今日はプライマリ・ケア学会の春季生涯教育セミナーに出た。午前中は「膠原病・循環器」、午後は「皮膚粘膜疾患のみかた/考え方」。
膠原病の前半は、開業されている高橋祐一先生が、外来初診での症状や検査所見のとり方を講演された。関節リウマチ疑いでは、リウマトイド因子と抗CCP抗体を測定するが、早期リウマチでは抗CCPは半数でしな陽性にならない。RFが陽性(健診でチェックされたなど)でも無症状ならば現時点ではRAではないと言える(症状があれば受診へ)。抗CCP抗体が陽性の時は、現時点で無症状でも将来RAになる可能性が高いので、半年ごとにフォローする(RF以外での陽性率は低いが結核では30%以上あるので要注意)。抗核抗体は160倍以上が有意なので、無症状でも年1~2回はフォローする。ただし、SLE,シェーグレンは40倍、80倍と低いこともある。
膠原病の後半は、東北大学の石井智徳先生が「こんなことになったら死んじゃいますよ」のような、ぶっちゃけ話的な口調の講演だった。短い時間の講義で膠原病が診れるようになるわけはないので、診かたのコツが少しでも掴めれば十分だ。リウマチ膠原病は慢性疾患の11%を占めて、とても専門医だけでは診きれないので、一般の先生方に協力をお願いしますということだった。
緊急性のある病態はあるが、それ以外はたとえ高熱が続いていたとしても、感染症で敗血症性ショックをきたすのとは違って診断をつけるまでに待てる。慌ててステロイドを投与して診断が困難になるような対応はしないようにという。緊急性のある病態とは、1)肺・心・脳・腎といった重篤な臓器障害、2)末梢神経障害から麻痺をきたすような不可逆性の病態(SLEの横断性脊髄炎など)、3)重篤な多臓器障害をきたす病態(TTP、膵炎・腸管穿孔など)。原因では、1)治療中に出現する原病の活動性と無関係の障害、2)原病の悪化による障害、3)薬剤による障害の3つ。薬剤の例として、MTXでは骨髄不全、感染症、間質性肺炎(0.5~2%)、肝障害、悪性腫瘍が起こりえる。
リウマチ膠原病は多発関節炎を呈するが、全身症状が10%程度と少ない関節リウマチか、他の全身症状をきたす疾患か、をまず鑑別する。全身症状としては、レイノー症状、皮疹、筋痛、麻痺(脱力)などをチェックする。
皮膚粘膜疾患は、自治医大さいたま医療センターの出水俊郎先生が、多数の皮疹のスライドを見せてくれた。テーマは、顔面の腫脹のみかた、口腔粘膜のみかた、薬疹のみかたの3つ。問題は重症薬疹で、薬剤性過敏症症候群(DIHS)、Stevens-Johnson症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)など。DIHSは特定の薬剤、抗てんかん薬(カルバマゼピン・アレビアチン・エクセグランなど)・アロプリノール・ミノサイクリンなどで起こる。多形紅斑に粘膜疹(口腔粘膜・外陰部・結膜)と伴うと、SJS・TENの可能性がある。多形紅疹の輪郭がぼやっとしていると重症に進展する。以前は皮疹が10%未満でSJS、30%以上でTENだが(10~30%はSJS/TEN)、最近は10%以上でTENとするそうだ。口腔粘膜病変の本を2冊進められていたので、どちらかを購入しよう。