なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

岡先生の「新型コロナウイルスCOVID-19特講2021」

2021年01月31日 | Weblog

 岡秀昭先生の「新型コロナウイルスCOVID-19特講2021」(中外医学社)が出た。講義編の、疫学・ウイルス学、感染予防、診断、治療は前著よりもコンパクトになった。症例検討編として5症例が載っている。

 COVID-19の基本的なテキストとして繰り返して読むつもりだが、少々わかりにくいところがある。重症度が、FDAの重症例で記載しているところと、厚労省の「手引き」の軽症・中等症・重症に合わせたところが混在している。

 

 当院は中等症までの対応なので、重症例(低酸素血症で酸素吸入5L/分以上、人工呼吸管理の対象)は高次医療機関に搬送になる。治療は抗炎症としてのデキサメサゾン(さらに免疫抑制剤)と抗凝固としてのヘパリン投与になるのだろう。

 軽症と中等症Ⅰ(酸素吸入なし)は対症療法になる。問題は中等症Ⅱ(酸素吸入あり)だ。感染早期(7日~10日)の治療は抗ウイルス薬による治療になり、使用できるのはレムデシベルだ。

 当院はレムデシベルの使用経験はない。中等症Ⅱ(酸素投与あり)でデキサメサゾンを投与した患者さんは、入院時感染早期を過ぎてから悪化した症例と、慢性腎臓病がある症例だったので使用しなかった。

 今後感染早期で中等症Ⅱ相当の患者さんにはレムデシベルも使用したいと考えている。ただ申請すると届くのは翌日で、申請が午後1時以降になると翌日の受付になるので翌々日に届くそうだ。

 レムデシベルは1本25万円で、5日間投与(1日目に2本200mg、2日目から1本100mg)なので150万円になる。申請すれば国から無償提供だが。

 

 デキサメサゾンは投与時期の問題がある。感染早期のウイルス増殖期に使用すると、ウイルス増殖を助長してしまい、かえって病状が悪化するそうだ。発症後7日~10日後から使用になるが、7日なのか10日なのかはわからない。

 「呼吸器ジャーナル」の別冊に、病院別の治療法が載っていた。「デキサメサゾンは発症7日までは使用しないで、8日目から使用する」と記載している病院があり、すごく参考になった。

 金曜日に退院した中等症(Ⅱ)の患者さんには、デキサメサゾンを早く投与したかった。しかしウイルス増殖期に使用したくないので、数日待って8日目から開始した。

 当院に指導に来ている感染症専門医の先生は、感染早期にデキサメサゾンを開始するとかえって悪化すると教えてくれた(実際に悪化したそうだ)。さらに感染早期を過ぎても、線状の要素が加わった(ちょっと硬い感じの)陰影にはいいが、淡いすりガラス陰影が新たに出現しているとそちらは悪化させるかもしれないとも言っていた。

 このデキサメサゾンの投与開始時期についての規定がないので、自信を持って使うことができない。病院判断とされても困ってしまう。

 

 デキサメサゾン投与は6mg/日10日間になる。経口薬だと6mg/日でいいが、点滴静注ではどうなるのか。静注薬の力価は経口薬の3割増しになる。デキサメサゾン注1.65mgは経口薬2mg相当なので、1.65mg3アンプル(経口薬6mg相当)でいいのか。

 呼吸器ジャーナルの病院別治療法には、デキサメサゾン6.6mg注(経口薬8mg相当)を使用していると記載している病院があった。このデキサメサゾンの使用法も詳しい記載がない。臨床試験のRECOVARY試験ではどっち?。

 岡先生の本にもその辺の細かいことについての言及はなかった。ちょっと残念。

 

Dr.岡の感染症ディスカバリーレクチャー 新型コロナウイルス COVID-19特講 2021

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広範なすりガラス陰影

2021年01月30日 | Weblog

 水曜日の夜間に呼吸困難の96歳女性が救急搬入された。当直は内科の若い先生だった。

 グループホームに入所していた。前日から咳をしていたそうだ。水曜日の日中に酸素飽和度が低下して、内科クリニックを受診した。経口抗菌薬(第3世代セフェム)を処方されて、木曜日に当院外来の予約をとっていた。(クリニックでの胸部X線)

