なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

尿路から?カンジダ血症

2020年09月30日 | Weblog

 9月半ばに食べられない・動けないという93歳男性が救急搬入された。左肺背側に浸潤影を認めて、誤嚥性肺炎として入院した。救急で診た内科の若い先生がそのまま主治医になった。

 型通りのスルバシリン(ABPC/SBT)で肺炎は軽快したが、食事摂取は難しかった。経管栄養は家族も希望せず、こちらとしても93歳にする気にはなれない。頑張るとすれば、高カロリー輸液を行って、病状が安定していれば療養型病床のある病院にお願いすることになる。

 先週初めから高熱が出没して、血圧も不安定になった。院内の感染症発症として、血液培養2セットと尿培養が提出された。胸部X線で明らかな肺炎再発はなかった。

 血液培養2セットと尿培養からカンジダ(Candida albicans)が検出された。相談されて、てっきりカテーテル関連血流感染かと思ったが、まだCVカテーテルは挿入されておらず、末梢静脈からの点滴だった。

 すると血流から尿の経路でカンジダが検出されたのではなく、尿から血流への感染と考えるしかない。尿培養からのカンジダ検出は通常は定着菌だが、今回は起炎菌と判断される。尿閉で尿カテーテルが挿入されているが、入れ替えはできるが抜去は難しい。

 ファンガード(ミカファンギン)150mg/日が開始されて、解熱して血圧も安定してきている。培養提出時から開始していた通常の抗菌薬(院内感染なのでゾシンPIPC/TAZ)をどうするかだが、カンジダ以外の菌は検出されていないので、中止してもいいようだ。あとは眼内炎のチェックと心内膜炎のチェックになる。

 当初誤嚥性肺炎としてスルバシリンを投与したことが引き金になったのだろう。ゾシンやカルバペネムを使用したわけではないので、これでカンジダ感染を起こされてもと思うが、起こったことは仕方がない。

 

 別の患者さんで腹腔内の悪性リンパ腫と判断される患者さんでも、血液培養2セットからカンジダが検出されていたので、2例続いたことになる。こちらもCVカテーテルはまだ挿入されていなかった。尿からでもなく、どこから入ったかは不明だった。

 

 

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ステロイドで血糖上昇

2020年09月29日 | Weblog

 皮膚科医から88歳男性の糖尿病治療で相談された。皮膚に多発性の結節が出現して、4月に生検して皮膚T細胞性リンパ腫と診断されていた。

 5月に大学病院皮膚科に紹介していた。血液内科に相談したが、年齢と抗癌剤治療の副作用を考慮して、本格的な治療は推奨しないということになった。家族も希望しなかった。

 明らかな内臓浸潤は認めず、皮膚の掻痒感はあるが、全身状態は今のところそう悪くない。大学病院からいったん当院皮膚科に転院になったが、本人の希望もあり、早期に退院にしたいそうだ。ただし、血糖コントロールの問題があった。

 

 糖尿病・高血圧症で近くの内科医院に通院していた。糖尿病の処方は、SU薬(グリメピリド1mg/日)・DPP4阻害薬(ジャヌビア5mg/日)・メトグルコ750mg/日・α-GI(ボグリボース0.6mg/日)で標準的なものだった。5月のHbA1cは6.7%で良好だった。(グリメピリドを0.5m/日に減量でもいいくらい)

 7月から緩和的治療として、プレドニン20mg/日が開始された。血糖はみごとに上昇して、9月11日に当院に転院してきた時は、血糖694mg/dl・HbA1c12.2%になっていた。

 診療情報提供書の記載は、「血糖上昇傾向にあり、かかりつけの内科医院でコントロールをお願いしていますが、今後はプレドニン減量の調整が必要になりそうです」という、のんびりしたものだった。

 皮膚科医はとりあえず内服薬はそのままにして、ヒューマリンRのスケール対応としたが、血糖高値が続くので、内科に声をかけたという経緯だった。

 

 プレドニン投与が緩和的治療として効果を発揮したようには見えない。皮膚科医もプレドニンを漸減して、中止も考えているという。(2か月の投与なので、まだ中止できるだろう)

 連休中だったので、ヒューマリンRのスケールはそのままにして、持効型インスリンを少量から追加した。トレシーバ4単位から6単位にして、ヒューマリンR皮下注での補正は1日1回くらいになってきた。

