なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

出血は腎臓から

2025年01月22日 | 泌尿器科疾患

 1月20日(月)に80歳代半ばの女性が内科新患を受診した。知的障害で施設に入所しているので、正確には施設職員が連れてきた。ふだんはC型肝硬変で当院消化器科の外来に通院している。

 1月17日(金)に肉眼的血尿があり、市内の泌尿器科クリニックを受診した。(たぶん腹部エコーで)膀胱内の血腫か腫瘍があるといわれたそうだ。導尿しようとしたができなかった、という。

 18日(土)に再度受診希望で連絡したそうだが、診るとはいわれなかった関係で(?)、20日に泌尿器科外来はないが通院している当院を受診したという経緯だった。(当院泌尿器科外来は非常勤で週に3回)

 37.3℃と微熱があった。血液尿検査をオーダーしたが、自尿はなかった。炎症反応の軽度上昇と腎機能の軽度悪化があった。

 CTで確認すると、右腎盂腎杯に出血と判断される高濃度域があり、そこから右尿管・膀胱内まで流れてきている。膀胱内にかなり尿が貯留しているが、これで排出してないということは、血液が膀胱から尿道への内尿道口をふさいで排出し難くなっている可能性がある。

 

 これは泌尿器科で診てもらわないとどうにもならない。地域の基幹病院泌尿器科に連絡すると、外来で診てもらえることになった。施設車で来ているので、そのまま向かってもらう。

 

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コロナ肺炎

2025年01月20日 | COVID-19

 1月16日(木)は当直だった。午後10時過ぎに、咳と息苦しさを訴える70歳代後半の男性が救急搬入された。

 市内の内科クリニックに高血圧症・心房細動で通院している。来週には心房細動のアブレーション治療のため、循環器センターのある病院に紹介となる予定だった。

 1月10日に咳が続いてクリニックを受診して、鎮咳剤が処方された。咳が続いて、1月15日にも受診して喘息の吸入薬(ICS/LAMA/LABA)が処方されているという。発熱はなく、救急隊としても喘息発作のようなものと思ったらしい。

 咳が出始めてからずっと発熱はなかったというが、呼吸器症状なので、新型コロナとインフルエンザの迅速検査を行った。結果は新型コロナ陽性だった。

 酸素飽和度は94%(室内気)なので、普段よりは低下しているのだろうが、酸素吸入なしでもいける。その日は急性期病棟の入院ベットがなく、どうしてもの時は地域包括ケア病棟の大部屋なら1ベットだけあった。めまいで経過を見るくらいの患者さんでなければ入れられない。隔離する個室はまったくなかった。

 患者さんは一人暮らしで、1月7日に4日間ほど遊びに来ていた孫が帰った後から、症状が出始めたそうだ。孫は感冒症状があった。そこからうつった可能性が高い。

 聴診上は異常音はなかった。少なくとも喘息発作ではない。発症日からみると、すでに9日目になる。ウイルス期ではなく炎症期の入っているか。デキサメサゾン8mgを点滴静注して、翌日の午前中に来てもらうことにした。

 翌日の1月17日に検査を行った。血液検査では白血球2900・CRP5.2とウイルス感染を示唆する結果だった。血清フェリチン・LDHの情報もあるが、Dダイマーは正常域だった。

 胸部CTではコロナらしい胸膜直下から広がるすりガラス陰影を認めた。両側にあるが、右側が目立ち左右差がある。右肺下葉の陰影は少し器質化している。新型コロナの初期に診られたウイルス性肺炎像だった。

 前日のデキサメサゾン注で咳と息苦しさは軽減していた。なによりステロイドなので倦怠感はぐっと改善したそうだ。酸素飽和度は95%(室内気)。

 その日も入院させる個室はなかった。食欲は良好なので、そのまま外来で治療することにした。デキサメサゾン8mgを点滴静注して、土日月と同量を内服とした。

 デキサメサゾン8mg5日間の後は、そのままで10日間継続するか、漸減中止(8mg→4mg→2mg)か決めることにした。来週血液検査と胸部CTを再検する。

 

