今日はCareNeTVを見ていた。先週末からプレドニン15mg/日で治療を開始したPMRの患者さん(70歳代後半の女性)は症状改善して、歩行可能になっている。金城光代先生は誠実な話ぶりだが、冗談は言わない。
リウマチ膠原病セニナー 第29回
「リウマチ性多発筋痛症」
沖縄県立中部病院内科 金城光代先生
PMRの診断
2段階で行う
1)初めの評価
典型的はな診療所見があるか
2)その後の評価
ステロイドへの反応性はどうか
当てはまらないときは、鑑別疾患を見逃していないか、もう一度考え直す
臨床症状
・年齢 50歳以上
・発症は急性・亜急性
・体幹から近位筋の痛み・こわばり
肩
頸。股関節
片側から発症し、数日で両側の 痛みとなる
・朝のこわばり 45分以上
・全身症状
倦怠感、体重減少、微熱、うつ 症状
・関節可動域制限
(首、肩、股関節)
関節周囲炎
滑液包炎や腱鞘炎
・RS3PE
Remitting Seronegative
Symmetrical Synovitis with
Pitting Edema
手背の圧痕性浮腫
指伸筋腱鞘炎
・末梢性関節炎(膝、手首)
超音波、MRI
両側の肩の滑液包炎
PMRの診断の感度・特異度90%以上
検査所見
・血沈40mm/時以上またはCRP上昇(7-20%は正常)
・anemia of chronic desease 50%
・肝機能障害(特にALP上昇)30%
・白血球数 増加や左方移動は通常認めない
・血小板増加
治療
プレドニゾロン10-20mg/日で開始
数日以内に症状の改善を認める
PMR新分類基準
50歳以上、両側肩の痛み、血沈またはCRPの上昇がある患者
超音波なし
・朝のこわばり45分以上 2点
・股関節痛または可動域制限 1点
・RFまたは抗CCP抗体正常 2点
・他の関節痛なし 1点
4点以上でPMR
感度72%、特異度65%
超音波あり
超音波なしの点数に加えて
片側の滑液包炎があれば1点
両側の滑液包炎があればさらに1点 5点以上でPMR
感度71%、特異度70%
PMRとの鑑別
高齢発症の関節リウマチ
(Late onset RA)
・高齢発症RA
首から肩にかけてのこわばり、手足のむくみで発症する(PMR like)
一般のRAの4倍
・PMR
25%で末梢関節炎あり
(RA like)
PMRと診断された症例の約20%がその後1年間でRAと診断される
(鑑別法)
診断時:RAはステロイド反応性は緩徐
フォロー時:PMRに伴う関節炎はDMARDなし(ステロイドのみ)でコントロール可能
骨びらんをRAの一部で認める
PMR Management Guideline
1.PMRの診断はstepwiseに行う
(inclusion&exclusion criteria)
Inclusion criteria
1)年齢50歳以上
2)有症期間2週間以上
3)両側肩かつ/または骨盤領域の痛み
4)朝のこわばり45分以上
5)血沈またはCRP上昇
Exclusion criteria
悪性腫瘍
感染症
炎症性疾患
甲状腺疾患
肩や股関節の局所疾患
スタチン内服
パーキンソン病
2。ステロイド治療開始前にチェック必要な項目
血算、肝機能検査、BUN/血清クレアチニン、RF/抗CCP抗体、血沈
CPK、甲状腺機能検査
(必要があれば胸部X線、抗核抗体)
3.少量ステロイド(プレドニン15mg/日)を開始し、1週間後に反応をみて、PMRの診断を再評価する
患者global response
70%以上改善 PMRらしい
50~70%改善 プレドニン20mg/日への増量
50%以下 診断が正しいか再考
PMRの治療
(ステロイド漸減法)
Recommendation
典型的なPMRでは少量ステロイドから開始し、ゆっくり漸減する
・プレドニゾロン15mg/日を3~4週間
・12.5mg/日で3~4週間
・10mg/日で4~6週間
・1mgずつ4~8週ごとに漸減
(フォローのタイミングとチェック項目)
Recommendation
治療反応誠意と疾患活動性のモニターを行う
フォロー毎に確認すること
近位筋の痛み、朝のこわばり、倦怠感、血算、CRP/血沈、BUN/血清クレアチニン、電解質、血糖
PMRのステロイド中止率・再燃率
・ステロイド中止率
2年後で50%、3年後で70%、11年後で90%
・PMR再燃率
急激な減量で再発率上昇
初めの1年で1/3が再発
女性の方が再発率、ステロイド累積使用量、ステロイド合併症が多い
Recommendation
PMR症状が再燃したら(炎症反応の上昇だけでなく)
・巨細胞動脈炎の発症があれば、その治療をする
・前回のステロイドに戻す
(初期量まで戻さなくてよい)
・2回以上PMRの再燃を認めたらDMARDの使用を考慮する
ステロイド漸減とMTXの併用
1.MTX併用すべきは
1)プレドニゾロン7.5mg/日以上で再燃する場合
2)再燃を2回以上繰り返す場合
3)ステロイドの副作用が重篤になりえる場合
MTX10mg/週以上を用いる
2.MTXをやめるのは。
ステロイドoffの6~12か月後
PMRにおけるTNF製剤
1.Infliximab(IFX)
(プレドニゾロン15mg+IFX)
ステロイド使用量・再燃率の差なし
2.Etanercept(プレドニゾロン、NSAIDなし)
14日後、PMR疾患活動性はコントロール群と差なし
PMRにおけるNSAID
1.ステロイド+NSAIDはステロイド単独に比べ
1)ステロイド累積使用量は変わらない
2)副作用は多い
2.NSAID単独治療で緩解になることあり
症例
PMRの治療で改善しない
両側鎖骨下動脈の狭窄
プレドニゾロンをGCAの治療量にして改善
PMR+Extracranial GCA
Steroid refractory PMRで何を考える?
1.悪性腫瘍によるPMR symptom
(paraneoplastic)
2.Giant cell arteritis
Extracranial GCA