なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

卵巣腫瘍

2024年09月07日 | 産婦人科疾患

 9月2日に記載した絞扼性腸閉塞疑いのその後。

 絞扼性腸閉塞疑いとして搬送した地域の基幹病院外科から受診後の報告が来ていた。診断は卵巣腫瘍で、保存的治療になったそうだ。産婦人科医と相談の上、対応を決めるとあった。

 

 その日は内科再来が多く、新患の診察は2時間待ちになっていた。待ち時間が長いので、点滴室で休んでいたところに診察に行ったのはお昼になってしまっていた。

 相談した消化器科医も内視鏡検査中だったので、しっかり診たとはいえなかった。その後、消化器科医がCT画像を見直して、小腸が一塊になった?と診たところは消化管とのつながりがないことがわかった。消化管以外で子宮近傍にあるのは卵巣しかない。

 時間がない中での対応というのはあるが、要は実力不足。こちらでは手に負えないので、高次医療機関に搬送したことだけが正解だった。 

 突然発症で炎症反応が上昇していたこと、腹水が貯留していたことから、保存的治療で大丈夫なのか。経過をみて適切な治療がなされるのだろう。

 

 

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卵巣膿瘍

2024年08月05日 | 産婦人科疾患

 腎臓内科の若い先生から、「この腹部CTをどう見ますか」といわれた。「虫垂を指摘できますが」といわれたが、画像を動かして繰り返して見たが、わからなかった。

 その週の始めに市内のクリニックから、腹腔内感染症疑いで紹介されてきた50歳代初めの患者さんだった。血圧が80/60mmHgと低下していて、ショックバイタルだった。当方だったらFAXされてきた診療情報提供書をみて、直接基幹病院に紹介して下さいと返事をしただろう。

 1か月前から下腹部痛があり、市販の鎮痛薬(イヴ=イブプロフェンとアセトアミノフェン)を飲み続けていた。下痢の続いていたということで、これは腸管の問題ではなく、腹腔内炎症による二次的な症状だった。

 クリニックは初診で、白血球26100・CRP24.0と記載されている。簡易検査の器械をお持ちなのだった。1か月前からの症状と炎症反応高値ということは、膿瘍形成を示唆する。

 右下腹部から正中に圧痛があり、腹膜刺激症状(反跳痛)もあった。右下腹部の所見が強いことから急性虫垂炎からの限局性腹膜炎・腹腔内膿瘍を疑っていた。

 点滴を開始して、血圧108/66となったところで、腹部造影CTを行っていた。下腹部の子宮右側に径7㎝の腫瘤があり、多房性の嚢胞様の構造だった。

 画像を見て、むしろ婦人科疾患(卵巣の膿瘍)かもしれないと思ったそうだ。直腸~S状結腸遠位に接して炎症像がある(下痢の原因)。

 すぐに地域の基幹病院外科に連絡すると受け入れ可能で、救急搬送となった。後日の放射線科の読影レポートでは「卵管卵巣膿瘍」となっていた。

 

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子宮留膿腫

2024年07月23日 | 産婦人科疾患

 7月19日(金)午後に施設入所中の92歳女性が救急搬入された。6月末に施設に入所していた。

 7月17日から発熱があり、尿路感染症として(検査はしていない)レボフロキサシン内服を投与していた。発熱が続き、呼吸困難もある(酸素飽和度が低下)という施設嘱託医からの紹介だった。

 その日は非常勤の外科医が救急外来を診ていて、「胸水貯留(心嚢液貯留も)と浮腫があり、心不全で入院が必要」、と連絡がきた。

 白血球18000・CRP9と炎症反応の上昇を認めた。抗菌薬投与で尿自体は混濁していなかった。画像では確かに胸水・心嚢液貯留がある。心電図では洞調律で不整脈はなく、有意なST-T変化はなかった。心尖部で収縮期雑音が聴取された(MR)。

 入院として利尿薬(フロセミド静注、K保持性のカンレノ酸カリウム)を開始すると反応良く利尿がついた。37℃後半の発熱が続いていた。

 

 下腹部痛の自覚症状も下腹部圧痛もないが、CTでは子宮留膿腫と思われる所見がある。7月22日に非常勤の産婦人科医に相談すると、内診台に乗れますがという。ベットの上で上半身を起こすくらいはできるので、大丈夫です、と答えた。

 子宮から170mlの膿汁がドレナージされて、細胞診・培養が提出された。1週間後に再検となった。(現在、産婦人科は月~木で非常勤医がきている)

 

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卵巣嚢腫破裂?