 搬入時は酸素吸入5L/分を要した。胸部X線では日中に比べて心拡大・すりガラス陰影の著明な増加を認めた。胸部CTですりガラス陰影の分布がわかりやすく描出されている。

 心電図では以前からの心房細動があり、右脚ブロックになっていた。BNPは189と上昇していたが、以前に受診した時(呼吸不全ではない)と比べて変わりなかった。肺炎・心不全として入院させて、家族と相談して病状悪化時はDNRの方針となった。

 搬入時に発熱がなかったためか、発熱外来としても扱いにならなかったらしい。普通に救急室に搬入されて、検査後にもともとICUとして使用していた病室(3つのベットが間隔は大分離れているが、並んでいる)に入院していた。

 翌日すりガラス陰影ということで、問題になった。外来看護師長も病室に確認に行っていた。対応がまずかった、ということになった。(看護師不足で夜間の外来は看護師2名から1名になった)

 心不全について相談した循環器科医からも、コロナは大丈夫なのかという話が出た。個室に移動して、新型コロナウイルスPCR検査(院内に入った簡易的PCR)とインフルエンザ迅速試験を行ったが両者とも陰性だった。(グループホーム入所の高齢者が突然コロナになることは考えにくいが)

 放射線科の読影は「急性肺炎、急性間接性肺炎?」だった。白血球10300・CRP7.7でLDHが311と上昇していた。間質性肺炎のマーカー(KL-6、SP-D)を提出したが、外注で結果は来週になる。

 聴診ではcoarse cracklesが聴取されて、両下肢の浮腫がある。日中にクリニックで撮られた胸部X線と、同日夜間に当院で撮られたX線を見ると肺水腫の進行になる(急性間質性肺炎はここまで速くはない?)。

 ラシックス注・抗菌薬に加えて、ステロイド・ハンプ点滴静注を追加したが(血圧は高めで推移)、週末を乗り切れないかもしれない。

 

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新型コロナウイルス~デキサメサゾンの効果

2021年01月29日 | Weblog

 1月14日に入院した新型コロナウイルス感染症の64歳男性は、入院時は無症状だった。88歳の父親が新型コロナと判明して、保健所で入院勧告を拒否した。説得した結果、ホテル療養の予定だった息子がいっしょに入院するのであれば、と入院に同意した。

 息子さんの方は付き添い気分での入院だったので、テレビは見られるのか、インターネットは繋がるのかと、病院の設備だけ気にしていた。

 入院時の検査で白血球4800・CRP4.1と炎症反応は軽度症状だった。胸部CTで両側肺野の背側胸膜下にすりガラス陰影を軽度に認めていた。

 入院した翌日の夜間に、入院時には正常域だった酸素飽和度が低下して、発熱もあった。酸素吸入2L/分を要して、中等症Ⅱ相当になった。

 連休明けの検査で白血球5600・CRP7.4と上昇していた。胸部CTでもすりガラス陰影が増加していた。もともと心房細動があり、DOACが処方されていた。安静時100/前後で体動時は140~150/分になる。頻脈性としてβブロッカー少量を追加した。

 酸素飽和度の有意な低下はなかったが、発熱が続いていた。倦怠感があり、食欲が低下してほとんどベット上で過ごしていた。酸素吸入開始時から、重症化して対応できる病院に搬送する場合に備えて、診療情報提供書と画像のCDを準備した。

 8日目を待って、デキサメサゾンを開始した。投与後は解熱して、数日投与するとしだいに酸素飽和度が上がってきた。酸素吸入を1L/分に下げるころには、患者さんの表情もよくなってきた。

 デキサメサゾン8日間投与で、白血球12700(ステロイドの影響)・CRP0.2と炎症反応が軽快した。胸部CTですりガラス陰影は軽減していた。酸素吸入は中止できた。

 10日間の投与予定だったが、炎症反応の陰性化、酸素化の改善、さらにステロイドで食欲が出過ぎた(!)こともあり、8日間で中止した。

 