 新型コロナのワクチンを接種していないのかと思ったが、無料だった時期は毎回接種したそうだ。典型的な新型コロナのウイルス性肺炎像は最近あまり見ない。ワクチン未接種者に多い傾向はあるが、人によるのだろう。

 

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インフルエンザ後の肺炎

2025年01月18日 | 呼吸器疾患

 1月15日(水)に、市内のクリニックでインフルエンザと診断されて、その後も発熱と咳が続く70歳代前半の女性が受診した。

 1月9日にクリニックを受診しているので、ちょうど7日目になる。経過としてはインフルエンザ罹患後の細菌性肺炎が疑われた。

 酸素飽和度が92%(室内気)と低下していた。胸部X線・CTで右上葉と下葉に肺炎像があるが、それほどではない。ただ、両側肺野に気腫性の変化があった。3年前までの喫煙歴がある。

 入院治療が好ましいと話すと、癌治療中の夫と息子の3人暮らしで、夫の世話があるのでといって渋っていた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺炎で、酸素吸入も要すると話をした。

 喘鳴はないが、喀痰が絡んでいる。喀痰培養に出してもらうと黄緑色の物が出た。COPDだと肺炎球菌・インフルエンザ桿菌だが、インフルエンザ後だとブドウ球菌の可能性もある。

 酸素吸入(2L/分)とセフトリアキソンで治療を開始した。インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンはいずれもしていない。軽快退院後に肺炎球菌ワクチンの接種を勧めた。

 

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心不全のはず

2025年01月16日 | 循環器疾患

 1月15日(水)に医局のコンピュータの置いてある部屋で、外来受診した患者さんの画像を見ていた。内科の先生が前日に受診した患者さんの画像を出して、声をかけられた。

 患者さんは50歳の男性で、通院している市内の内科医院から肺炎・胸膜炎の疑いとして紹介された。内科医院で高血圧症・糖尿病の治療をしていて、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で大学病院にも通院していた。

 2019年に胸痛で当院の循環器科(当時はあったが、その後は閉科)を受診した。心エコーで左室の全周性肥厚を認めるが、心電図では左室肥大の所見はない。心臓カテーテル検査では右冠動脈の50%狭窄のみで、βブロッカー内服で経過観察となっていた。

 

 昨年末に胸部痛(胸骨裏面)の痛みがあり、体動時に痛むということで筋骨格系の痛みとしてNSAIDsを処方して軽快したそうだ。1月13日から再度同様の痛みが生じて受診した。ただ今回は、胸部X線で両側胸水と両肺野に透過性低下があった。

 当院を受診した時は、血圧124/85・脈拍数114/分・体温37.1℃で酸素飽和度が80%台と低酸素を呈していた。

 心電図ではほとんど異常なしだった(機械読みでは非特異的T波異常)。胸部CTで確認すると、両側胸水と肺うっ血を認める、ように見える。

 白血球11100・CRP1.5と感染症急性期の所見のような結果だった。BNPは7.6と正常域で、心拡大がなく、むしろ小さめに見えることから心不全とはし難かったそうだ。

 ちょうど当院はその日入院ベットがなかった。基幹病院呼吸器内科に肺炎・胸膜炎として紹介すると、幸いに受けてもらえたそうだ。

 肺炎なのかといわれると、説明し難い。画像所見は心不全にしか見えない。確かに心不全の所見として疑問のところはあるが、もともと肥大型心筋症は間違いなくある。

 心不全ならば、基幹病院内で呼吸器内科から循環器内科に回されるので問題はないか。当院としては「高次医療機関に搬送」でよかったのだろう。

 

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肺血栓塞栓症(その後)

2025年01月14日 | 循環器疾患

 12月11日に記載した、大学病院に救急搬送した肺血栓塞栓症の70歳代後半の女性のその後。

 12月末に腎臓内科の若い先生から、12月9日に大学病循環器内科に救急搬送した患者さんが、年明けに戻ってくると話してくれた。実際に年明けに当院に転院となった。

 多発性嚢胞腎で慢性腎不全があり、大学病院で血液透析を行ったことから、腎臓内科に転院依頼が来ていたのだった。

 

