なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胸部X線側面も

2017年04月30日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。学校でインフルエンザが流行っているという女子高校生は、迅速検査でA型陽性だった。院内の事務でも隣り合った職員が2名インフルエンザA型になって、その後3名まで増えた。まだインフルエンザはある。

 入院は肺炎2名だった。70歳代後半の女性は昨夜からの発熱・悪寒で受診した。咳・痰の訴えはなく、胸膜痛もない。腰が痛いというが、CVA tendernessは陰性だった。どちらかというと尿路感染症(急性腎盂腎炎)かと思った。

 胸部X線で右下肺野が若干あやしいと思ったが、はっきりしなかった。悪寒は毛布をかぶりたくなるくらいで、歯ががちがちとなるほどではない。血液培養2セットと尿培養を提出した。尿検査で混濁はほとんどなかった。

 胸部CTで確認すると、右下肺に淡い陰影が2か所にあった。胸部X線側面をとれば単純でもわかったのだろう。それでもCTまでとるけど。

 介護付き高齢者住宅に入所している80歳代後半の男性は、発熱があり、家族が肺炎を心配して連れてきた。家族の心配通りに肺炎があって入院した。認知症があり、入院継続できないほどではないと思うが、ちょっと心配だ。

 

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混合型肝癌

2017年04月29日 | Weblog

 木曜日に大学病院循環器内科から70歳代後半の女性が転院してきた。混合型肝癌の診断で、緩和ケア(BSC)で経過観察となっていた。

 大学病院循環器科で心臓ペースメーカー植え込み術を受けて、そのまま大学病院の外来に通院していた。発作性心房細動があり、ワーファリンを内服していたが、今月の外来受診でPT時間が過剰に伸びていて、肝機能障害もあった。

 入院して消化器内科で検査したところ、肝臓全体に腫瘍を認めた。、上下部内視鏡検査で胃大腸に癌はなかった。生検はしていないが腫瘍マーカー高値(CA19-9・CEA・PIVKA-Ⅱ)から混合型肝癌(肝細胞癌+胆管細胞癌)と診断された。

 患者さんと家族に病状説明があり、癌に対する積極的な治療はせずに(事実上無理だろう)、緩和ケア(BSC)の方針となった。食事もとれて、トイレ歩行もできる。そのまま自宅退院でもよかったのだろうが、ワーファリンのコントロールが難しく、DOACも使いにくいということで、ヘパリン持続点滴になっていた。

 抗凝固薬をどうするかは、当院で決めてもらうようにと言われての転院だった。大学病院から丸投げされても困るが、ふだんは洞調律で、発作性心房細動になってもすぐに治まっていたそうだ。

 ワーファリンを極々わずかに形だけ入れるのも考えたが、意味がないと思って、ヘパリン点滴を中止して抗凝固薬はなしとした。翌日に腹部CT(単純だけにした)で見ると、肝臓全体に腫瘍が広がっている。腹水も中等度にあった。肝表面まで腫瘍があるので、破裂による急死も危惧される。緩やかな肝不全進行の経過だといいか。

 患者さん本人は自宅に帰りたいという希望があり、数日当院で経過をみて来週初めの退院を勧めた。

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血糖High

2017年04月28日 | Weblog

 60歳代後半の女性を、10日前に慢性心不全の急性増悪で心臓血管センターのある専門病院に搬送していた。心不全が改善して、今日退院したそうだ。症状が改善して退院しても、もう少し病院で経過をみた方がよい時はいつでも転院できますと紹介状に記載していたが、直接自宅退院になっていた。

 夫は紹介状を持たされてので、当院の外来予約は来月だったが、今日自宅に帰る前に当院を受診した。下腿浮腫は改善して、酸素飽和度も良好だった。この方は脳梗塞後遺症・認知症で、インスリン注射(強化療法)や内服薬はすべて夫が管理していた(生活全般も)。

 紹介状には、以前から多い内服薬がさらに増加したとあったが、心臓の治療ではやむを得ないだろう。夫が、看護師さんから「入院中はインスリン注射をしていなかった」と言われたという。ふだんは強化療法で1日合計32単位のインスリンを使用していた。

 簡易血糖測定を行うと、Highと出た。生食の点滴を開始して(心不全があるので、そおっと)血液検査をすると、血糖580mg/dlと出た。ぎりぎり簡易血糖測定できなかったらしい。意識は清明のようだが、夫は何だか普段よりおかしいと思っていたという(こちらとしてはよくわからないが)。会話はできて、食事もとれてはいた。尿ケトン体は陰性で腎機能の程度はいつもと同じで電解質異常はなかった。