 問題点・疑問点としては、1)デキサメサゾンを入れなくても改善したかもしれない、2)1週間以内のウイルス増殖期に酸素吸入を要したのでレムデシベルを取り寄せて投与すべきだったか、になる。胸部CTもやりすぎなのだろう。

 数多くの患者さんを診ている病院では、このくらいの病状変化ではあわてないのだろう。当院では酸素吸入が開始になると、病棟の看護師さんも、「大丈夫でしょうか!」、「搬送は?」、とストレスがかかる。

 

 病室から出られないので、希望するもの(食品)は病院の売店で購入して差し入れることになっている。デキサメサゾン投与4~5日で、大量の食品を希望してずっと食べていた。それで記憶に残る患者さんになりそうだ。

 

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数か月で治まっていた

2021年01月28日 | Weblog

 昨年春まで勤務した内科専攻医が、一昨年の症例をJ-Oslerに登録したので、評価・確認していた。

 研修の後半はすっかり慣れて、診療は専門医レベルでまったく問題がなく、分野(脳神経)によってはこちらが感心するような内容だった。

 

 その中に76歳女性の症例があり、発熱・炎症反応上昇が続いていた。肺炎はなく、あるとすれば尿路感染症かもしれないと判断された。抗菌薬(セフトリアキソン)を投与したが、反応はなかった。CRP15~20で推移していた。

 頭痛(側頭部痛)があり、側頭動脈が経過中に硬結・怒張しているように見えた。造影頭部MRIで同部位に炎症像があり、読影レポートは「側頭動脈炎の疑い」とされた。顎跛行は認めず、視力障害もなかった。

 患者さん自身はそれなりに元気なので、退院にしてリウマチ膠原病内科のある病院に紹介とした。(症例報告としてはここまで)

 

 この症例はその後どうなったのか確認してなかった。今回確認すると、紹介した病院からの返事が来ていた。側頭動脈炎とは確定できず、経過をみたそうだ。炎症反応はしだいに軽快して、3か月後にはほぼ正常となっていた。そこで終診とされている。

 現在は、高血圧症などで普通に当院に神経内科外来に通院している。あの発熱・炎症反応上昇は何だったのだろうか。側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)などの血管炎が自然に治ることがあるか?(約4か月の経過で)

 これ症例はリウマチ性多発筋痛症(PMR)を示唆する症状はなかった。日常的にPMRを診ているが(現在は3名)、これも1~3年(当院は2年にしている)の治療で終了して、そのまま治ってしまう患者さんと、数年後に再発する患者さんがいる。発症した時と発症していない時の違いは何なのだろうか。

 何かが引き金になって発症しているだけで、いったん治まるとそのまま経過するということなのか。

 

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症候性てんかん

2021年01月27日 | Weblog

 今日、糖尿病で通院している48歳男性の診療情報提供書が、地域の基幹病院脳神経内科から来ていた。

 

 昨年8月にけいれん発作で先方の病院に救急搬入された。けいれんの治療がなされて、頭部CTで右前頭部の陳旧性脳梗塞を認めた(新規の脳血管障害はなし)。

 3~4年前から性格が粗暴になり、暴力をふるうようになっていた(家族の話)。それは脳梗塞の影響と判断されていた。

 7年前から当院に糖尿病・高血圧症で通院していた。HbAc1が9%くらいで、悪化すると10数%になっていた。4年前に中断して、3年前には臀部膿瘍で外科に入院して、糖尿病の治療を当時いた内科の若い先生がしていた。退院後はまたすぐに中断した。治療中断は脳梗塞による影響があったのだろうか。

 昨年9月に糖尿科からの診療情報提供書が来て、脳神経内科に陳旧性脳梗塞・症候性てんかんで入院したこと、糖尿病科は往診で介入したことが記載されていた。(性格的な問題があるということで、地域医療連携室が当方に持ってきた)

