直の脳外科医が、28歳女性の入院をお願いしたいという。救急外来に診に行った。1週間前がら腹部違和感があり、3日前から下腹部痛と高熱が続いていた。一昨日に内科クリニックを受診して、同日夜に当院の救急外来も受診した。若い内科の先生が診察して、虫垂炎疑いで翌日(つまり昨日)外科外来受診を指示していた。外科では腹部造影CTを施行した。虫垂炎の所見はなく、腸間膜リンパ節炎だった。外来で点滴(抗菌薬も)して帰宅としていた。高熱で過呼吸気味となり、救急要請して病院に戻ってきたのだった。診察した時は落ち着いていた。すでに入院は決まっていた。白血球数は正常域でCRPが3,3だった。ウイルス性かとも思われるが、エルシニア菌感染も考えられる。もっとも下痢はしていない。迷ったが、抗菌薬を入れることにした。今朝は平熱になっていて、このまま解熱すれば、抗菌薬が効いたと判断されるが、どうなるか。昨年だか一昨年だか忘れたが、同じ病棟(産婦人科病棟を借りた)に17歳女性の腸間膜リンパ節炎の患者さんを入院させた。確か、5-6日で軽快退院したはずだ。

 昨日は症例検討会があり、ありふれた症例ではあるが、急性肝炎様のEBウイルス感染と回腸末端炎(エルシニア菌疑いだが、起炎菌不明)の症例を出した。実はパワーポイントでのプレゼンテーションはこれまでになくて、初めて使用した。稚拙な表示になっていて、動画を入れる先生方に比べると小学生レベルだろう。大した診療ではないが、多少珍しい症例もあり、学会の地方会発表くらいはしたいものだ。毎年春に行っている高校看護科の講義も、パワーポイントでしたいとは思っていたが、伸び伸びになっていた。要点だけを記載したプリントだけで行っていたが、来年こそはカラー写真を入れてわかりやすい講義にしたい。5月に向けて今から準備を始めよう。

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99歳肺炎

2013年11月27日 | Weblog

 1週間前の当直帯で救急搬入された99歳女性は肺炎だった。搬入時酸素飽和度が酸素10L/分でも80%台だったが、点滴と喀痰吸引で90%以上になった。施設に1年以上入所していたらしい。当直医が家族に今晩中にも危ないという話をして翌朝までの指示を出してくれていた。翌朝に診ると、酸素3L/分で飽和度が94%くらいあった。何とか治るかもしれないと思ったが、12誘導心電図を見ると、ST上昇が目立っていた。Ⅱ・Ⅲ・aVFとV4-5でST上昇があり、心電図モニターにはST上昇した異様な波形が出ていた。心筋障害は同時に起きたのか、極端な低酸素にさらされて二次的に起きたのか、わからない。たこつぼ心筋症も考えて循環器科医にも話はしたが、血圧は保たれていたので、あえて精査とはならなかった。1週間たって機能の日中活気がないとは思っていたが、バイタルは変化なかった。今日の午前1時過ぎに急に心肺停止となり、当直の若い内科医が看取ってくれた。

 入院後、息子さんたちが時々来て、(開眼しているが発語がないので)顔を見ては帰って行った。病棟で息子さんに会うと、「まだ持ちますか」と何度か声をかけられた。

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変な肺炎ー昨日の続き

2013年11月26日 | Weblog

 最初に救急外来を受診した時に、胸部X線をとった。両側肺に淡い陰影が散在しているようにも見えた、この日は忙しくて、それ以上追及しなかった。内科外来に来た時も胸部CTをオーダーしていたが、救急患者さんの診察が午後6時まで続き、CTを撮ったことも忘れていた。今日改めて胸部CTを見ると、両側肺に間質性陰影が散在していた。通常の細菌性肺炎ではない、放射線科の読影では「ウイルス性肺炎の疑い」となっていた。喘鳴の出方が変だし、こんな陰影は初めて見た。そもそも喘息かどうかも怪しくなってきた。喫煙は最近始まったものではなく、急性好酸球性肺炎もかんがえにくいが、否定はできない。今朝は喘鳴もなく普通に歩いていた。自分では診断をつけられないので、基幹病院の呼吸器科に紹介とした。

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気管支喘息発作?

2013年11月25日 | Weblog

 統合失調症で精神科病院に通院している32歳女性が2日前の夜に喘息発作で救急外来を受診した。べネトリンの吸入とネオフィリン・デカドロンの点滴で軽快して帰宅した。今日内科外来に来たが、夜間の症状がとれないという。喘息発作として入院治療とした。夜間に受診した時は詳しく聞いていなかったが、喫煙者だった。タバコを1日15本吸っていた。精神科では喫煙に甘い。精神的に落ち着けばいいということで、黙認していることが多いようだ。

 少し古い看護師さんたちは、この患者さんの十代のころを知っていて、リストカットでよく来ていたという。精神科病院の処方を見せてもらうと、10種類以上の薬が出ていた。少なくとも6回の入院歴があるが、この1年間は入院していない。聴診で喘鳴がわからないのに、その後急に耳でも喘鳴が聞こえるようになったりするのてが良くわからない。前にvocal cord dysfunctionを疑った中年女性がいたが、この方は聴診で喘鳴が両側肺野に聞こえるので、基本的に喘息で間違いない。心因性の要素が大きいということかもしれない。

