なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

臨床微生物学会

2015年01月31日 | Weblog

 臨床微生物学会に来ている(京王プラザホテル)。ICD講習会に出るのが目的だ。6月の化学療法学会の講習会にも出てICDの申請をする予定。
今日は山本剛先生のグラム染色の話と佐々木結花先生の抗酸菌の迅速検査の話が面白かった。複十字病院では外来を受診した結核疑いの患者さんが喀痰を採取のために陰圧室を2室もうけてあるそうだ。まあ、結核専門病院だからできるのかもしれない。当院では結核疑いの患者さんの喀痰検査を普通に外来処置室で行っていた。結核は空気感染だから早急に改善しなければならないが、具体的にはどうしたらいいのだろう。他の病院はどうしているのだろうか。

 明日はICD講習会に出ればいいが、講演で聴きたいものはあまりない。持ってきた「ユキティーのER画像Teaching File」を読んで過ごすことにしよう(通読3回目)。

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弱い粘膜?

2015年01月30日 | Weblog

 先週の土曜日の早朝に吐血・意識障害で救急搬入された90歳女性は、幸い症状軽快した。月曜日には意識が回復して会話もできた。90歳という年齢を考慮するとしっかりしている(明らかな認知症はない)。極端に低血圧になったわけではないが、脳循環が一時的に低下したための意識障害(昏睡だった)と思われた。

 入院後、吐血はなかったが、搬入時からの肉眼的血尿が続いた。点滴で薄まることもあり、貧血の程度が進行した。Hbが10から8台になり、7台まで下がった。上部錠日間内視鏡検査では胃内に出血はなかった。萎縮した粘膜にくし状発赤・びらんがあったが、潰瘍や癌はなかった。食道末端の粘膜の白濁はあるが、食道炎~食道潰瘍もなかった。検査中、嘔吐反射で胃体上部後壁に粘膜の浅い亀裂ができてしまった。しばらく観察したが、止血したのでアルサルミン・トロンビンを散布した。余計な検査をしてしまったのかもしれない。

 入院時から38℃の発熱があり、炎症反応の上昇もあった。肺炎はなく尿路感染症と判断された。尿培養でCitrobacterが検出された。セフトリアキソン投与で解熱して検査値も改善した。やっと肉眼的血尿が改善してきた。膀胱に何かあるのかもしれないが、尿カテーテル自体が粘膜を傷つけているような気もする。心房細動でワーファリンが投与されていた方で、入院後は中止していたが、効果が切れてきたので出血が改善してきた可能性がある。

 施設内でも食事は全粥超刻み食と記載があって、要するにミキサー食のようだ。ゼリー食で嚥下できることを確認して、全粥ミキサー食にを出した。輸血を2単位を行うと、、今日はHb9だった。入れた分しっかり上昇している。

 たぶんだが、尿路感染症(急性腎盂腎炎)が発症して、発熱・嘔吐した。ワーファリンの影響もあり、出血性胃炎からの出血量が多かった。脳循環が悪くなって一時的に意識障害(昏睡)をきたしたという経過を考えてみた。

 ちゃんと会話できるし、病状を説明すると「ありがとう」と答えてくれる。90歳として立派なものだ。

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トーアエイヨーは東亜栄養

2015年01月29日 | Weblog

 93歳女性が両側大腿骨頸部骨折で整形外科に入院した。昨年、肺炎で入院して退院予定日に脳梗塞(分水嶺梗塞、症状は軽度の構語障害)になった。脳梗塞の急性期の治療をして、2週間後に退院した。退院して数か月後に心不全で入院して、それも回復して退院した。両側同時の大腿骨頸部骨折は初めて見たと若い整形外科医が言っていた。どんな転倒の仕方をしたのかと。

 高齢だが、年齢の割にしっかりしているので、手術する予定だったが、ご本人は拒否した。麻酔科医と整形外科医が何度も勧めたが、頑として受け入れず、そのまま退院して施設に戻ることになった。オムツ交換にも痛みがひどいのではないかと思われた。それまでは自力歩行していたはずだが、寝たきりになると誤嚥性肺炎が危惧されると整形外科医が言っていた。昨年内科に入院した時は自宅に独身の息子(それなりに高齢)と二人暮らしで、食事も作っていりと自慢していた(自己申告だが)。