 入院中はDPP4阻害薬に速効型インスリンのスケールで対応していたが、退院時はDPP4阻害薬のみ処方しているので、あとはよろしくという内容だった。

 脳神経内科に入院して経緯と、処方内容も記載されていたが、脳神経内科からの診療情報提供書は来ていなかった。処方は抗血小板薬(バイアスピリン)と抗てんかん薬2種類だったので、そのまま継続した。

 紹介で受診した時は、HbA1cが12.7%だった。服薬管理があやしいのでなるべく朝だけの処方にしたいこと、経済的に安価な処方を希望していることを考えて、DPP4阻害薬にごく少量のSU薬(グリクラジド20㎎)というちょっと古典的な処方にした。HbA1cは順調に低下して、今日はHbA1c7.0%になっていたので、グリクラジドを10mgに減量した(できればDPP4阻害薬だけにもっていきたい)。

 

 脳神経内科からの診療情報提供書には、てんかんについてこれまで外来フォローしてきたが、後はそちらでよろしく、という内容だった。患者さんはけいれん発作後に車の運転ができなくなったことを嘆いていた。2年発作がないことを証明しないと運転できないことは、わかっていた。2年経過して運転許可の時にまた脳神経内科に相談することにした。

(画像添付がなかったので、頭部CTは当院施行)

 

 診療情報提供書(糖尿病科からの)に、けいれん発作で救急搬入された時に、ロラゼパム・レベチラセタムで治療とあった。ロラゼパムは静注薬のロラピタだろう。当院では使用経験がないが、2019年に発売されていた。ジアゼパムよりいいのだろうか。

 

 

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発熱が怖いと

2021年01月26日 | Weblog

 昨日糖尿病で通院している76歳男性が外来を受診した。発熱があると訴えて、最初発熱外来の扱いになっていた。

 発熱外来担当の外科医は、新型コロナウイルス抗原検査とインフルエンザ迅速試験を行って両者陰性だったので、後は内科外来で診てもらうようにと指示していた。

 外科医は1週間前から37~38℃の発熱があり悪寒もある、と記載していた。発熱外来の問診表には自宅で体温39℃、と記載されている。

 

 この患者さんは精神科に通院している。診療情報提供書のやり取りをしたことはないが、処方は抗うつ薬(SSRI)と安定剤だった。うつ病と言うよりは、身体表現性障害、今時でいうと「身体症状症」に相当するようだ。

 何年も腹痛を訴えて、予約日以外や土日夜間の救急外来を受診していた。数年続いて、その後は腹痛はあまり訴えず、頭痛を訴える時期があった。1年くらいでまた腹痛に戻った。

 どこが痛いという局在性ははっきりしない。常に食欲は良好だった。検査は嫌がらないので、一度検査して、しばらくするとまた同じ検査を繰り返すことになる。結果的に毎年人間ドックを受けたことになるので、それでもいいのかもしれない。

 妻が付いてくる時と、付いてこない時がある。妻は、何かあるのではと心配する気持ちと、毎日一日中調子が悪いと訴えるので、あきれる気持ちが混在しているらしい。

 

 昨年から発熱が続くと訴えることもあったが、体温は36℃台だった。それは発熱と言わないのではと言うと、とにかく気になると言う。炎症反応はまったく陰性だった。

 昨日内科外来で話を聞くと、やはり体温は36℃台だった。一番高い時で36.9℃になるそうだ。36℃台での変化なので、7~8℃(36.7~8℃)に上がって、一番高い時は9℃(36.9℃)と表現してしまい、発熱外来では誤解したようだ。発熱外来経由なので一通り検査したが、胸部X線は異常がなく、白血球・CRPは正常域だった。

 体温計を持ち歩いていて、一日中体温測定をしているのだった。そのまま経過をみて問題ないが、気になる時に内服してもいいからとアセトアミノフェン400mg屯用(カロナール200mg錠を2錠)を持たせた。(処方するのは好ましくないが、おまじない的に持たせた。)

 幸いなのは、こだわる症状はたいていひとつで、それ以外の症状は訴えない(訊けばあるというが)。発熱を訴えるのは、昨年から始まったので、コロナ恐怖症といえるのかもしれない。

 

