腸間膜リンパ節炎で入院した28歳女性は、便培養でカンピロバクターが検出された。検査の細菌検査室の検査技師に聴くと、カンピロバクターの中での分類はできないそうだ。弱い菌で、感受性試験をしようとしても死んでしまうという。腸間膜リンパ節炎といえばエルシニア菌だが、実際は違った。「臨床消化器内科」の一昨年の増刊号が腸管感染症の特集で、カンピロバクターやエルシニアが載っている。カンピロバクターでは回盲弁に浅い潰瘍をつくるのが特徴(特異的ではない)とあった。腸間膜リンパ節炎になるとは書いてなかった。鶏肉からの感染が多いことになっているので、患者さんに聴いてみたが、特に覚えはないようだ。
感染性腸炎は軽症では自然治癒するので抗菌薬は不要とある。今回は高熱で入院したので、軽症とは言えないが、経過から言うと一週間で自然治癒するようだ。細菌性腸炎として抗菌薬を処方する時、エンピリックにはニューキノロンになるのだろうか。カンピロバクターは1/3がニューキノロン耐性とある。ホスミシンもよく細菌性腸炎で使用されているようで、カンピロバクターに感受性がある。しかし、なにしろ日本独特の薬なので、感染症の本には記載されていない。大腸菌、サルモネラ、カンピロバクターをカバーする処方として良いような気がするが、どうなのだろう。矢野晴美先生の本には、ホスミシンの記載はない。岩田健太郎先生の本には、自分は使用したことがないこと、今のところ評価の仕様がないことが書かれている。