 整形の先生に今入院してますと言われても、最初は似たような名前の患者さんが何人かいるのでしばらく思い出せなかったが、入院サマリーを見てすっかり思い出した。次回入院は肺炎で内科だろうか。

 今日の製薬メーカーの説明会はトーアエイヨーだった。循環器科で使う薬剤を主に販売している。今日は、ビソノテープとピモベンダン(0.625mg錠)の説明だった。トーアエイヨーとカタカナ表記になっているが、要は東亜栄養で元々は栄養剤のメーカーだったそうだ。

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内頸静脈穿刺

2015年01月28日 | Weblog

 今日は大学病院で研修医向けのエコーガイドの内頸静脈穿刺のセミナーがあったので行ってみた。当院ではエコーで位置決めをすることはあるが、エコーガイドの穿刺はやっていない。自分の世代は鎖骨下静脈穿刺をもっぱら行ってきたが、今は気胸などの合併症をきたすリスクがあり、避けるようになっているそうだ。

 内頸静脈穿刺はランドマーク法でもやったことはない。1cmくらいの穿刺なので安全だと若い循環器科医に言われるが、施行していなかった。エコーガイドではしないかもしれないが、事前のエコーで位置決めをして手技に慣れた若い先生に指導してもらって行ってみよう。エコーガイドの方が好ましいし、エコーにかぶせる器具を購入すればできるので、他の先生方に相談して検討しよう。大腿静脈穿刺でも今はエコーガイドで行う時代だ。

 研修医に混じって受講するのも恥ずかしいものだ。それにしてシミュレーション訓練ができる今時の研修医は幸せだと思う。

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好酸球性肺炎か

2015年01月27日 | Weblog

 先週の金曜日の夜に60歳代男性が発熱・咳・痰の症状で受診した。当直医の外科医が自分が主治医となって入院させていた。この先生は当直の時に診た軽度の肺炎は自分でそのまま診てくれる。ただしこの患者さんは簡単ではなかった。約3週間前から内科クリニックに通院していて、クラビットやクラリスなどの抗菌薬をいろいろと使用されていて、それでも肺炎が治らなかった。内科当番だったので病院内にいたが、この患者さんの入院は翌朝に知った。セフトリアキソンで治療開始されていて、酸素吸入の必要がない病状だったので、月曜日の検査結果をみて今後のことを決めることにした。

 結核が気になるが、少なくとも一目で結核という像ではない。右上肺野の胸膜側に浸潤影が散布していた。左肺にも同様の陰影が少しある。腫瘤はなく、空洞もない。入院時の白血球分画で好酸球が20%で、月曜日には40%になっていた。肝機能障害も軽度にあるが、薬剤性というよりは肺炎自体が好酸球性と思われた。今日専門病院の呼吸器科医が外来診察に来るので、相談してもらった。

 あとで別の患者さんのことで(背部膿瘍で切開した糖尿病の患者さん)外科病棟に行くと、その外科の先生がいた。専門病院に明日転院して気管支鏡検査の予定となったそうだ。肺炎が入院しているのに、そのまま任せた私もちょっとするいが、多分専門病院に転院だろうと思ったので、内科転科にしなかった。好酸球性肺炎はプレドニンに良く反応するらしいが、再発の問題があるので、専門の施設で経過をみてもらうほうがいい。

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腎梗塞

2015年01月26日 | Weblog

 67歳男性が午前1時ごろから左側腹部通が続いて、内科新患を受診した。担当は大学からの応援医師だった。血液・尿検査でまったく異常がなかった。便秘でしょうということで、ガスモチン・マグラックスが処方された。帰宅したが、午後になって痛みが強くなって夕方また受診した。外来の看護師さんから連絡が来て診にいった。

