なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

診断は外れ~卵巣出血

2023年06月30日 | Weblog

 先週の金曜日に下腹部痛の40歳女性が救急搬入された。その日の朝から下腹部の違和感があり、そろそろ生理が来ることだったので、その症状かと思っていたそうだ。

 昼食後に急に下腹部痛が出現して救急要請した。痛みは発症してからは同じ痛みだった。じっとしていられず、少しずつだが動いている。(その点が腹膜刺激症状とは違ったか)

 妊娠反応は陰性だった。腹部エコーではよくわからない。腹部CTで見ると、子宮の上後方に何か構造物があるようだ。放射線科医が読影に来ていたので、診てもらった。

 これだけではわからないという。婦人科疾患かどうかMRIを行ってといわれたが、患者さんは静止状態を保つのは無理だという。

 腸管がそこにはまり込んでいるようにも見えたので、内ヘルニアによる絞扼と疑いとして地域の基幹病院外科に紹介することにした。外科医は忙しく電話に出る余裕もないが、とりあえず搬送してくれ、という返事だった。

 外科と婦人科で相談して診てもらいましょう、と患者さんと夫に説明して搬送した。

 今週返事が来ていて、「造影CT・腹部エコーなど画像検査を追加した結果、卵巣出血と診断して、治療は婦人科扱いとなった」ということだった。

 

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急激な認知力低下?

2023年06月29日 | Weblog

 6月9日に意識が時々低下する、食事摂取ができないこともあると、82歳男性が内科の新患外来を受診した。

 担当医は頭部MRIと血液検査を行った。頭部MRIは陳旧性の左基底核のラクナ梗塞と全体的な脳委縮を認めるが、新規の病変はなかった。血液検査でも特に有意な異常はなかった。発熱も炎症所見もない。

 車椅子に乗っていて、見当識障害があるが、以前からなのかもしれない。帰宅して経過をみることになった。

 

 翌週の6月15日にまた車椅子で外来を受診して来た。同じ先生が診察したが、嚥下障害で食事摂取ができないため、入院となった。

 初診の時に検査していないビタミンやホルモンの検査を追加したが、やはり原因となるような異常はなかった。点滴して経過をみるしかなかった。脳炎をきたす疾患も考えていたようだが、わからなかった。

 6月21日に脳神経内科の外来(非常勤)で相談したが、初診時に見られた所見だけで、それで現状を説明できないといわれた。急激な認知機能障害というのは本当なのか。

 6月22日にそれまでバイタルサインとしては問題なかったが、突然心肺停止になった。救急蘇生で心拍再開したが、気管挿管・人工呼吸を要した。

 瞳孔散大・対光反射消失が確認されて、その後に瞳孔はpin point pupilになっていた。脳幹梗塞?。

 家族に病状を説明して、心停止時はDNARの方針となっていた。心停止に至るまでは、人工呼吸は継続する。

 人工呼吸器関連肺炎を来して、その治療も行っている。そもそもの原因がよくわからないが、到底回復の見込みはないだろう。

 

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老衰

2023年06月28日 | Weblog

 月曜日の午後2時ごろに救急当番をしていた腎臓内科の若い先生から連絡が来た。(大学病院から半年交代で派遣されている)

 救急搬入された患者さんのことで相談したいという。病状ではなく(すでに心肺停止)、「扱いについて」ということだった。老衰の扱いがよくわからないということらしい。

 施設に入所していて、市内の内科医院に通院していた。アルツハイマー型認知症と心不全となっていたが、るい痩著明だった。

 4月から食事摂取ができたり、できなかったりになって、しだいに体重が減少してきていた。医院の先生からはこのままだと近いうちに亡くなるかもしれないと説明されていた。先週からは食事摂取が難しくなり、液体の栄養剤が処方されたが、それも難しかった。

 夫と子供はすでに死去して、横浜在住の弟さんがキーパーソンだった。最近施設の面会禁止が解除になったので、面会に来ていたという。

 医院の先生から急変時はDNARと話がされていたので、腎臓内科の先生は心肺蘇生はしていかった。痩せた小柄な老女で、もし心臓マッサージをすると、かなりの肋骨が胸骨から離れて胸郭がべこべこになってしまうだろう。(’蘇生処置というより虐待のようになる)

