先週の木曜日のお昼に、地域医療連携室から診療情報提供書を持ってきた患者さんを診てほしいと依頼された。
非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで、呼吸器科外来で年1回のフォローをしている88歳男性だった。次回の予約は8月に入っている。
火曜日にデイサービスに行っていて、昼食の時にむせがあり、その後に夕方から夜間にかけて発熱・湿性咳嗽があった。
地域の基幹病院にも昨年誤嚥性肺炎で入院しているので、そちらを受診していた。血液検査と胸部X線・CTが行われて、明らかな肺炎像はないが、誤嚥性肺炎が疑われるとして、内服の抗菌薬が処方されていた(ジェニナック=ガレノキサシン))。
水曜日の午前中に呼吸器内科の外来を受診して、解熱して食事もとれることから、そのまま外来治療となった。後はNTM疑いで診ている(年1回だが)当院で治療継続をお願いします、紹介されたのだった。
この患者さんは2016年に血痰で、腰痛で通院している整形外科クリニックから当院の呼吸器科外来(大学病院から)に初回された。右肺下葉背側に限局性の浸潤影があった。両側肺野に粒状影も散在もあった。経過をみているうちに、浸潤影も軽快して血痰も消失して、終了となった。
2018年に胸部X線で少量の右胸水貯留があり、市内の内科クリニックから呼吸器科外来に紹介された。右胸水とともに、両側肺野の粒状影・線状影もあった。
抗酸菌検査は塗抹も培養も陰性だった。非結核性抗酸菌症(NTM)疑いで外来フォローとなった。(胸水貯留はNTMとしてどうなのか)昨年8月の胸部CTでは、右胸水が少し増量していたが、肺野の陰影は変わらず。そのまま1年後フォローとなっていた。
今回の先方の胸部CTをみると、右下肺野背側に浸潤影がある。2016年に最初に受診して、自然に軽快した時と同じような陰影だった。
紹介で外来を受診した時は解熱してふだんと変わりなかった。先方で3日分処方されたジェニナックを追加して、1週間後再検査とした。胸部単純X線だけだが、夜間受診より陰影は軽快して、炎症反応上昇もほぼ陰性化していた。
今回の誤嚥性肺炎は治癒として、変わりなければ8月の予約日(NTM疑いフォロー)に受診してもらう。ただ、NTM疑いで診ているので、ジェニナック(ニューキノロン)は好ましくなかったかもしれない。(オグサワが良かったか)
一昨年と昨年はそれぞれ2回当院に入院して、昨年は基幹病院に1回入院している。今年は外来治療から始まったが、肺炎で何回入院するだろうか。