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新型コロナウイルス感染症~中等症Ⅰ

2021年01月25日 | Weblog

 先週入院した新型コロナウイルス感染症の87歳は、年齢を考慮すると知力・体力ともに若者顔負けの元気な方だった。

 ふだんは糖尿病で地元の内科医院に通院していた。1月10日に咳・咽頭痛で発症した。症状が続いて、1月18日に医院を受診した。その日にPCR検査(唾液)を受けて、翌19日に陽性と判明した。37℃ちょっとの微熱はあった。

 1月20日に保健所の指示で当院に入院した(高齢+糖尿病で入院適応)。発症11日目になるので、肺炎はあるだろうと予想された。

 血液検査では白血球5600・CRP7.7と炎症反応が上昇していた。新型コロナはCRPが5を越えると肺炎は確実にあるようだ。リンパ球8.7%とリンパ球減少があり、LDH268と軽度に上昇していた。

 胸部CTで両側下肺野背側にすりガラス陰影を認めた。上下に広がっているので、冠状断で背側をみると、けっこう目立つ。酸素飽和度は97~98%(室内気)だった。

 日数的にはデキサメサゾンを使用できるが、入院時は発熱がなく酸素飽和度低下もないので、そのまま経過をみることにした。

 ベットの上で両足を上げて、前後左右に動かして筋力を鍛えていた。受け答えもきちんとしていて、立派なものだ。ふだんは、小学生の通学路で安全確認・誘導をしているそうだ。

 今日血液検査再検で、白血球4200・CRP1.5と炎症反応は軽快した。リンパ球11.8%、LDH210と入院時より改善している。肺炎像はまだ残っていると思うが、このまま軽快すると判断される。日数的には退院にしていいようだ。

 新型コロナウイルス感染症の中等症(Ⅰ)に相当する(肺炎はあるが、酸素吸入は要さない)。当院はこのくらいの入院がちょうといい。

 糖尿病の処方はSU薬・メトホルミン・αーGIで、HbA1c6.1%と良すぎる値だった。SU薬は今回DPP4阻害薬に変更した。他の2剤は継続としたが、DPP4阻害薬単独でも充分だろう。また血圧が以前から高めで入院後も160~170だったので、Ca拮抗薬(ベニジピン)を追加した。

 新型コロナは自力で治しているので、当院としては糖尿病薬・降圧薬を調整しただけになる。見事な87歳。

 

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ESD後の再発

2021年01月24日 | Weblog

 水曜日に91歳男性が内科再来を受診した。2回目の受診になる。

 2年前の年末に健診の二次検査として当院消化器科で内視鏡検査を受けて、早期胃癌(Ⅱa+Ⅱc)と診断された。内視鏡治療を勧めたところ、地域の基幹病院消化器内科を希望されて、そちらに紹介となった。

 内視鏡的胃粘膜剥離術(ESD)を受けたが、病理の結果は非治癒切除となった。高齢のため(当時90歳)追加外科手術は希望せず、そのまま外来で経過観察となっていた。

 昨年の10月の検査で肝門部リンパ節転移疑いと診断され、腫瘍マーカーの上昇(CEAが90台まで上昇)もあり、胃癌再発と診断された。治療は希望せず(まあそうだろう)、経過をみて病状悪化時は緩和ケアのみとなった。

 昨年11月に当院内科に紹介されてきた。患者さんはやせているが、年齢を考慮すれば、元気だった。毎日にように畑仕事をしているそうだ。消化器薬としてはPPIが処方されていた。軽度の糖尿病もあり、DPP4阻害薬を継続とした。

 先方の内視鏡検査では胃の局所再発は認めていない。胃癌の進行による消化管出血はなくなり、また不完全でも原発巣を切除していて転移のスピードは鈍った?かもしれないので、頑張ってESDを受けた(した)甲斐はある。

 前回の受診時にCTを行って、放射線科の読影では、まだ小さいが多発性肝転移を指摘された。どこまで外来で経過をみられるかわからないが、なるべく長く元気で過ごしてほしい。

 