 超速効型インスリン1日3回も追加して、インスリン強化療法にする予定だったが、インスリン漸減もあるので、そのまま持効型少量+スケール補正でいけば、スケール補正も不要になりそうだ。

 患者さん本人は認知症はないが、視力の問題でインスリン量の目盛り合わせは難しく、注射針の装着も難しい。同居の妻は認知症でインスリン注射を頼めない。別居の息子が毎日手伝いに訪問するので、インスリン1日1回打ちならできるらしい。

 皮膚科医がプレドニンが10mg/日からさらに5mg/日に減量してきたので、持効型インスリンも中止できるかもしれない。結果的には、大学病院皮膚科のプレドニン処方は血糖を急激に上昇させて、糖尿病を悪化させただけだった。

 

 糖尿病の患者さんだと、癌の緩和ケアとしてのステロイド投与は、やってみないとわからないが裏目に出ることもある。内科だと、頻回に血糖をチェックしながら診ていくので、ここまで悪化することはまずないが。

 別の病院の皮膚科で、帯状疱疹になった糖尿病の患者さんにプレドニンを投与して、糖尿病性ケトアシドーシスになって当院に入院したこともあった。

 

 

 

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外傷性脳出血?

2020年09月28日 | Weblog

 78歳男性が先週金曜日に自宅の門のところで倒れているのを近所の人が発見した。意識は普段通りで、週末なのでそのまま自宅で様子をみていた。昨夜から嘔吐が続き、午前中に救急搬入された。

 頭部CTで左後頭葉に出血性梗塞様の病変があり、右頭頂葉に線状の出血様の病変を認めた。救急外来の担当だった内科の若い先生が診て、内科再来を診ていた当方に連絡がきた。今から頭部MRIで確認するところだという。

 

 頭部MRI(FLAIR)では両側前頭葉(特に左)にも出血像を認めた。これはむしろ、外傷性脳出血なのだろうか。

 そもそも点滴・頭部打撲による病変なのか、脳内病変発症による転倒なのか確定はできないが。前者だろうか。脳外科と脳神経内科のそろっている地域の基幹病院に搬送してもらうことにした。

 

 この患者さんは、当院の内科・循環器科・呼吸器科の外来に通院していた。高血圧症・高尿酸血症で内科外来に通院していたが、2年前に意識消失発作が続き、心電図で有意な洞性徐脈(と補充収縮)を認めたため、循環器科に紹介した。(洞性徐脈といっても、P波の形が変わる) 

 循環器科では心臓ペースメーカー植え込みにはならず、シロスタゾール内服で経過観察となった。

 その年の末から、発作的な息苦しさと咽喉頭違和感が続き、年末年始に頻回の受診があった。次の年(昨年)の1月5日に内科に入院した。耳鼻咽喉科受診や上部消化管内視鏡検査で異常は認めず、GERDの治療強化でも症状は変わらなかった。症状がある時でも酸素低下や喘鳴はまったくなかった。

 年末から呼吸器科にも受診して、COPDとしてISC/LABAの吸入が始まっていた。発作的な息苦しさなのでICSにしたらしい。

 アルコールが大好きな方で(普通の飲酒家かもうちょっと飲む程度)、調子のいいキャラクターなので(憎めない感じ)、心因性とは判断し難かった。それでも心因性の症状と考えるしかないので、SNRIを開始してみた。しだいに症状は軽快して退院することができた。

 

 今日は新型コロナウイルスのPCR検査を保健所の依頼で4件行った。先週末にCOVID-19が2名発症した店(焼き鳥屋さんらしい)で居合わせたということだった。いずれも無症状。

 

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感染経路

2020年09月27日 | Weblog

 木曜日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者さん2名が入院してきた。孫と祖母だった。父親(50歳代男性)が発症して、PCR検査で陽性となった。

 濃厚接触者として家族がPCR検査を受けて、(男性からみて)17歳の娘と79歳の母親が陽性と判明した。妻は陰性だったが、別居の家族も含めて5人がPCR陽性になったそうだ。家族内クラスターになる。

 ふたりとも無症状ということだったが、女の子の方が37℃台の発熱が生じた。入院時の画像検査では肺炎はなかった。全身状態はいいので、発熱時アセトアミノフェン使用で経過をみることにした。