 発症は突然らしい。部位からいうと尿管結石かと思われたが、結石では痛みがこんなに持続しない。午前中の腹部単純X線ではわからないので、腹部CTを行った(時間があれば腹部エコーから始めるが、午後4時半だったので)。腎尿管結石はなかった。他にも異常は認められない。念のため行った直腸指診は異常なし。血便はなくて虚血性腸炎ではなかった。

 遠方の病院の循環器科に心臓ペースメーカー植え込み術後で通院している(薬の説明書あり)。また当地の基幹病院呼吸器科に気管支喘息で通院して、吸入薬をもらっている(シムビコート)。心電図ではペースメーカーリズムで規則的に拍動している。もともと除脈頻脈症候群で発作性心房細動があるのかとも思ったが、完全房室ブロックでのペースメーカー植え込みだった。CTで見ると、年齢の割に大動脈の石灰化が目立ち、左腎動脈の枝もけっこう石灰化がある。あとは腎梗塞しかない。心臓カテーテル検査の時に造影剤を使って、何ともなかったというので慎重に造影検査もすることにした。

 左腎臓の一部が造影されず、腎梗塞だった。循環器科からバイアスピリンが処方されている。動脈硬化による病変とすれば、それ以上の処方もない。入院して鎮痛剤で1週間経過をみることにした。

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糖質制限のコミック

2015年01月25日 | Weblog

 ツタヤで糖質制限のマンガを見つけたので買ってみた。「マンガ炭水化物が人類を滅ぼす 最終ダイエット糖質制限が女性を救う」で夏井睦先生が監修している。糖質制限をざっと理解するのにいい。ダイエットをしたい若い女性向けなので、中高年の糖尿病患者さんには読みにくいかもしれない。

 どうも糖質制限は正しいらしい。単純にα-GIなんて糖質制限すれば不要な薬だし、最新のSGLT2阻害薬も不要になってしまう。ただし極端なスーパー糖質制限は難しいと思う。一食分ずつ糖質制限を進めていくことになっているが、三食とも糖質の度合いを減らす方が受け入れやすい気がする。

 コースの和食で最後にごはん・漬物・味噌汁が出るが、その前でやめれば立派な糖質制限食だ。居酒屋メニュー+焼酎も立派な糖質制限食になる。ホテルの朝食バイキングでオムレツ・ベーコンにサラダを付けてパンをなしにするか小さなパン1個でもいいなら簡単だ。ベーコンやソーセージを多めに食べる方が嬉しいし。

 アメリカ糖尿病学会が食事療法についてのお手本を示さなくなっている。追いつめられた感がある日本糖尿病学会がどういう対応をするか興味深いと、江部先生のブログに書いてあった。今までの食事療法の指導が、ただ日本人の平均的な食事バランスに全体のカロリーを減らしただけの、何の根拠もないものだったそうだ。

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当直帯の入院

2015年01月24日 | Weblog

 昨夜は外科医が当直で、内科当番だったので病院に泊まっていた。さっそく、午後9時に87歳男性が肺炎で入院した。肺気腫があり、原因不明の顆粒球減少があった。妻と嫁が熱心に通院させて、何とか数カ月入院しないでいた。これで5回目の入院になる。

 早朝に発熱・嘔吐・腹痛・下痢(水様便)で85歳男性が入院した。糖尿病でインスリン治療をしていて、内科の若い先生が外来で診ている。入院後に病室に診に行くと、点滴が開始されていたので案外元気だった。

 午前8時に90歳女性が昏睡で救急搬入された。施設に入所していて、脳梗塞(中大脳総脈領域)の既往がある。救急隊からの連絡で、吐血という話だったが、昏睡の方が問題だった。朝に介護士が見つけて救急要請していた。頭部CT。MRIで新たな脳梗塞は確定できなかった。Hbが10で昏睡になることはない。炎症反応上昇があり、尿路感染症があるが、敗血症性ショックではなかった。慢性心房細動がある。脳梗塞再発疑いとして、点滴・オメプラール注・抗菌薬投与で経過をみることにした。