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懐かしい名前

2021年01月23日 | Weblog

 内科の若い先生から、水曜日に地域の基幹病院救急科から転院してきた91歳男性について相談された。

 患者さんは元内科医で、以前は施設の嘱託医をされていたという。懐かしい名前だった。昔々当方が子供の時に、当院内科(以前の建物の時)に勤務されていた。母親がファンで、この先生が出る外来に合わせて受診していた。

 今回はどうしたのかと訊くと、先週末の朝に自宅の廊下で倒れているところを妻が発見した。何かあっても最期は自宅で迎えたいと希望していて、妻も同意していたそうだ。呼ばれた民生委員の説得で救急要請した、という経緯だった。(民生委員は無報酬で、何か問題があると呼ばれるという大変な仕事だ)

 搬入時は直腸温26℃とあるから低体温としては重症(<30℃)になる。幸い加温により体温が36℃台に戻ったと記載されていた。

 ご本人は自宅退院を希望されているが、老々介護で難しく、療養継続と今後の退院調整のために転院となった。転院(下請け)はふだん当方が扱っているが、新型コロナウイルス感染症の患者さんを6名診ていることもあり、ここ最近は他の先生方に頼んでいた。

 点滴と嚥下訓練を行って、経過をみてもらうことにした。検査結果を確認すると、白血球8400・CRP13.6と上昇していた。画像を確認すると左肺下葉背側に肺炎像がある(CTは当院で施行)。

 先方の病院では頭部CT・MRIを施行しているが、体幹部の検査は胸部単純X線だけだったので、発熱もないので気づかなかったのかもしれない。肺炎の治療を約1週間してもらうことした。スルバシリン(ABPC/SBT)が開始された。

 

 経口摂取が難しい時はどうするかだが、ご本人の希望に合わせるしかない。さすがに認知力が低下しているので、現在の意思確認は有効なのだろうか。文書化したものがないと難しい。

 病室にお顔を見に行った。中年の時のイメージしかないが、勤務されていた時の面影がある。

 

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自然気胸

2021年01月22日 | Weblog

 週末の金曜日だが、今日は今のところ発熱外来の受診もなく、新型コロナの入院依頼・PCR検査依頼もない。珍しく平和だ。

 新型コロナウイルス感染症で入院していた43歳男性は今日退院した。4日間39℃の高熱が続いて入院した。両側肺炎を認めて、酸素吸入は1L/分だったが、入院(発症8日目)した後も39~40℃の高熱が続いて、デキサメサゾンを投与していた。

 先週の金曜日に、呼吸器科外来に来てもらっている大学病院感染症科の先生に相談していた。そのまま経過をみるしかないと言われて(その通りだが)、週末に入ったが、幸いにその金曜日の夜間から解熱していた。

 今日経過を報告したが、大学に連絡がくるかもしれないと思っていたそうだ(中等症は搬送不可だが)。その後に入院した肺炎のある88歳男性(デキサメサゾン投与中)、64歳男性(酸素2L/分、デキサメサゾン投与中)、87歳男性について相談した。

 88歳男性と64歳男性は今日の血液検査で炎症反応が軽減していた。87歳男性は入院3日目で発熱・酸素飽和度低下はない。現在の治療で継続して、前2者は来週画像を再検査して確認すること、後者は血液検査を再検することとなった。

 

 救急外来には右自然気胸の16歳男性が内科クリニックから紹介されてきていた。気胸の程度は軽度だった。経過をみて週明けに再受診となっていた。典型的な体型だ。

 

 CareNeTVで岸田直樹先生の「新型コロナ時代の風邪の診かた」(医学書院)を見ていた。本としては、別冊呼吸器ジャーナルの「COVID-19の病態・診断・治療」を購入した。2020年10月あるいは11月時点での情報で記載されているので、若干情報が古い。

 来週は岡秀昭先生の「COVID-19特講」(中外医学社)の最新版が出るので楽しみだ。

別冊「呼吸器ジャーナル」COVID-19の病態・診断・治療 現場の知恵とこれからの羅針盤 (別冊呼吸器ジャーナル)

 

 

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