 救急室に行って、これまでの経過は当方が施設職員から聞いた。老衰としていい経過だった。Autopsy imagingをすることになっていたので、不要な気もしたが実施してもらった。頭部CTで著明な脳委縮がある。胸腹部CTは特に異常なかった。

 死因としては老衰で経過約1か月でどうでしょうかと、伝えた。(その通りに死亡診断書に記載されていた)施設といっても小規模なグループホームなので、ご遺体を引き取るのは難しいという。弟さんも高齢なので、こちらに来るのはその息子さん(患者さんの甥)になるかもしれないそうだ。

 若い先生が弟さんに電話で経過を伝えるというので、病院の霊安室で1~2日はお預かりできる、と伝えてもらうことにした。

 

 その日の午後6時ごろ病院から帰る時に、救急室の隣にある時間外の受付で、きちんとした身なりの小柄な高齢男性が会計をしていた。(時間外の支払いはそこで行う)搬入された患者さんの弟さんかもしれない、と思ったが声はかけなかった。 

 90歳を越えて老衰で亡くなるというのは、幸せなことなのだと思う。診療所付きの施設だと、そのまま施設で看取ることもできるが、そうでないと病院に搬送になるのが、問題ではあるが。

 

 

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急性腎盂腎炎・膀胱癌

2023年06月27日 | Weblog

 6月7日に89歳女性が発熱で救急搬入された。肺炎はなく、尿路感染症(急性腎盂腎炎)だった。

 右腎臓に水腎症を認め、膀胱内に不整な腫瘤を認めた。膀胱癌があり、右尿管(の入口部)が閉塞(狭窄?)しているようだ。内科の別の先生が担当して入院となった。

 

 

 抗菌薬投与で解熱したようにみえたが、また発熱があり、当初の抗菌薬を変更していた。

 搬入時の尿培養からStreptococcus agalactiae(B群溶連菌)とEnterococcus faeciumが検出された。前者は大抵の抗菌薬に感受性があり、後者はバンコマイシンに感受性がある。(血液培養2セットは陰性)

 セフトリアキソンと何故かミノマイシンで開始していた。結果的にミノマイシンはEnterococcus faeciumに感受性がある結果だが、バンコマイシンを使用したい。

 セフトリアキソンをイミペネムに変更して、解熱軽快した。(カルバペネムはメロペネムではなく、イミペネムを好む先生だった)感受性試験の結果からみると、何かどう効いたかよくわからない。

 

 膀胱癌については泌尿器科医(非常勤)に相談して、その先生が家族(妹)に説明してくれた。手術は勧めないということで同意されていた。

 ただ尿路閉塞があると尿路感染症は難治性になる。閉塞性腎盂腎炎になると腎瘻造設を要することもあるが、感染症に関しても、腎瘻造設はしない方針となった。

 

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肺癌、多発性骨転移

2023年06月26日 | Weblog

 6月21日水曜日の午後に整形外科医から声をかけられた。外来を受診した患者さんのことで相談したいという。

 施設入所中の89歳男性で、腰痛(食欲不振と体動困難も)で紹介されていた。胸腰椎のMRI検査で多発性の骨転移を認めた。さらに3年前から肺の腫瘤を指摘されていたので胸部CTを行うと、明らかに肺癌があった。

 整形外科の問題ではないので、内科入院で診てほしいといわれたので、そのまま引き受けた。

 

 2010年に脳出血を発症していた。ADL低下と認知症もあり、施設入所になっていた。(発症時と今回の頭部CT)

 1週間前から発熱があり、施設嘱託医が抗菌薬を投与していた。いったん解熱しているようだが、また発熱があった。肺癌と軽度の胸水があるが、肺炎としてははっきりしない。

 腫瘍熱の疑いもあり、ナイキサン(ナプロキセン)で経過をみることにした。嚥下障害はあり、誤嚥性肺炎を併発してもおかしくない。

 翌日閉眼したままで疼痛刺激でも開眼しなかったが、その後開眼した(意識障害ではなく、寝ていたことになる)。簡単な会話はできて、嚥下調整食3程度(ムース状)ならば嚥下できるようだ。

