なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

健側のしびれ

2024年12月19日 | 整形外科疾患

 12月10日(火)に地域の基幹病院脳神経内科から脳梗塞の70歳代後半の男性がリハビリ転院してきた。左放線冠の脳梗塞で右半身はほぼ完全麻痺だった。

 麻痺の程度からは歩行は不可能で、リハビリとしては介助で車椅子移乗程度になる。構語障害・嚥下障害があり、食事摂取ができなくはないが、進まなかった。

 12月16日(月)の朝に右上肢のしびれと脱力を訴えた。頭部MRIを行ったが、対側に新規の脳梗塞はなかった。翌日は左肩関節周囲炎の症状を訴えた。脱力自体は疼痛で力が入らないようだ。

 頸椎MRIで確認すると、C5/6~C6/7レベルに前縦靭帯骨化症と考えられる低信号構造があり、頚髄を右前方から圧迫していた。濃厚梗塞による右半身麻痺があるので、頚髄由来の症状はわからないかったようだ。

 健側の症状はBrown-Sequard症候群に相当するようだ。翌日整形外科で診てもらったが、しびれは軽減していた。脱力が左肩痛で評価し難いので、肩の治療(ステロイド局注)が行われた。

 症状の進行といっても右半身麻痺なので、左側のしびれの程度で判断するしかない。あるいは頚椎MRI再検になる。

 脳神経内科の診療情報提供書にはっきりとは記載されていないが、放線冠の脳梗塞ではあるが、もう少し動いてもいいのにという感じがみてとれる。脳梗塞の症状に頚髄圧迫の症状も加わっていたのだろう。

 

 

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偽痛風~頚椎、膝関節

2024年12月06日 | 整形外科疾患

 11月12日に記載したうっ血性心不全の80歳代後半の男性は、慢性心不全の治療薬を調整して軽快した。

 血圧が低めでそれぞれの薬を少量ずつ組み合わせての処方になった。最終的には、エンレスト100mg分2・ミネブロ1.25mg分1・アゾセミド15mg分1を処方している。

 

 入院後に偽痛風と思われる関節炎の症状が発症した。2日前くらいから後頚部痛があり、11月15日には首が回らなくなった。意識は清明で関節炎の症状だった。頸椎CTで軸椎(第2頚椎)の歯突起周囲に石灰化を認める。頸椎偽痛風だった。セレコキシブ100mg2錠分2を10日間投与して、症状は軽快した。

 12月3日には右膝関節痛と右足関節痛があった。左右比べると微差だが右側には熱感もあった。膝関節X線で右膝関節内に石灰化を認める。左膝関節ではあまり目立たない。膝関節偽痛風(足関節も)として、またNSAIDs(セレコキシブ)内服を開始して、すぐに症状は軽快した。

 肺炎や尿路感染症で入院した高齢者で、偽痛風による関節炎が併発する。この方の場合は利尿薬の使用が引き金になったのかもしれない。

 

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踵骨骨折

2024年11月27日 | 整形外科疾患

 11月25日(月)の内科再来に90歳女性が受診した。定期の予約日だが、その日は異常があった。前日に洗濯物を干そうとして、段差のあるところで転倒した。左足首をひねったようになったそうだ。

 その後から左足関節から足の外側にかけて腫脹と皮下出血が出てきた。ふだんは腰曲がり(亀背)はあるが、普通に歩いている。転倒後は痛くて這って動いていた。

 翌日に外来予約があるので、その日は受診しなかったという。ただ日曜日に救急外来を受診しても、X線検査と鎮痛薬の処方で月曜日に整形外科受診となる。

 整形外科外来担当の外来看護師に連絡すると、X線撮影を入れてから回してくださいという。再来予約の診察が終わって、新患を診始めたところだった。足関節~足指のX線をオーダーして紹介状を記載した。

 整形外科医から、左踵骨骨折で手術することになったと伝えられた。X線でもわかるようだが、CTで確認していた。

 翌日に無事手術が行われた。1週間寝込むと、短期間のリハビリは要する。

 