 本当に入院中にインスリン注射をしていなかったのか、地域医療連携室から問い合わせてもらうと、入院中はしていないと言われたそうだ。当院に入院してもらって、ふだんのインスリン注射を4~5日行って経過をみることにした。これまでその病院には4回入院している常連さんのはずだが、どうしたんだろうか。

 

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トリプルでした

2017年04月27日 | Weblog

 肺炎で入院した80歳前半の男性は、入院時のCT検査で十二指腸水平脚の腫瘍と鉄欠乏性貧血の進行を認めた。肺炎治癒後に消化器科で上部消化管内視鏡検査が行われた。結果は、「トリプルでした」。胃の3か所に癌を認めた。

 まずもっとも目につくのは胃角前壁を中心とする1型進行癌で、胃角小彎にⅡb様に広がっていた。そして噴門直下の小彎~後壁に4型進行癌(浅い潰瘍と硬化して粘膜)があった。さらに胃体下部大弯にⅡc病変まで診断された。検査したのは消化器センターのある病院から手伝いにきている若い先生だが、見事なものだ(食道末端も生検して癌の波及がないことも証明)。

 十二指腸の病変は、内視鏡が下行脚までの挿入になったので、見えていない。小児用大腸内視鏡を使用することも考慮していたが、3か所の胃癌の問題もあり、踏み込まなかった。

 診断は多発性胃癌(進行癌2か所+早期癌1か所)、十二指腸水平脚粘膜下腫瘍(疑い)、総胆管結石・胆嚢結石となる。(大腸内視鏡検査では経過観察でよい小ポリープのみ)紹介になる予定だが、どう治療するのだろうか。

 

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白血球減少と白血球増加

2017年04月26日 | Weblog

 昨日の日中に搬入された患者さんと、昨日の夜間に搬入された患者さんは、重度の検査値異常を呈していた。

 昨日の日中、精神疾患で他院に通院している60歳代半ばの男性が、意識障害と著しい肝機能障害で内科クリニックから紹介されて救急搬入された。汎血球減少症があり、特に白血球数700と著しく低下していた。CRPは5程度と軽度の上昇だった。肝機能障害・腎機能障害があり、特に肝機能はトランスアミナーゼが5桁に上昇していた。

 胸腹部CTでみると、両側肺野に浸潤影があった。陰影の広がりとしては重症ではないが、酸素飽和度が低下して酸素吸入10L/分になっていた。血圧は110くらいでまだ保っていた。意識低下で会話はできない。心拡大と軽度だが心嚢液貯留もある。肝臓はやや大きさ的には正常だが、全体に腫脹した印象があった。肝萎縮ではない。胆道系に異常はない。

 家族の話ではここ数日の経過らしいが、原疾患の問題があり、実際はもっと長いのかもしれない。感染症の進行した状態をみているのか、何らかの肝疾患の急性発症なのか、血液の悪性疾患が隠れているのか、判断がつかなかった。大学病院の救急部くらいしか診れないだろうと思われたが、家族は希望しなかった。当院に入院して治療を開始したが、夜間になって亡くなった。

 昨日の夜間に90歳代半ばの女性が発熱で救急搬入された。普段は潰瘍性大腸炎(治療はペンタサのみ)で消化器科に通院していた。こちらは5万の白血球増加があり、芽球が40%だった。貧血と血小板減少もある。胸腹部CTで左胸水貯留と無気肺像を認めたが、そこは昨年末に外傷性多発性肋骨骨折+血気胸で入院していて、陳旧性か新規か判断が難しい。腹部症状の悪化はない。

 担当の消化器科医が、血液内科で診てくれるだろうかと言っていた。相談はすべきだろうが、多分断られるのではないか。当院で骨髄穿刺をしますかと伝えたが、即答はしなかった。どうしましょうか。

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「ニッチなディジーズ」

2017年04月25日 | Weblog

 「ニッチなディジーズ」國松淳和著(金原出版)を読んでいる。カタマリをつくらないリンパ腫から始まって、「みたことのない病気を診断するための講義」だそうだ。当院でも以前にangioimmunoblastic T-cell lymphomaやprimary effusion lymphomaの症例があった。