 理想は「しばらく病院で診て、いったん施設に戻して、病状悪化時に再入院」だが、入院継続になってしまうかもしれない。

 Dダイマーが40と著明に上昇していてトルソー症候群も疑ったが、明らかな血栓塞栓症の症状はないようだ。γグロブリンが著明な高値で、肺癌として説明し難いのも分からない点だ。

 

 4月から新任の整形外科医は、内科医の使い方に慣れてきたようだ。

 

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病変は肺に

2023年06月25日 | Weblog

 土曜日の日直の時に、午前8時ごろから腹痛(臍周囲)と嘔気を訴える81歳男性が救急搬入された。

 前夜に飲酒(ビールジョッキで2杯)して刺身(マグロなど)を食べたということで、本人も家族もそれが影響していると思っているようだ。

 腹部は平坦・軟で臍部に軽度の圧痛があった。排便は1回あり、最初は普通便で最後の方は柔らかったというが、下痢ではない。

 別の病院に通院して、ワーファリンが処方されていた。不整脈があり、心電図では心房細動を認めた。βブロッカーと利尿薬も処方されていて、心房細動・慢性心不全の処方だった。

 通常ならば腹部CTは単純だけにするが、ワーファリン内服で治療しているとはいえ、血栓塞栓症が気になった。造影CTを行うことにした。

 腹部の主要な血管に血栓塞栓症は認めなかった。小腸内の消化液は目立つような印象はある。他にも異常はなかった。外来で点滴とアセリオ注で経過をみて、症状は軽快した。

 排便があり、血便(というか鮮血そのもの)が出たという。患者さんは落ち着いていた。何でも、2年前に前立腺癌に対してがんセンターで放射線療法を受けた。その後から、4~5日に1回同様の症状(血便)があるそうだ。

 別の医療機関で大腸検査も受けているそうだが、放射線直腸炎とされたかどうかは不明だった。少なくともふだんからある症状で今回の問題ではないようだ。

 その日は点滴が終わって、胃腸薬処方(ドンペリドンとミヤBM)で帰宅した。

 

 月曜日の午前中に放射線技師さんから連絡がきた。土曜日が出番だった若い技師さんだった。放射線科の読影レポートが出ていて、右肺門部の腫瘤を指摘されているという。大学病院の遠隔診断だが、随分早くレポートが出たのだった。オーダーは腹部CTだが、撮影範囲は肺門部まで含まれている。

 患者さんに電話を入れた。腹部症状は消失して何ともなかった。呼吸器症状はない。CTで肺の病気が見つかった、とお話して、呼吸器科外来のある木曜日に来院してもらうことにした。

 火曜日の午後に、放射線科の先生が病院に読影に来られたのでCTを診てもらった。肺門リンパ節転移ともとれるが、反対側にはないので肺門部肺癌かもしれない、ともいわれた。

 木曜日に呼吸器外来で来られた先生に相談すると、腫瘍は間違いないので、がんセンターに紹介するようにといわれた。胸部CTは撮影していないが、やるとすれば頸部~骨盤で造影CTをするので紹介先で施行してもらった方がいいともいわれた。

 患者さんと家族(娘さん)が来院したので、肺癌疑いでがんセンター紹介したいとお話した。娘さんから治療はできるでしょうか、と訊かれたが、一度は専門医に診てもらいましょうと伝えた。CTは撮ると思うが、それ以上の精査はしないで、経過観察になるのかもしれない。

 

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拡張型心筋症

2023年06月24日 | Weblog

 5月18日に記載した「急性心筋梗塞?」の症例の返事が来ていた。急性心筋梗塞はなく、拡張型心筋症だった。

 

急性心筋梗塞?