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女性の尿閉

2013年11月24日 | Weblog

 昨夜は当直だった。午前2時に69歳女性が下腹部痛と右背部痛で受診した。腎尿管結石の既往があるという。腹部エコーで見ると、膀胱は尿が貯留してパンパンだった。両側の腎臓が水腎症を呈していた。尿意はないという。尿カテーテルを挿入すると、1300mlの尿が出て、下腹部痛は消失した。腹部CTで見ると、左腎盂から尿管にかけて結石あるいは石灰化を認めたが、右腎にはなかった。体動時の背部痛なので、整形外科的な筋骨格系の痛みのようだ。ボルタレン座薬25mgで症状は軽減した。普段尿が出にくくはないらしいが、神経因性膀胱があるのだろう。明日泌尿器科で膀胱機能を検査してもらうよう話した。この方の二人の娘が当院の看護師をしていて、今日は準夜明けの姉が付いてきていた。再度尿閉になった時のために、導尿の器具を持って帰ることになった。

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低カリウム血症

2013年11月23日 | Weblog

 58歳男性が四肢の筋力低下で救急搬入された。整形外科医が救急当番で、脊髄損傷を疑ったが、病歴もなく、検査でも異常なかった。血液検査で消せしカリウム2.1と低カリウム血症があり、低カリウムによる筋力低下として内科に回された。日本酒を1日5合飲んでいたが、1週間前から飲んでいないという。動きが悪くなって飲めなかったのかもしれない。もともと軟便らしいが、その前に1週間下痢をしていたらしい。嘔吐はなかった。高血圧症で内科医院から載るバスク5mgとディオバン80mgが処方されていたが、利尿剤は入っていない。むしろ高カリウムになる処方だった。もっとも降圧剤をきちんと内服していないので、搬入時の血圧は156/90mmHgと高かった。

 入院して、カリウムを混合して(3号液の倍の濃度)点滴を継続したが、血清カリウムは2.0、1.8、2.2となかなか上がってこない。すでに下痢はなく、食事も介助でとれるので、もっと上がってもいいと思うが、よくわからない。尿中に抜けていなければ、細胞内に取り込まれているのだろうか。甲状腺機能は正常域だった。頭部MRIは異常なし。神経疾患の可能性も否定はできないが、まず血清カリウムを正常化させて、症状の改善するかどうかみるしかない。筋力低下に日内変動はない。

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急性肝炎?

2013年11月22日 | Weblog

 74歳男性が発熱があって動けなくなり、救急搬入された。救急当番の女性外科医から連絡が来た。返答はするが、住所や自宅の電話番号を言えなかった。意識障害があるのかと思ったが、慢性硬膜下出血で手術した既往があり、奥さんに言わせるとふだんと同じということだった。右下肢の動きも少し悪かったという。頭部CT、さらにMRIもとったが、脳萎縮と陳旧性のラクナ梗塞のみだった。

 肺炎はなく、尿路感染症もない(前立腺炎もなさそう)。肝機能障害があり、AST・ALTが600だった。HBs抗原とHCV抗体は陰性だった。ウイルス性肝炎を疑って、IgM-HA抗体も提出した。腹部エコーでは胆道系に問題なかった。肝臓はそれほど腫大していないが、肝裏面が鈍かもしれない。細菌感染症としてのfocusがない。血液培養が2セット提出されていた。心内膜炎の所見は見える範囲ではない。

 インフルエンザ迅速試験(陰性)、一昨日下痢していたというので便培養提出(今日はしてないし、腹痛もない)、レジオネラ尿中抗原など、何だか提出できる検査を、次々に出してしまったが、決め手はない。急性肝炎疑い(あるとすればA型肝炎)として入院で経過をみることになった。

 昨夜、97歳女性の肺炎が救急搬入された。近くの基幹病院に連絡したが、断られて当院搬入となった。確かに施設入所中の認知症の97歳は入院させたくないのだろうと思われた。搬入時は酸素10L/分でも酸素飽和度が上がらなかったが、今朝は3L/分で飽和度が正常域にになっていた。モニター心電図でST上昇があり、12誘導心電図で確認すると、Ⅱ・Ⅲ・AVFとV4-6でST上昇があった。心筋梗塞なのか、著明な低酸素による心筋障害というべきか。いずれにしても心カテの適応もないので、肺炎の治療で経過をみるしかない。昨夜は、この患者さんとめまいで他院通院中の中年女性が救急搬入されて、入院となった。当直は整形外科の若い先生だったが、電話連絡で翌朝までの指示を出してもらった。

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36歳糖尿病

2013年11月21日 | Weblog

 一昨日の夜に36歳男性が口渇を訴えて救急外来を受診した。当直は女性の外科医だった。血糖が900mg/dlと高値で、やせ形で年齢的には1型糖尿病と思われた。入院治療を勧めたが、拒否して帰ってしまったそうだ。その日の内科当番は若い女性内科医で、電話で連絡がいったが、ご本人が入院しないというのでは何ともできない。翌朝(昨日)にその話を聞いた。劇症型だと困ると思って、内科外来の看護師に電話をかけて患者さんを呼び出すように伝えた。なかなか電話が通じない。12回かけたところで、電話かけを医療事務の人に依頼した。その後連絡がついて午後に患者さんが来たそうだ。大学に出かける用事があったので、内科の若い先生に治療を頼んでいたが、生食の点滴とインスリン注射(点滴静注)が始まって、今日は正常な血糖だった。

 昨日午後に、若い消化器科医が大学医局に内視鏡検査の応援を依頼しに行くので、付き添いで一緒に行った。教授の機嫌はどうかな、などと言いながら医局に行くと、すぐに通された。教授に「考えておこう」と言われて、帰ってきた。

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