 ちょうどCareNeTVで国立国際研究センター総合診療科presents内科インテンシブレビューが始まった。1回目は國松先生で、その前の不明熱の講義と同様の明快な話をされていた。「内科で診る不定愁訴」中山書店に続いて、いい本だと思う。「Fever」金原出版にも執筆されているが、「不明熱」の単著も期待したい。

 「IgG4関連疾患」の本が出たので、アマゾンで注文した。届くのが楽しみ。今日は病院経営改善の会議があり、2時間かってやっと終わった。

 地域の基幹病院は看護師不足から病棟ひとつが閉鎖に追い込まれた。そちらの院長先生が当院の院長に、急性期を過ぎた患者さんの受け入れをよろしく頼むと挨拶に来たそうだ。特に循環器疾患は急性期を脱したらすぐにでも転院にしたいらしい。院長先生から、「循環器科常勤医が不在になる当院で受け入れができるか」と訊かれた。「まさかハンプ点滴静注のままでは転院にしないでしょうから、受けますよ」とは言ったが、本当に大丈夫かな。

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卵巣癌疑い

2017年04月24日 | Weblog

 昨日の日曜日直の時に、60歳代始めの女性が食欲不振で受診した。前々日の金曜日に腹水で、内科医院から消化器科の外来に紹介されていた。卵巣癌・癌性腹膜炎(腹膜播種)で、週明けにがんセンター婦人科外来へ紹介になっていた。

 1か月前から7kgくらいの体重増加・腹部膨満があり、内科医院を受診した。腹部エコーで大量(中等量?)の腹水を認めて、当院紹介となった。腫瘍マーカーはCEAとCA19-9は正常域で、CA!25が300以上と高値を呈していた。腹部造影CTで右横隔膜下後方に肝臓に接して腫瘤を認めた。また左卵巣と判断される腫瘤があった(右はかなり以前に摘出)。まず卵巣原発と判断されての紹介だった。

 受診時の訴えは食欲不振と腹部膨満感(重苦感)だった。初診時は外来で1本点滴をしていた。当院に入院してしまうと、がんセンター受診ができなくなるので、外来で点滴をすることにした。せっかくなので、ソリタではなくアミノ酸入りのパレプラスにして、半分入ったところでラシックス1A(20mg)を静注した。

 点滴を始めてから病棟に行くと、消化器科医がいて、今日も受診したんですねと言われた。救急外来の画面で名前を見つけたらしい。利尿薬の投与かステロイド(デカドロン)の点滴静注を考えていると相談して、利尿薬静注になった(普通はそうだ)。時間をかけての点滴だったので患者さんは夕方まで外来の点滴室で休んでいた。ラシックス静注後は排尿が7回あって、腹部膨満が楽になったという。

 消化器癌よりは抗癌剤の効果が期待できるはずだが、どういう治療になるのだろうか。まずは腹水細胞診などでの確定診断が先だが、当院外来で行うよりは、最初からお任せしたほうがいいと判断した。

 

 

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大腸癌だった

2017年04月23日 | Weblog

 90歳代後半の男性が1か月前に肺炎で入院した。抗菌薬投与で順調に軽快して、案外食事摂取は良かった。以前から施設入所を申し込んいて、もう少しで入所できそうなので、もう少し病院に置いてほしいという家族の希望があった。認知症で体格が良くて、妻が在宅で見ていた聞いていたが、実際は毎日デイサービスに行っていたそうだ。入院後は体幹抑制を要する方だった。

 長く待つようならば、地域包括ケア病棟に移す予定だったが、入所日が決まったので、一般病棟から退院して入所予定となった。明日退院するという日に嘔吐して、また肺炎になった。

 1週間肺炎の治療をして、また経口摂取を考えますと家族に伝えた。ただ両側肺炎なので、ちゃんと治癒するかどうかは経過をみないとわからないともお話した。学会出張中でだった昨日、経口摂取なしの状態でも嘔吐して、腹部が膨満してきたそうだ。日直だった消化器科医が胸腹部CT(単純)を行ってくれた。上行結腸癌があって、消化管閉塞をきたしていた。

 今日日直で病院に出てきたが、昨日入院した総胆管結石の患者さん(90歳代半ばの男性)を診に消化器科医も来ていて、本来はイレウスチューブ挿入だが、NGチューブ挿入にしておきましたと言われた。いやいやこれで十分でございます(感謝)。今日は腹部は平坦になっていた。透視下でのイレウスチューブ挿入はまず無理だ。