 祖母の方は、内科クリニックに気管支喘息で通院していて、整形外科クリニックからプレドニン5mg/日の処方を受けていた。整形外科からプレドニン処方というと、関節リウマチくらいしか思い付かないが、本人は違うという(PMRではない)。

 経過をみるうちに、発熱が生じて肺炎を来す可能性があるとかと思ったが、認知力はしっかりしていて元気だった。

 ただアドエア吸入を処方されていたが、吸入手技はまったくできていなかった。(ほとんど薬局でも指導されていないのではないか)ちょうど3日でアドエアが切れる。院内にアドエアはないのでレルベアに切り替えになるが、吸入指導を繰り返して習得させることにした。

 どうせ吸入するならコロナに効果があると言われているシクレソニド(オルベスコ)がいいかとも思ったが、同効薬のICS/LABAにした(院内にはないが、購入可能なのだろうか)。

 

 全国的に、感染経路不明とされている患者さんが増えてきている。これは保健所や県でちょっと訊いて、思い当たることはないと言われてそのままになったということのようだ。

 入院すると7~10日間看護師さんたちがいろいろ話を聞くことになる。すると、感染者が多発した地域にちょっと行っていた、ということが判明する。こっちの看護師さんには言ったが、こっちの看護師さんには言ってないということなので、つい漏らしたということか。

 

 

 

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「もっと ねころんで読めるてんかん診療」

2020年09月26日 | Weblog

 「もっと ねころんで読めるてんかん診療」中里信和著(メディカ出版)が出た。最近使いだしたラコサミド(ビムパット)のことも載っていたので、前著(ねころんで読めるてんかん診療)に続いて購入した。

 現在、肺癌・脳転移の86歳女性にビムパット(50㎎)2錠分2を使用している(小柄で痩せていて体重28kg)。症候性の部分発作(左上肢のけいれん)がイーケプラ使用で治まらなかったところから、ビムパットに変更した。その後、発作はまったく起こっていない。

 神経内科には脳腫瘍(膠芽腫)の15歳男性が入院している。緩和ケア継続のため、大学病院脳神経外科から転院してきた。大学病院でビムパットを処方されていた。転院後にてんかん重積状態となって、当方が土日の日直で出ていた時だったので、いったん大学病院に搬送している。(ビムパット点滴静注を追加して搬送した)

 ビムパット増量ですぐに当院に戻ってきた。現在は内服できないので、点滴静注でビムパット400㎎/日が投与されている。けいれんは治まっているようだ。大学病院緩和ケア科入院もできるが、コロナの影響で家族の面会が規制される。当院入院だと、個室使用であれば家族の面会(長時間病室滞在も)が頻回にできる。

 教科書的には、けいれん時はジアゼパム静注からホストイン点滴静注になっている。神経内科では、ジアゼパム静注からイーケプラ点滴静注にして、治まったらイーケプラ内服にしていた。その後、ビムパットも院内に入れていた。

 まねをして内科でもイーケプラを愛用(頻用)していたが、今後はビムパットも使用することにした。内科で診るのは脳血管障害後遺症による症候性てんかんで、部分発作・複雑部分発作・二次性全般化になる。

 

 この本の記載によれば、

 ラコサミドは、1)発作抑制力が高い、2)重篤な副作用の出現率がきわめて低い、3)臨床的に注意すべきほどの薬物相互作用がない、4)Naチャネルブロッカーで緩徐な神経細胞不活化をきたすので、正常な神経細胞を抑える効果は弱い、5)経口投与でほぼ100%吸収され、投与開始から3日で定常状態に達する、6)静注薬があるので、内服できない場合でも静注薬に置換できる。

 部分発作(二次性全般化発作を含む)への抗てんかん薬は、レベチラセタム(イーケプラ)・ラコサミド(ビムパット)、ラモトリギン(ラミクタール)を第一選択にしている。すべて頭文字が「L」なので、部分発作(二次性全般化発作を含む)への「トリプルL」と呼んでいる。

 

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腸閉塞

2020年09月25日 | Weblog

 こちらも連休最終日に内科の若い先生が日直で診た症例。65歳男性が腹痛・嘔気で救急外来を受診した。2日前から排便がなかった。

 腹部X線(立位)でニボーを認めるが、消化液の充満した腸管で、腹部全体が白っぽく写っている。腹部CTで、腸管の拡張・消化液と便の貯留が著明だった。食道まで拡張している。