 火曜日の救急当番の時に、呼吸困難の57歳男性が救急搬入された。1週間前から両下肢の浮腫と労作時の息切れがあったが様子をみていたそうだ。特にふだん通院している病院医院はない。

 前日から浮腫と息切れが悪化して、その日に受診しようと思っていたが、呼吸が苦しくなって救急要請していた。救急隊到着時は酸素飽和度が70%台だったが、酸素吸入3L/分で99~100%になった。発熱はなく、1週間の間にも発熱してはいない。

 

 急性発症の呼吸困難で両下肢の浮腫があるので、急性心不全のようだ。胸痛はないというが、年齢を考慮すると急性心筋梗塞だろうか。循環器内科に搬送になると救急隊に伝えて、当院に来てもらった。

 血圧は190/130と高値だった。心拍数は120/分台だったが、洞性頻脈で不整脈ではない。

 心電図をみると、V1-5までpoor r wave progressionだった。(移行帯がV6になってしまう)QS patternとみるべきなのか。明らかなST変化はなかった。

 胸部X線・CTでは心拡大があり、胸水貯留と部分的に肺うっ血の所見があった(予想したより軽度だった)。

 

 血液検査でトロポニンIが511(0-26pg/ml)、BNPが2900以上(その後3656.2pg/mlと出た)と著明に高値を呈していた。

 1週間前に急性心筋梗塞を発症して、急性心不全を呈したということなのか?。エコーを当てて見ると、左心室全体の動きが悪いように見える。

 地域の基幹病院循環器内科に連絡すると、受けてもらえたので、2台目の救急搬入で来た救急隊に頼んで、そのまま搬送してもらった。

 

 診療情報提供書の返事によれば、

 「心エコーでは全周性に壁運動低下、胸部X線で胸水貯留・心陰影拡大がみられ、急性心不全と診断した。利尿薬で水分コントロールを行い、適宜心保護薬を追加導入したところ症状は速やかに改善した。心臓カテーテル検査で冠動脈に狭窄はなく拡張型心筋症が疑われた。退院して、外来受診したが、心不全症状はなく軽快している。今後も精査を続ける予定。」

 ということだった。

 処方はエンレスト100mg分2、ミネブロ2.5mg分1、ビソプロロール2,5mg分1が処方されている。ARNI、MR拮抗薬、β遮断薬の(Fantastic 4のうちの)3剤が入っているのだった。

 この患者さんは高血圧症放置で血清クレアチニン1.4~1.5mg/dlの腎症がある。血清カリウムは4.1だったが、薬剤使用で5.0~6.0に上昇してしまうようだ。

 高カリウム血症に対するロケルマ5gも入っていて、これを使ってもエンレストやミネブロを使用したいということなのだろう。

 当院搬入時に行ったへたくそな心エコーで、全周性に壁運動が低下していた印象があったが、合ってはいた?。

 

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膀胱癌術後再発

2023年06月23日 | Weblog

 2022年12月25日に記載した症例のその後。

 後腹膜リンパ節が一塊となって、両側水腎症を呈していた。12月22日に通院している糖尿病外来を受診して診断されたが、腎機能障害・高カリウム血症があり、腎臓内科で入院した。

 12月23日の泌尿器科外来に診療に来た大学病院泌尿器科医に相談した。週明けに大学病院泌尿器科外来を受診することなって、そのまま入院となっていた。

 

 2023年2月に大学病院から当院外来に戻ってきた。大学病院では生検で膀胱癌術後再発・後腹膜リンパ節転移(腸腰筋浸潤・腰椎浸潤)と診断された。経過中に、多発性肝転移・多発性肺転移も生じていた。

 右腎瘻造設が行われた。予後1~3か月とされ、癌化学療法は効果が期待できず、行わないことになった。できるだけ自宅で過ごすことが目標となっていた。

 腎瘻の管理を泌尿器科外来で行って、緩和ケアは内科外来で行うことになった。別の内科医が担当していた。(当方でもよかったが、自信をもって診ておられたのでお任せした)

 5月になって、疼痛コントロールと食欲低下・体動困難で入院した。医療用麻薬が使用されていたが、フェントステープ10mg/日まで増量された。レスキュー薬の内服ができず、オキファスト持続静注で調整された。結局、先週の日曜日に亡くなられた。

 

 膀胱癌手術(全摘、回腸導管)は2003年なので20年経過している。術後に化学療法を行って、11年半外来で経過をみて終了になっていたのだった。組織診が行われているので診断は確かだ。

 20年目の再発という驚きの結果だった。

 

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また奇異性脳塞栓症

2023年06月22日 | Weblog

 月曜日に地域の基幹病院脳神経内科から、脳梗塞の89歳男性がリハビリ目的で転院してきた。

 診療情報提供書には脳梗塞とあり、抗血小板薬2剤(バイアスピリンとクロピドグレル)が処方されていた。転院時にはバイアスピリンは中止して、クロピドグレルのみにする予定とあった。(DAPTからSAPTへ)

