先週の土曜日の早朝に吐血・意識障害で救急搬入された90歳女性は、幸い症状軽快した。月曜日には意識が回復して会話もできた。90歳という年齢を考慮するとしっかりしている(明らかな認知症はない)。極端に低血圧になったわけではないが、脳循環が一時的に低下したための意識障害(昏睡だった)と思われた。
入院後、吐血はなかったが、搬入時からの肉眼的血尿が続いた。点滴で薄まることもあり、貧血の程度が進行した。Hbが10から8台になり、7台まで下がった。上部錠日間内視鏡検査では胃内に出血はなかった。萎縮した粘膜にくし状発赤・びらんがあったが、潰瘍や癌はなかった。食道末端の粘膜の白濁はあるが、食道炎~食道潰瘍もなかった。検査中、嘔吐反射で胃体上部後壁に粘膜の浅い亀裂ができてしまった。しばらく観察したが、止血したのでアルサルミン・トロンビンを散布した。余計な検査をしてしまったのかもしれない。
入院時から38℃の発熱があり、炎症反応の上昇もあった。肺炎はなく尿路感染症と判断された。尿培養でCitrobacterが検出された。セフトリアキソン投与で解熱して検査値も改善した。やっと肉眼的血尿が改善してきた。膀胱に何かあるのかもしれないが、尿カテーテル自体が粘膜を傷つけているような気もする。心房細動でワーファリンが投与されていた方で、入院後は中止していたが、効果が切れてきたので出血が改善してきた可能性がある。
施設内でも食事は全粥超刻み食と記載があって、要するにミキサー食のようだ。ゼリー食で嚥下できることを確認して、全粥ミキサー食にを出した。輸血を2単位を行うと、、今日はHb9だった。入れた分しっかり上昇している。
たぶんだが、尿路感染症(急性腎盂腎炎)が発症して、発熱・嘔吐した。ワーファリンの影響もあり、出血性胃炎からの出血量が多かった。脳循環が悪くなって一時的に意識障害(昏睡)をきたしたという経過を考えてみた。
ちゃんと会話できるし、病状を説明すると「ありがとう」と答えてくれる。90歳として立派なものだ。