 この患者さんは脊髄損傷の後遺症として重度の便秘があり、消化器科の外来に通院していた。8月下旬に麻痺性イレウスとして、地域の基幹病院外科に紹介されていた。イレウスチューブで保存的に治療して、軽快退院したそうだ。

 9月2日には慢性閉塞性肺疾患(COPD)で通院している当院呼吸器科外来(外部医師担当)を受診していて、その時は元気だった。すると外科入院は1週間弱だったのだろう。

 腸閉塞再発として、先方の病院に電話するとすぐに患者さんのことがわかったらしく、受けてくれたそうだ。(当院外科は待機手術だけ少ししているが、緊急手術はできない体制)

 既往にS状結腸捻転のあり、麻痺性イレウスの悪化とはいいきれない。まずは腸管閉塞を来す機序が発生しているかの鑑別になる。麻痺性の悪化と判断されれれば、また保存的に治療して経過をみるのだろうか。頻回に繰り返す時はどう対処するのかと思いながら、画像を見ていた。

 

 

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急性大動脈解離でした

2020年09月24日 | Weblog

 4連休最終日の9月22日は、内科の若い先生が日直をしていた。のどの痛みを訴える80歳女性が救急外来を受診した。受診時にはのどというよりは胸痛だった。

 この患者さんは高血圧症で内科医院に通院していた。昨年夏に発作性の動悸で当院の循環器科に紹介されて、発作性心房細動の診断で抗凝固薬(DOAC)の開始されていた。ふだんの心電図は正常洞調律でST-T変化はなかった。

 その日の心電図はV3-6・Ⅰ・aVL(・Ⅱ)で明らかにST低下を認めた。急性冠症候群(ACS)疑いとして地域の基幹病院に連絡した。当直は循環器科の若い先生で、すぐに受けてくれた。

 連休明けの昨日、連休中に救急外来を受診した患者さんをチェックしていて、この患者さんに気づいた。若い先生に、すばやい対応でよかったね、と話した。aVRでST上昇を認めるので、左冠動脈主幹部病変かもしれないから怖いねえ、とも話した。緊急心臓カテーテル検査になったものと思っていた。

 

 内科再来があったので内科の外来に行ったところ、その患者さんが循環器科外来に紹介されてきていた。前日に基幹病院に搬送されたが、熱中症とされて、帰宅になったそうだ。確かに外で草むしりをしていた時に発症したが、胸痛と心電図変化はどうなるのだろう。

 前日からの胸痛が続いて、かかりつけの内科医院を受診した。そこからの紹介で当院の外来に家族の車で受診したという経緯だった。

 改めて検査すると、心電図は頻脈性心房細動+心室内変行伝導(CLBBBパターン)で異様な像を呈していた。循環器科の若い先生が胸部X線で縦隔拡大に気づき、心エコーで上行大動脈の拡大とflapを認めた。(当院の循環器科は平日時間内のみ対応)

 胸腹部造影CTが行われて、上行大動脈の解離が確定した(大動脈弓までのStnaford A型)。解離は大動脈基部まで及んでいて、冠動脈を巻き込んで心電図変化を来したようだ。

 心臓血管センターのある専門病院に救急搬送となった。バイタルは保っていた。

 

 胸部単純X線で見ても(いずれも立位)、昨年の初診時と比較すると、縦隔の開大がわかる。(まあ、その目で見てしまっているが)

 

 

 

 

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閉鎖孔ヘルニアと大腿外側の痛み

2020年09月23日 | Weblog

 日曜日の日直の時に救急隊から、急に左下肢痛が出現したという89歳女性の搬入依頼があった。

 転倒による大腿骨頸部骨折を考えるが、転倒したわけではないという。急性動脈閉塞かと思って確認してもらったが、左側肺動脈の触知は問題なく、左下肢の冷感はないそうだ。来てもらって直接診るしかなかった。

 搬入された患者さんは、症状を訊くとそれなりに答えてくれた。一人暮らしで家族が訪問して、気づいたいう経緯なので、正確に転倒していないかどうかはわからない。

 ご本人は左股関節から膝上の大腿外側が痛いと表現した。両膝は変形性関節症で屈曲していて、ふだんからある程度痛いそうだが、悪化はしていない。

 その日玄関の戸を開けて網戸だけにしていたが、戸を閉めて部屋に戻ろうとした時から痛みが生じたそうだ。転倒はしていなくても、玄関の段差でも骨にひびが入ったりするだろうか。