 この患者さんは高血圧症などで診ている。今年の7月に両下腿から足の浮腫が生じてきた。心臓自体の問題はあまりなさそうだが、現役の喫煙者だった。今でも1日5~6本は吸っている。やめる気はなく、家族も今更やめさせなくてもということだった。

 COPDからの右心不全なのだろうか。降圧薬のARBをARNIに変更して、アゾセミド少量入れると浮腫は軽減している。

 昔から胃薬のマーズレンが処方されていて、そのまま継続していた。院内にはないので、レバミピド(ムコスタ)にしたが、「青い粉が入ってなかった」といわれた。錠剤は何が何の薬かわかっていないと思うが。

 

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頚椎腫瘍

2024年11月24日 | 整形外科疾患

 整形外科の先生が医局のパソコン画像で頚椎のMRI像を出していた。第7頚椎がつぶれていて、周囲にはみ出して見えた。患者さんは40歳代始めの女性で、整形外科クリニックからの紹介だった。

 5月から左鎖骨部の痛みで通院していた。そのクリニックはMRIがあることを「売り」にしている。おそらくMRIを撮像したはずだ。当初の所見はどうだったのだろうか。

 NSAIDsや神経障害性疼痛の処方(ミロガバリン)で治療をしていたが、左上肢と肩甲骨部にも疼痛が伸展したために、紹介となっていた。

 整形外科医はまず単純MRIを行っていた。第7頚椎に腫瘤と溶骨性変化を認めた。さらに造影MRIを行っていた。第7頚椎の骨腫瘍で、放射線科の読影レポートでは「動脈瘤性骨嚢腫疑い」となっていた。

 

 腫瘍は扱えないので、大学病院整形外科に紹介となった。放射線科の読影レポートは「肺、乳腺には明らかな腫瘍は見られません」とあって親切なのだった(骨転移する原発巣の有無への言及)。

 

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踵骨骨折

2024年10月12日 | 整形外科疾患

 10月9日(水)の午後は救急当番をしていた。ふだんは大学病院から来ている外科医が担当するが、その日は学会か何かで不在だった。

 救急隊から搬入依頼が入った。50歳代後半の男性が机に上がって作業をしていて、バランスを崩して転落した。左足を打撲して痛がっているという。見た目は腫脹がなく、骨折があるかどうかは判断できなかった。

 整形外科医は手術が3件あり、手術室に入って夕方まで出てこない。検査をして、手術の合間にX線を診てもらうか、夕方まで待つようになる。その旨を患者さんに伝えてもらった。

 

 搬入された患者さんは左足以外の症状はなかった。開放骨折ではなく、見た目は腫脹がなさそうに見える。X線で確認しないと判断がつかないが、痛みの程度からはありそうだ。

 通常のX線で見ても左踵骨の骨折がわかったが、CT骨条件で確認した。一か所の骨折ではなく、踵骨が砕けている。他に下腿骨・足根骨に骨折はないようだ。

 手術の合間に手術室の画面で確認してもらって入院になった。夕方整形外科医に会った時に、ここでは難しいので地域の基幹病院に紹介することになるといわれた。翌々日の11日(金)に基幹病院整形外科に転院となった。(左足を付かなければ動くことはできる。自宅の車で向かった。)

 机は1m20㎝くらいらしい。机の上に上がってする作業はふだんもしているのか、たまたまなのかは訊かなかった。術後のリハビリも含めると結構かかるかもしれない。

 

 先方の病院派生形外科医は6名いるが、半分は若い先生方だそうだ。今年度はメンバーが大幅に入れ替わった。開業で2名辞めていて、整形外科は開業しやすい診療科だった。

 もう1名は仕事に疲れたので、一旦仕事を離れることにしたそうだ。世界中を旅行して、好きなスキューバダイビングをするのだという。(さすがに独身)お金がなくなったら、また仕事に戻るのだろう。(当院の整形外科医に聞いた話)

 

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大腿骨骨幹部骨折

2024年07月29日 | 整形外科疾患

 7月26日(金)は当直だった。翌27日(土)の早朝に転倒して右大腿痛がある87歳男性が救急搬入された。

 当院の整形外科に通院していて、9月4日に左膝関節の人工関節置換術を受ける予定だった。

 その日は午前6時ごろにトイレに行こうとしてベットから起きて、杖を持って立ち上がった。バランスを崩して倒れた時に、ベットの角に右大腿を打撲した。意識消失はなく、状況を説明できた。 