2024年05月20日 | 産婦人科疾患

 5月18日(土)は当直で夕方4時過ぎに病院に来た。その日の日直は消化器科医で、昼前に市内のクリニックから腹部膨満で紹介されてきた45歳女性の話をしてくれた。

 そのクリニックから、過多月経による貧血で産婦人科クリニックに紹介されていた。両側卵巣腫瘍(嚢腫)・子宮筋腫(癌疑い)で、さらに県内有数の医療センター産婦人科に紹介されることになっていた(5月23日予約)。

 腹部膨満が著明で、発熱(37.8℃)もあった。膨満感はあるが、腹痛というほどの痛みはないそうだ。圧痛もない?。腹部造影CTを行うと(単純CTで診てから造影にした)、腹水が著明に貯留して、卵巣嚢腫の破裂が疑われた。

 当院は産婦人科の常勤医はいない(非常勤で主に健診と二次検査を担当)。もし以前にようにひとりいたとしてもこうなると高次医療機関に紹介だろう。

 紹介受診予定だった医療センターに連絡して「押し込みました」といっていたので、最初からすんなり対応とはいかなかったようだ。当院ではどうしようもないので、お願いするしかない。

 

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婦人科救急

2024年01月09日 | 産婦人科疾患

 1月3日の当直の時に、午前0時過ぎに下腹部痛の33歳女性が救急外来を受診した。バイタルは問題なく、発熱はない。

 午後10時ごろに突然下腹部痛が出現して、持続していた。身体を前に曲げてうずくまった格好で受診した。歩行すると同部に響く。

 12月1日に最終生理があり、間隔は規則的だった。そろそろ生理の時期だがまだ来ていないという。下腹部正中からやや左側に圧痛があるが、腹部自体は平坦・軟だった。

 腹部エコーで見ると、膀胱近傍にエコーフリースペースがある(ように見える)。尿の妊娠反応は陰性だった。

 腹部CTを行うと、右卵巣が40×45mmくらいに腫大して、内部に円形の低濃度域(20×23mm)がある。卵巣と子宮の境界がはっきりしない。子宮の周囲に液体があるようにも見える。矢状断・冠状断でみると婦人科臓器が一塊になっている?。

 時間外のMRIは頭部に限っているが、例外的に頼み込めば婦人科領域も撮像できなくはない。ただ当方は読影できる自信はない。婦人科救急は、子宮外妊娠(異所性妊娠)以外だと、卵巣出血と卵巣嚢腫茎捻転になる。

 とりあえずこれだけの情報で、産婦人科医もいる地域の基幹病院に連絡して相談することにした。病名は仮に卵巣出血疑いとしたが、CT所見を述べてよくわからないことも伝えた。ちょっと待ってくださいということで、数分待っていると(婦人科に連絡?)、受け入れてもらえた。

 夫が連れてきたが、いったん自宅に戻っていた。子供は寝かせてきたという(両親も同居しているので、頼める)。救急搬送は患者さんだけにして、夫は直接先方の病院に向かってもらうことにした。

 これは何だろうか。

 

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子宮留膿腫

2023年11月16日 | 産婦人科疾患

 11月14日(火)の午前の救急当番(発熱外来を兼ねる)に、施設入所中の87歳女性が前日からの発熱(37℃半ば)で受診した。

 内科の別の先生の外来に通院していて、8月に尿路感染症で入院していた。外来では1か月おきくらいに診ている。家族は当地にはいない、受診の時は東京から来ているそうだ。

 施設入中で、発熱だけの症状で呼吸器症状はないので、コロナやインフルエンザではないが、検査から入ることになっている。(両者陰性)

 一番は尿路感染症と思われたが、茶色の帯下や性器出血があった。尿カテーテルが留置されているので、尿検査では細菌尿・膿尿になる(除外診断しないと尿路感染症とはいえない)。

 婦人科の感染症が疑われていたが、子宮は前回より腫大して、内腔に液体貯留があった。肺炎はなく、腎臓周囲の炎症像(あっても有意な所見ではないが)もなかった。

 当院は産婦人科の常勤医は昨年中に辞めていなくなった。現在は主に健診の二次検査を見てもらうために、非常勤で来てもらっている。その日や来ていたので、診察をお願いした。

 処置中に出血と黒茶色の帯下と膿が出てきた。ただし膿の量は少ない。培養と細胞診が提出された。外来で抗菌薬の点滴を行って、内服薬で次の婦人科外来まで経過をみてもらうことになった。

 

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