 しつこく診察を繰り返したが、大腿骨頸部骨折ではないようだ。まず通常のX線で確認したが、骨折は指摘できない。整形外科医がみれば指摘できることもあるので、まずCT骨条件で確認することにした。

 CT骨条件でも骨盤・大腿骨頸部の骨折はしてきできないかった。その代わりに、左閉鎖孔ヘルニアが描出された。閉鎖孔ヘルニアだと大腿内側の痛みではないのか。確認したが、大腿内側は痛くないという。

 外科日直は当院の外科常勤医だった。エコーガイドで整復しようとしたが、できなかった。手術になるので、地域の基幹病院外科に転倒することになった。

 外科医からは閉鎖孔ヘルニアに痛みだろうと言われた。まあそうなのだろう。教科書的には、大腿内側が痛いと言ってほしかった。

 

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2年前の胆管癌疑い

2020年09月22日 | Weblog

 水曜日は外科医(女性医師)が当直だったが、急性胆管炎の診断で84歳男性を入院させていた。経過が興味深かった。

 脳梗塞後遺症で神経内科の外来に通院していた。定期の血液検査で肝機能障害を認めて、消化器科に紹介された。MRCPで総胆管結石と診断されて、地域の基幹病院消化器内科に紹介となった。

 総胆管結石はあったが、下部胆管に腫瘍が疑われた。細胞診、さらに生検(透視下で施行)まで行ったが、異形細胞の診断にとどまり、癌とは確定できなかった。

 「確定診断をつけるためには、大学病院などへ紹介して、胆管鏡を用いた直視下での生検が必要」と説明された。しかし患者さん本人と家族は、高齢なので(当時82歳)精査・治療は希望しないと返事をしていた。

 胆管癌であった場合は徐々に進行して転移を来すことなどを説明されて、経過観察のため当院消化器科の外来に戻ってきた。

 今回のCT画像でみると、単純だけだが肝内に腫瘤が描出されていた(総胆管にはステント留置、総胆管壁自体は単純ではわかりにくい)。

 肝転移で間違いなければ、下部胆管癌で間違いないことになる。入院後、抗菌薬投与(PIPC/TAZ:ゾシン)が開始されていたが、高熱がまだ出没していた。

 腎機能は造影剤禁忌ではないので、転移と肝膿瘍の鑑別のためにも造影CTがほしいところだ。

 

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水泡性類天疱瘡とDPP4阻害薬

2020年09月21日 | Weblog

 (こちらも木金土と休んで日曜日に日直で来た時に気づいた)

 金曜日に、糖尿病で内科外来に通院している83歳男性が入院していた。退職した内科の若い先生から回ってきて、当方の外来通院になった患者さんだった。興味深い既往歴があった。

 脳梗塞後遺症で神経内科の外来に通院していて、軽度の糖尿病も併せて治療していた。血糖コントロールが悪くなり、CT画像で膵に所見があり、膵癌疑いでがんセンターに紹介になった。

 診断は自己免疫性膵炎で、ステロイド投与で軽快した。外来で診始めた時には、プレドニンは漸減中止されていて、その後慎重に経過を診ていたが、再発再燃はない。

 糖尿病の治療はステロイド投与のころからインスリン強化療法になっている。年齢の割に、きちんと血糖自己測定・インスリン注射を行っていた。

 

 最近皮膚科の外来にも通院していて、四肢にびらん性皮疹が目立ち、病名はどうなるのだろうかと思っていた。今週金曜に水泡性膵天疱瘡の診断で入院になった。

 内科外来の処方にDPP4阻害薬のリナグリプチン(トラゼンタ)が入っている。以前、水泡性類天疱瘡の患者さんで、シタグリプチン(ジャヌビア)を中止したことがあった。今回は当方が不在だったためか、処方中止の指示はなかった。ステロイドも処方されていないので、連休明けに相談することにしたのだろう。

 水泡性類天疱瘡の原因になっている可能性があるので、自主的に?トラゼンタは中止にした。ステロイド投与も、インスリンの増量で対応できるので、連休明けに皮膚科医に相談されたら、必要な量を使っていただく。

 

 

 

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