 救急隊からの連絡を受けた時は、大腿骨近位部骨折かと思われたが、右大腿部はそれよりも下で腫脹していた。X線で確認すると、右大腿骨の骨幹部骨折だった。

 整形外科医に電話すると、開放骨折でないことを確認して、そのまま入院させるよう指示された。早ければ週明け火曜日には手術を予定することになった。

 もともとロキソプロフェン内服が整形外科外来から処方されている。疼痛の指示などは整形外科の必要時指示項目に入っているので、それを入力しておいた。

 搬入時はよく通る声ではきはきと答えていた。入院後は、夜間せん妄になって向精神薬の投与を要するようになっていたが。

 

 昨年度から整形外科が再開されて、骨折の入院を受けるようになった。四肢の骨折もあるが、脊椎がメインになっている。保存的治療の胸腰椎圧迫骨折も入院するので、整形外科はかなりの需要がある。

 脊椎疾患の評価にはMRIを要する。脊椎MRIを見る機会が大分増えた。

 

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また脊椎圧迫骨折

2024年07月21日 | 整形外科疾患

 内科外来に通院している79歳女性が、5月8日胸腰椎圧迫骨折で整形外科に入院した。内科外来には高血圧症・糖尿病・高脂血症で通院している。

 別の病院に長年通院していたが、2023年に担当医が不在(癌で入院して亡くなられた)となり、夫が通院している当院に通院するようになった。(夫は当院泌尿器科にも通院しているので、高血圧症も当院内科外来に通院)

 自宅で転倒して、胸腰椎に3か所(Th11・12、L4)の骨折だった。骨粗鬆症の治療はしていなかった。

 2か月間入院して、コルセット作成などして退院予定となった。ところが退院前日の7月12日にも病棟で転倒していた。それほど痛みが強くないと判断されたため、7月13日(土)に予定通り退院となった。

 ところが自宅に戻ると腰痛がひどくなり、体動が困難となった。3連休最後の7月15日に救急外来を受診した。日直は内科医だったので、鎮痛薬の点滴(アセリオ1000mg)を行って、翌日整形外科外来を受診とした。

 7月16日に整形外科外来で胸腰椎のMRIを行うと、新規の腰椎圧迫骨折(L1)があった。再入院となった。

 診療日ではない土曜日に退院予定になっていたのが、影響した。慎重に対応するとすれば、退院延期とすればよかったということになる。

 退院日に痛くて動けないということなら、当然延期になったはず。本人も2か月ぶりで自宅に戻れることもあり、痛みがひどいといわなかったか。

 家族から前日に転倒しているのは聞いていないという話が出たりして、もめたらしい。

 

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化膿性脊椎炎

2024年06月15日 | 整形外科疾患

 5月27日に記載した88歳女性のその後。これまでの経過は、著しい低ナトリウム血症で大学病院に紹介→当院に戻ってから深部静脈血栓症→出血性十二指腸潰瘍・貧血という経過だった。

 5月21日にCVカテーテル(PICC)が挿入されて、高カロリー輸液が開始された。その後、微熱と腰痛が出現した。5月31日に腰椎のCTが施行されて、L1/2の溶骨性変化から化膿性脊椎炎が否定されずという読影レポートが出た(遠隔診断)。

 腰椎MRIが行われて、腰椎(L1/2)に化膿性脊椎炎(椎体炎+椎間板炎)の所見を認めた。血液培養2セットが提出されたが、なんと整形外科医が腰椎の穿刺培養も提出してくれた。

 抗菌薬はセフトリアキソンが開始されていた。その後、血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出された。菌名はまだ判明していない。

 心エコーは経胸壁だが、明らかな疣贅は認めなかった。

 