 当院から大学病院に搬送後、大学病院ではヘパリンによる抗凝固療法を開始した。その日の夜間に心室頻拍(VT)が発症して、cardioversionを行っていた。

 翌日に胸部造影CTを行うと、両側肺動脈に血栓塞栓像があり、特に右肺動脈は近位でほぼ完全に詰まっていた。左下肢の静脈に深部静脈血栓症を認める。

 

 肺血栓塞栓症が再発して、抗凝固薬による保存的治療継続の猶予がないと判断されて、心臓血管外科で右肺動脈血栓摘除術(開胸)が行われた。

 胸水増加・無気肺、NPPVの施行など術後も大変だった。CHDF(continuous hemodialysis and filtration:持続血液濾過透析)が行われたが、その後2週間くらいで離脱した。

 ただ血清クレアチニン以前の3mg/dL台から5mg/dLに上昇していた。通常の慢性透析導入は、廃用症候群の寝たきり状態では適応にならない、という問題がある。

 摂食もできず、経管栄養が行われている。どこまで治療するか、家族と相談になるようだ。

 

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抗酸菌塗抹陽性

2025年01月12日 | 呼吸器疾患

 1月6日(月)に70歳代前半の女性が血痰で内科外来を受診した。昨年の12月末から血痰が続いていた。大学病院から来ている先生(総合診療科)が担当していた。

 1月8日(水)に外来の看護師さんから連絡がきた。1月6日に喀痰が出ず、1月7日に喀痰を持ってきたそうだ。その喀痰の抗酸菌塗抹が陽性(ガフキー2号)だった。結核菌TRC(RCR)もオーダーされていた。

 7日に検査室から抗酸菌の喀痰培養に提出するには量が少ないといわれて、1月8日にも喀痰をとって患者さんが持ってきた。培養検査のオーダーがないので入れてほしいということだった。

 胸部X線・CTの画像を見ると、左肺下葉背側に空洞性病変とその周囲の斑状影を認める。MACのTRC(PCR)も提出して、結核菌培養(液体培地)をオーダーした。

 この患者さんは一人暮らしだが、仕事はしている。外来で診た先生は1月9日の呼吸器外来(大学病院から応援医師)に予約を入れていた。

 ちょうど9日に喀痰の結核菌TRC(PCR)陰性の結果が出ていた。非結核性抗酸菌症(NTM)として、1か月半後に画像検査再検となった。(抗酸菌培養の結果が出る頃に入れたということだろう)

 NTMとしては、線維空洞型(結核類似型)になる。NTMの線維空洞型(結核類似型)は、

 ・中高年男性で喫煙歴を有し、肺結核後遺症やCOPDなどの肺基礎疾患をもつことが多い。MACやM.abscessusで認められるが、M.kansasii症での割合が多い。・喀痰などの自覚症状があり、通常喀痰検査で診断がつくことが多い。「結核・非結核性抗酸菌症を日常診療で診る」(羊土社)

 その後、M.aviumのTRC(PCR)陽性と判明した。

 

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クローン病

2025年01月10日 | 消化器疾患

 1月6日(月)に、深夜から嘔吐と腹痛が続く20歳代後半の女性から受診希望の連絡が入った。大学病院にクローン病で通院しているということだった。

 当院でクローン病は扱えないので、大学病院に直接行ってもらうのがいいのだが、症状があってちょっと遠いか。いったん当院に来てもらうことにした。

 

 受診したわかったのは、治療中断していたことだった。15歳からクローン病で大学病院消化器内科に通院していて、レミケード注を3週おきにしていた。小腸型のクローン病で、手術歴(小腸を30㎝切除)もあり、小腸に狭窄部があるといわれていた。3年前に出産したが、その後は通院を中断している。