 今回北海道から息子さんが来ていて、ちょうどいったん自宅に戻ることになっていた。超高齢なので肺炎が治らなくても仕方ないです、お任せしますと言って入れていたが、良くなって施設入所の可能性もなくはないと説明していた。今日改めて病状を説明した。手術適応は難しいので、見込みなしになったが、とにかく治療は続けますとお話した。

 ちなみに、学会での東大老年科教授の話では、今度から75歳以上が高齢者になるそうだ。65歳以上は准高齢者で、90歳以上はこれまでと同じ超高齢者。

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痒みに新薬

2017年04月22日 | Weblog

 消化器病学会のモーニングセミナーで経口そう痒症改善剤の話を聴いた。販売準備中のナルフラフィン塩酸塩(レミッチOD錠2.5μg)。適応は血液透析患者のそう痒症慢性肝疾患患者のそう痒症の改善。

 もちろん消化器病の話なので、慢性肝疾患で使ってくださいという内容。慢性肝疾患(慢性肝炎・肝硬変)の4人に1人が痒みを訴える。痒みに対しては、まずは保湿剤を処方する。次に、「末梢性かゆみ」に効く抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を処方する。

 それでも症状が治まらないと、ステロイド外用薬も処方するが、「中枢性かゆみ」に効くレミッチを処方する。オピオイドκ受容体作動薬ということだ。ただし、1Capが1346.30円と薬価は高い。1割負担の患者さんになら出せるか。

 確かに痒みに対しては、あまり本気になって治療していない(というか、よくわからない)。直接診ている肝硬変の患者さんは以前よりぐっと減ったが、痒みを訴えていた。処方は、保湿剤常用+ステロイド外用薬頓用追加+抗アレルギー薬。

 痒みの客観的な評価としては、「川島の重症度分類」とVAS(0~100mmの長さで表現)がある。川島の分類は初めて聞いた。0~4点でスコア化していて、4点が「いてもたってもいられない痒み」、3点が「かなり痒くて人前でも掻く」、2点が「時に手がゆき、軽く掻く」、1点が「時にむずむずするが掻くほどではない」、0点が「ほとんどかゆみを感じない」。けっこう主観的だが、使えそうだ。 

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カンピロバクター腸炎

2017年04月21日 | Weblog

 先週の週末に夜間に20歳代半ばの女性が腹痛で受診した。腹痛の部位は心窩部痛だった。当直の外科医が腹部単純CTを行って、これといった所見はないようだということだったが、あとで見ると大腸壁が全体的に軽度に肥厚していた。外来で鎮痛薬を使用したが、症状は治まらず、外科で入院となった。炎症反応はほとんど陰性で、点滴で経過をみていれば治ると判断したようだ。

 入院翌日から下痢(水様便)は始まり、血便だったので消化器科にコンサルトされた。便培養が提出されたが、年齢的に潰瘍性大腸炎も考えられるということで、大腸内視鏡検査が行われた。盲腸から直腸までびまん性にびらんが見られた。陰窩膿瘍様の所見もあった。回盲弁が腫脹してべったりとした白苔が付着していた。

 生検の結果待ちとなったが、便培養でカンピロバクターが検出されて、カンピロバクター腸炎だった。その時には症状は軽快していたので、今さら抗菌薬投与もということで、そのまま経過をみることになった。

 カンピロバクター腸炎は潰瘍性大腸炎との鑑別を要する内視鏡所見を呈することがあるが、回盲弁の白苔付着が特徴的ということだ。「消化器内視鏡」の1月号「腸炎まるわかり」にあったカンピロバクター腸炎での回盲部の白苔付着の写真を見せてくれた。まったく同じ所見だった。

 以前に地域の基幹病院消化器内科でのカンファランスで、当院の消化器科医が病原性大腸菌による感染性腸炎の内視鏡所見をプレゼンテーションした。そちらの病院の先生から、「当院では感染性腸炎の急性期には内視鏡はしてないんですが(治癒後は行うことがある)、内視鏡がお得意なんですね」と言われたことがあった。

 今日は「抗血栓薬と消化管障害」「IPMNの診断と治療」などを聴いていた。エレベーターに乗っていると、たまたま虎の門病院の熊田博光先生が乗ってきた。周囲を他の先生方(MRさん?)に囲まれていて、貫禄がすごい。

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