空洞を伴う浸潤影を呈した30歳男性は3回の抗酸菌塗抹で陰性だった(培養とPCRも提出している)。通常の抗菌薬投与で解熱して、陰影も軽減してきた。炎症反応も順調に改善した。浸潤影が軽快した後に空洞が表れてきた。
大学病院から応援で来ている呼吸器科医にCTを見てもらうと、「これは結核でしょう」と言われた。私たちの印象は間違っていなかった。その後結核菌塗抹が3回陰性で、喀痰培養で黄色ブドウ球菌が検出されて、浸潤影の軽快したところに空洞が出現したことを聞くと、「それは(ブドウ球菌の肺化膿症として)ありえます」とも言われた。入院じには、結核のことだけ気にしていたので、血液培養をとっていなかった。黄色ブドウ球菌なので、肺化膿症としてなら抗菌薬は4週間くらいの投与だが、心内膜炎や化膿性脊椎症があれば、6~8週間投与になる。心エコーを行ってvegetationの有無を見なければならない。
駅で保護された人なので、外来になると来るかどうかわからない。抗菌薬投与の投与が終わるまで入院にする必要がある。家族とは何年も連絡がつかなかったが、退院後の生活はどうするのだろう。
この土日は日当直もなく、内科の当番でもないので休んでいた。いまのところ病棟からの連絡もない。「肺HRCTエッセンシャルズ」を読んでいるが、本当にいい本だ。これをマスターすれば、肺疾患がかなりわかるようになると思う。