 プラチナマニュアルによれば、化膿性脊椎炎では「安易な経験的治療は避け、まずは血液培養を行う」「血液培養が陰性なら、可能な限り穿刺組織培養採取を行う」とある。

 「経験的治療を行うならば、CEZ2gを8時間ごとで開始する」、「敗血症で血行動態バイタルが悪い、神経的な合併症(脊髄圧迫症状)が出現し、進行しているなど非常に重篤ならばVCM1g12時間ごと+CFPM2g8時間ごとあるいはPIPC/TAZ4.5g6時間ごとを開始することもある」。

 血液培養でグラム陽性球菌が検出された場合、バイタルが不安定で緊急を要すればグラム陽性球菌(フル)カバーのVCMを使用するが、安定していれば当初の抗菌薬で結果を待ってもいいのかもしれない。

 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)を予想していたが、Staphylococcus epidermidis(MRCNS)だった。

 

 

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腰椎圧迫骨折

2024年05月29日 | 整形外科疾患

 5月27日(月)、整形外科に2名の入院があった。ひとりは施設入所中の84歳女性で左大腿骨転子部骨折だった。右大腿骨転子部骨折の手術歴があり、こちらは通常の?入院だった。

 もうひとりは78歳女性で腰椎圧迫骨折だが、問題があった。4月から腰痛で歩行できなくなった。特に転倒・打撲がきっかけではないらしい。当初は自宅内で這って動いていたが、しだいに動けなくなった。

 先週末の金曜日に地域の基幹病院を受診して、救急科で対応していた。画像では4箇所の腰椎圧迫骨折があり、少しずつ増加していたと思われた。

 家族の話ではアルコール依存ということだったが、肝機能検査からみると最近は飲めなくなっているようだ。2か月近く入浴もできず、家族は夫と息子なので排泄の始末ができず、相当な不衛生状態が続いていた。

 基幹病院としては入院の適応なしと判断されて帰宅となったが、動けないことに加えて食事摂取も難しくなっていた。26日日曜日の深夜に家族が当院に連絡してきた。看護師が受けて、月曜日の朝に地域医療連携室から連絡を入れることになった。

 基幹病院から診療情報提供書をFAXで送ってもらい、当院への紹介という形にした。疾患としては腰椎圧迫骨折なので整形外科が担当にはなるが、サルコペニア状態に関しては内科が入ることになる。

 治療というよりは介護・看護の問題が大きい。どこまで改善できるかわからないが、まずシャワーからスタートという当院向きの患者さんではあり、できるだけ手をかけてやってみることになった(福祉サービスの手続きも始める)。

 

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胸椎圧迫骨折

2024年05月08日 | 整形外科疾患

 5月6日(月、振替休日)の日直が始まるとすぐに、救急要請が入った。81歳女性が自宅で転倒して背部痛で動けないという。圧迫骨折だろうと思われた。その日の当直は整形外科医だった。

 当院の整形外科に腰部脊柱管狭窄症などで通院している。4月11日に腰痛で受診して、第1腰椎の圧迫骨折を指摘されている。腰椎X線で十分に診断できるためか、MRIまでは行われていない。入院にはなっていなかった。

 その時に作成したコルセットを装着していた。前回の部位より頭側に疼痛・圧痛がある。胸腰椎X線でははっきりしなかった。

 腰椎MRIだと胸椎はどこまで入るか技師さんに訊いてきた。第10胸椎くらいまでですかね、ということだった。脊椎はどこまでの範囲で撮像できるか訊くと、全脊椎でもできるが精度の問題があるという。

 胸椎・腰椎MRIで行ったもらった。腰椎MRIではぎりぎり入る、第9胸椎の圧迫骨折だった。

 実は腰椎MRIが終わって、胸椎MRIを撮像しようとしたところで、硬い台の上だと痛みがひどく、嘔気も出てきたという。搬入直前に自宅で外来処方のカロナールを内服していたが、足りなかったようだ。やむなくいったん休止して、救急室に戻った。

 アセトアミノフェン注(アセリオ1000mg)とプリンぺラン注を行って、落ち着いたところでMRI再開となったのだった。画像の記録としては、腰椎胸椎MRIが問題なく施行されたようになっているが。

 入院にして、夕方やってきた当直の整形外科医に申し送った。真っ先に「認知症は?」、と訊かれた、認知症はまったくない方ので助かる。

 

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