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胃瘻造設後の経口摂取

2015年01月23日 | Weblog

 今入院している53歳男性は大学病院で筋強直性ジストロフィーと診断されている。大学病院に入院している時に嚥下障害で内視鏡的胃瘻造設(PEG)が行われた。全部経管栄養だった時期もあるが、そのうちに自宅で経口摂取を進めていた。当院の神経内科外来に通院しているが、経口摂取と経管栄養の併用になっている。話をしているとすぐに痰が絡んでせき込む。

 今回は誤嚥性肺炎と思われる両側肺炎で入院した。心房細動・心不全もあるので、心不全の悪化も考慮したが、それはなかった。抗菌薬投与で順調に軽快してきたが、下痢が目立つようになり、1週間弱で中止した(中止後は軽快)。入院中は経管栄養で経過をみることにして、退院後は楽しみ程度の経口摂取ということにした。肺炎で寝込んで動きが悪くなったので、もう1週間(計2週間)リハビリしてから退院してもらう。見守りで歩行器を使用して何とか歩行できた(転倒が心配)。

 整形外科のリハビリ病棟に入院している82歳男性は、当地の基幹病院で急性冠症候群の治療を受けた。心不全が悪化して、人工呼吸器装着・大動脈バルーンパンピングと濃厚な治療を受けて何とか軽快した。その後誤嚥性肺炎を繰り返すために、胃瘻造設が行われた。その後自宅で生活していたが、大腿骨頸部骨折ときたした。基幹病院で手術を受けてから当院のリハビリ病棟へ転院してきた。

 誤嚥性肺炎になって内科で診ることになった。紹介状をみると、いつから胃瘻の経管栄養から経口摂取に変わったのか、よくわからない。経口摂取を許可したとは書かかれておらず、経口摂取しているようですと他人事のような記載だった。おそらくご本人と家族が経口摂取を再開していて、今のところ誤嚥性肺炎がないし、まあいいかという事後承諾だったのではないか。そのままいければ問題はないが、やっぱり誤嚥性肺炎をきたしてしまった。食べたいと言われれば、まあ楽しみ程度の量にして、ムセたらすぐにやめて下さいと言うしかない。一生食べるなとは言えないだろう。ただ軽症の肺炎ですぐに治るとは限らず、ひどい両側肺炎になって危険な状態になることもあるので、病院としては食事量を増やすなら、覚悟をもってやって下さいと言いたくなる。

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漢方診療ハンドブック

2015年01月22日 | Weblog

 昔持っていた「漢方診療ハンドブック」桑木崇秀著創元社(今回は2012年改訂版)をアマゾンで購入した。主な内容はそれほど変わっていないらしいが、製薬メーカーが変更になったりしたので、多少改訂しているそうだ。前に持っていた本をなくしてしまい(あったとしても紙質の問題で変色が著しい)、改めての購入になった。隠れたロングセラーで中国での訳本が出版されているという。確かに何冊か漢方の本を見たが、単著ということもあり、一番わかりやすい。

 今一番使ってみたいのは、麻黄湯と桔梗湯だ。自分は風邪をひくと、熱が内に籠ってまったく汗をかかない。2日くらいして発汗すると、そのまますっと解熱する。葛根湯を試したことがあるが、汗はかかず、全く効かなかった。

 耳鼻咽喉科の常勤医がいないので(大学病院から週3回半日午後にある)、急性化膿性扁桃炎を内科で診ることが多い。細菌性だと抗菌薬を使用するが、ひどい咽頭痛を何とかしてあげたいので、桔梗湯をぜひ使ってみたい。

 尿管結石の疼痛に対して芍薬甘草湯を1回だけ使ったが、少なくともボルタレン坐薬と同じくらいには効いた。排石を促すのに猪苓湯を使おうと思ったら、院内にはなかった(日曜日だったので院外で出せなかった)。夜間のこむら返りで困っている高齢者に数回芍薬甘草湯を使ったが、良く効いたそうだ。

 研修医の頃に、院内にあった茵陳五苓散を非代償性肝硬変で腹水著明な患者さんに使ったら、次の日には腹水がほとんど消失した経験がある。腹膜の生理的な吸収能をまったく無視した効果?で驚いたが、今にして思えばアクアポリンの問題なのだろうか。

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