 ところが転院してくると、処方は抗凝固薬のエドキサバン(リクシアナ)に変更されていた(薬局作成の退院時の処方内容)。送られきた診療情報提供書は、転院依頼の時と同じだった。

 担当医は、6月9日記事「奇異性脳塞栓症」に記載した若い女性医師だった。また電話してみた。すると、「下肢エコーで深部静脈血栓症を認め、さらに経食道エコーで卵円孔開存を認めたという。金曜日から抗凝固薬に変更している」、と淡々と説明された。(それがどうかしましたか、という感じ)

 抗血小板薬(動脈血栓予防)と抗凝固薬(静脈内および心腔内血栓)では目的が異なり、どちらでもいいというわけにはいかない。病態も治療法も違うので、普通は変更内容を記載すると思う。

 ちょっと「不思議ちゃん?」な感じがして、「わかりました。抗凝固薬を継続します」とだけお伝えした。

 

 この患者さんは、頭部外傷の既往があり、その後水頭症となって、VPシャント造設術が施行されている。6月2日に右片麻痺で発症している。

 受診時の頭部CTで梗塞巣が描出されなかったことから、tPAを行っているが、症状は不変だったという。

 その後、左放線冠に梗塞巣が描出された。

 梗塞巣としては小さいが、場所が悪い。右上肢はわずかに動くがほとんど完全麻痺だった。リハビリをしても介助で車いす移乗までになるだろう。家族は在宅介護は困難ということで、施設入所の手続きをしてもらうことにした。

 

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原発性胆汁性肝硬変

2023年06月21日 | Weblog

 先週の土曜日の日直の時に、内科クリニックから電話が入った。当院に通院している原発性胆汁性肝硬変・肝性脳症の71歳女性を受診させたいという。来てもらうことにした。

 この患者さんは初めて診る。カルテのサマリーを見ると、20年前に大学病院で肝生検を受けて、原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断されていた。胃食道静脈瘤を認めるが、肝細胞癌はこれまでなかった。

 4年前に大学病院から当院内科に紹介となった。大学病院の肝臓グループの先生方が交代で内科外来の応援にきていたので、そこの外来(一般内科+肝外来)に通院していた。(応援は3月で終了となった)

 ウルソ600mg/日と分枝鎖アミノ酸製剤のリーバクトなどが処方されていた。4月からは新任の常勤医が外来処方を出していた。2か月分の処方が出されて、当院外来と大学病院の外来を交互に受診する形になっている。

 来て見ると、歩行はできて話もできるが、ぼんやりしているような印象がある。血液検査では脱水傾向にあるようだ。現在時間外の検査は簡易検査で、末梢血と特定の生化学検査しかできない(血清アンモニアは測定できない)

 入院で補液と分枝鎖アミノ酸製剤の点滴(アミノレバンのジェネリック)をして経過をみることにした。食事摂取もできるので、週明けの採血で確認するくらいでいいようだ。

 月曜日に病室に行くと、(受診時より)すっきりとした表情で会話も来た時よりスムーズだった(言葉が出るまでちょっと間があるが)。血清アンモニアは97(<70)と軽度に上昇していた。受診時はもっと高かったのだろう。数日点滴を継続して、普段の内服に戻すことにした。

 受診のCTでは肝硬変の所見だけで、胸水・腹水は認めなかった。下肢の浮腫も軽度だった。下腿浮腫で内科クリニックでスピロノラクトンが処方されていて、最近アゾセミドが追加になっていた。

 感染症による悪化は否定的で、利尿薬による脱水傾向で肝性脳症が悪化したようだ。とりあえず、利尿薬はスピロノラクトンのみに減量した。非代償性肝硬変では、腹水・浮腫で利尿薬を増量して肝性脳症悪化というのはよくある。

 

 事務の方から、「原発性胆汁性胆管炎で特定疾患の適応をとっていて、今回の病名は原発性胆汁性肝硬変となっていますが、適応がありますか」、と訊かれた。(病名変更になっただけで、同じ病気ですと答えた)

 

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