現在80歳代半ばの女性が急性胆管炎で入院した。最近は急性腎盂腎炎や急性肺炎で数回入院していて、急性胆管炎は久しぶりだった。
最初に診たのは当院に赴任して間もなくの約12年前で、患者さんも70歳代前半でまだ元気だった、肝機能障害があり、胆嚢内に結石があった。術前検査として総胆管結石の有無を検査していたが、総胆管末端に狭窄部があり、診断がつかなかった。(左図はなつかしいDIC-CT、右はMRCP)
結局、胆膵に詳しい専門病院に胆管癌疑いとして紹介した。手術を受けて帰ってきたが、予想外の結果だった。総胆管拡張症からの胆管癌と判断されたらしい。癌が粘膜表面を肝門部に向かって進行していて、切リ進めているうちに、肝管まで行った。最終的には両側の肝管を別々に空腸と吻合していた。紹介先の病院として最適だったと、変な褒められ方をした。
当院に戻ってから何度か急性胆管炎を発症した。肝管空腸吻合術なので腸管内の細菌がすぐに肝内胆管に進展するのだろう。症状は毎回、悪寒戦慄を伴う急な高熱だった。とにかく、その症状が出たらすぐに受診するようにお話していた。
その後は、どういうわけか急性胆管炎にはならず、急性腎盂腎炎で入院するようになった。敗血症性ショックで危なかったこともある。そしてしだいに認知症の症状が進み、急性肺炎(誤嚥性疑い)で入院するようになっていった。
昼夜逆転で昼前に起床する生活らしいが、食事摂取量も落ちてきていた。今回は、左(?)側腹部痛と食欲不振という訴えて受診した。この方が左側腹部痛を訴える時は経験上腎盂腎炎だったが、尿検査は異常なしだった。久しぶりに肝機能障害と炎症反応上昇の組み合わせで、肝内胆管もふだんより拡張していた。点滴と抗菌薬を開始した。