 その後症状がなかったのか訊くと、年に1回くらい腹痛はあったが、長くは続かなかったという。発熱・血便もなかったそうだ。

 その日の午前0時過ぎから嘔吐が5回あり、腹痛も続いていたが、受診した時には一番腹痛が強い時よりは軽減していた。発熱はなく、腹部は平坦・軟で圧痛は臍部周囲(特に右側)に軽度にあった。腹膜刺激症状ありとはいえない。

 生理が1か月以上ないというので、点滴・鎮痛薬(アセリオ1000mg注)と血液・尿検査(妊娠反応を含む)を提出した。妊娠反応は陰性だった。白血球11600・CRP0.4と急性期の炎症像だった。

 腹部単純X線ではニボー様の腸管ガス像がある。腹部所見と遊離ガスがないことから腸管穿孔はない。

 その後腹部造影CTを行うと、小腸の拡張・消化液貯留があり、一部に狭窄を疑う所見がある。腹水も軽度だがあった。

 アセリオ注で腹痛は軽快して、嘔気も治まっていた(検査をして午後4時になっていた)。子供を預けてきているので早く帰りたいという。食事摂取すると、症状が再燃しそうだ。

 大学病院消化器内科の予約をとってもらうと、幸いに2日後にとれた。(数週間後になる時は、直接大腸グループの先生に連絡するつもりだった。クローン病で治療中断、と伝えてもらったのが効いたのかもしれない。)

 患者さんにはこのままにしておくと、穿孔や腸閉塞で長期入院になる可能性があり、今なら外来治療でいけるかもしれないので、必ず受診するよう伝えた。診療情報提供書と画像のCDを持たせた。

 翌日も症状が続く時は受診するよう伝えたが、受診していない。(カロナール500mg3錠分3とドンペリドン10mg3錠分3は処方していたが、ゼリー状の栄養剤で経過をみるようにしたのが効いた?)多分無事に翌々日大学病院を受診したのだろう。

 病状が安定していれば、地域の基幹病院には大腸グループ(炎症性腸疾患の研究グループ)出身の先生がいるので、大学病院からそちらに紹介してもらえるかもしれない、とも伝えた。

 当院の消化器科医にもCTを診てもらって相談したが、「当院では無理」とはっきりいわれた(まあそうでしょう)。

 

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この陰影は何?

2025年01月08日 | 呼吸器疾患

 1月6日(月)の午後に腎臓内科の若い先生が胸腹部CTを行っていた。別の患者さん(クローン病の若い女性)の造影CTを行うので、放射線室に行った時にちょうどCTが終わったところだった。

 両側肺、特に右肺にすりガラス様陰影が散在していた。胸膜直下はスペアされている点がCOVID-19らしくはないが、十分に疑われる所見だった。

 70歳代半ばの男性で血液透析を受けている患者さんだった。1月3日に透析の通院時に交通事故を起こした。シャント肢の表皮剥離・皮下出血があり、下肢にも血腫がある。もともとの貧血(Hb9~10g/dL、腎性腎血)が、おそらく出血によりHb7.6g/dLと進行していた。

 そもそも事故を起こした1月3日には38℃の発熱があったそうだ。白血球は正常域(ふだんは4000で6100なので微増か)だが、CRPが21.2mg/dLと著明に上昇している。

 入院時には新型コロナとインフルエンザの迅速検査をして陰性だったが、コロナのPCRもしませんか、と勧めた。結果は陰性だった。

 肺野の淡いすりガラス様陰影は感染症なのか、肺胞出血なのかわからない。若い先生は肺炎として、抗菌薬投与を行っていた(ABPC/SBT+AZM)。

 

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ACO=喘息+COPD

2025年01月06日 | 呼吸器疾患

 1月6日(月)にCOPDの59歳男性が受診した。3日前に発熱があり、翌日には解熱したが、咳と労作時の息切れが続いていた。

 市内の内科クリニックに慢性閉塞性肺疾患(COPD)と高血圧症・高脂血症で通院していた。2021年から2023年まで当院の呼吸器外来にCOPDで通院していたが、その外来が閉鎖になり、内科医院に紹介となっていた。(担当の先生は呼吸器センターのある千問病院から来ていた。外来閉鎖は当院の都合だが、ちょうどその先生が開業されるところだった。)

