こちらもCareNeTVのケアネットまつり、岩田健太郎先生の「Dr.岩田の感染症診療の本質」から。
ワクチン未接種者で、重症化予防効果はニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)とレムデシビル(ベクルリー)は90%弱、モルヌピラビル(ラゲブリオ)は30%台。
使用できればニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)が優先されるが、日本での使用は圧倒的にモルヌピラビル(ラゲブリオ)になっている。
これはニルマトレルビル/リトナビル(パキロビッド)は禁忌薬剤があり、腎機能障害で減量あるいは使用できないということあるためだろう。その点モルヌピラビル(ラゲブリオ)は禁忌薬剤も腎機能障害の考慮が不要(透析患者でも使用できる)で使用しやすい。
ワクチン接種者ではモルヌピラビルは重症化予防効果はなかった。ただし、症状を3~4日軽減させる。ヨーロッパはそれでモルヌピラビルを認めなかった。日本では症状を1日早く軽減されるとして、エンシトレルビルを承認している。
最後の「本質とは」は、いかにも岩田先生。ダイアモンド・プリンセス号から追い出されたことを自虐ネタ(自慢ネタ?)としてまだ使われていた。
ケアネットまつり
Dr.岩田の感染症診療の本質
症例)60代男性
発熱、皮疹
コロナ、インフルエンザ陰性
診断:2期梅毒
ステルイズ240万単位筋注
症例)40代女性
自己免疫疾患でステロイド使用、ST合剤の投与なし
発熱、呼吸困難で受診
SARS-CoV-2陽性
胸部X線で両側にすりガラス陰影(GGO)
COVID-19肺炎かPCP(Pneumocystis oneumonia)かが問題になった
ST合剤(点滴静注)・レムデシビル・ステロイドで治療開始
β-Dグルカン陰性でPCPは否定
診断:COVID-19肺炎
症例)40代女性
発熱が2週間続く
ロッククライミングをしている(マダニ咬傷)
診断:SFTS(重症熱性血小板減少症候群severe fever with thrombocytopenia syndrome)
対症療法のみ
症例)50代男性
発熱、呼吸困難
自己免疫疾患でステロイド使用
SARS-CoV-2陰性(2回) 胸部X線で両側にすりガラス陰影(GGO)
β-D-グルカン陽性、LDH上昇
口腔内カンジダ症あり
肺炎はPCPが疑われた、CMV肺炎も疑われた
嚥下痛→食道症状(食道カンジダ?) 岩田先生は、PCPと食道カンジダと診断 若い先生は、PCVとCMV食道炎を疑った 内視鏡検査でPCP、CMV食道炎と証明された 診断:PCP、CMV食道炎、口腔カンジダ
PCP
・HIVとステロイド!
・βDグルカンが有名だが、これはuniversal fungal marker
・聴診所見がないこと、労作時の呼吸苦が特徴
・ST合剤±ステロイド
CMV
・どこにでも病気をおこす
・再活性が大事
・アンチゲネミアやPCR有用性?
・レテルモビル(プレバイミス)DNAターミナーゼ阻害薬
HSCT(造血幹細胞移植)患者の予防に
ACP(アメリカ内科学会)のCOVID-19外来治療ガイドライン
軽症~中等症でモルヌピラビルを推奨
すぐに反論が出た
「PANORAMIC RCT」
ワクチン接種者でモルヌピラビル投与
・重症化を防ぐ効果はまったくなかった
・症状は3~4日分改善される
〇ヨーロッパ
モルヌピラビルを認めなかった
〇日本
モルヌピラビルの格下げ(ニルマトレルビル/リトナビル、レムデシビルが使用できない時に選択)
エンシトレルビルを症状を1日早く改善するとして承認
本質とは
●診断は、患者に起きていることに肉薄すること
・カントの「物自体」
●治療は、患者にベストを尽くすこと
・EBM best available evidenceを使う
・スケベ心を起こさない!
●科学的であることとは、誠実であること
・世論、空気、忖度から自由であること
・偽善者に要注意