 以前の胸部CTをみると気腫性変化はほとんど目立たない。どちらかというと慢性気管支炎の方か。吸入薬はビベスピ(LAMA/LABA)が使用されていた。

 2024年11月に内科医院から当院の呼吸器外来(現在週1回だけ。大学病院からの応援医師)に紹介されていた。労作時の息切れが改善しないということだった。

 外来でネオフィリン・デキサメサゾンの点滴とネブライザーが行われて、デキサメサゾンの内服(6日間)が処方された。吸入薬ビレーズトリ(ICS/LAMA/LABA)に変更された。

 2回目の受診時に症状軽快していたので、内科医院に戻していた。その際、吸入薬はビベスピに戻してもいいとなっていて、実際に戻されている。

 受診時の聴診で明らかに喘鳴が聴取される。普通に診れば喘息発作だった。喘息とCOPDを合併しているACO(asthma and COPD overlap)のようだ。吸入ステロイド(ICS)がないと悪化する、ということだった。

 昨年受診時と同様にネオフィリン・デキサメサゾン(6.6mg)の点滴を行って、ネブライザーも行った。(ネブライザーは吸入刺激で悪化しないよう、点滴が入ってから行った)

 その後は単味の点滴につないで、外来で経過をみた。喘鳴が軽快して、トイレ歩行で息切れが軽快していたそうだ。

 入院治療は希望しなかったので、喘息発作に準じて、翌日からプレドニン30mg/日を4日間内服とした。吸入薬はビレーズトリ(ICS/LAMA/LABA)に戻して、テオフィリンとモンテルカスト内服もしばらく併用とした。

 多分これで良くなるはずなので、通院している内科医院に病名変更(ACO)と処方変更をお伝えして、後はそちらに通院してもらうことにした。

 それにしてもCOPD・喘息の吸入薬は数が多すぎて、覚えきれない。

 

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肝硬変・自己免疫性肝炎

2025年01月03日 | 消化器疾患

 12月26日(木)に転倒による骨盤骨折(左恥骨骨折・坐骨骨折)の91歳女性が、地域の基幹病院整形外科から当院のリハビリ病棟に転院してきた。

 担当は整形外科医だが、内科疾患の管理は内科ですることになっている。大抵は高血圧症・糖尿病くらいだが、この患者さんは自己免疫性肝炎からの肝硬変がある。

 肝硬変は基幹病院の消化器内科に通院していた。処方はプレドニン5mg2錠分1・ウルソ100mg6錠分3・リフキシマ200mg6錠分3・リーバクト3包分3・ラグノスNF経口ゼリー3包分3と本格的な肝硬変・自己免疫性肝炎の処方になっている。

 糖尿病もあり、こちらは市内のクリニックに通院していた。今回の入院で夜間せん妄の処方も追加されていた(ロゼレム、デエビゴ、トラゾドンで精神科の処方)。

 消化器内科の診療情報提供書によると、消化器内科で診始めたのは2024年6月とある。血液内科で自己免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)で診ていて、その精査中に肝硬変を指摘されたそうだ。

 そもそもITPでいいのか、肝硬変としての血小板減少なのか、記載されていないのでよくわからない。自己免疫性肝炎はずっと放置されて、肝硬変になってから診断されたということらしい。

 2023年10月に市内のクリニックから当院内科に食欲不振・浮腫で紹介されて1か月弱入院していた。脱水症による腎前性腎不全を呈していたが、点滴などで回復して退院している。入院時に軽度の肝障害を認めているが、その後軽快したので担当医は肝疾患とは認識していなかったようだ。その時の胸腹部CTを見ると、肝硬変・脾腫がある(後からだと何とでもいえるが)。

 ここ数年で、原発性胆汁性肝硬変になってから診断がついた高齢女性が2名いた。自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎が気づかれないまま進行して肝硬変になってから診断されることもあるということ。

 

 

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