フォーティファイドワインとも言います。
葡萄の糖分が酵母によってアルコールに変化してできるのが「通常のワイン」=スティルワインです。
そのワインに強いアルコール(簡単に言うとブランディ)を添加するものが酒精強化ワイン。
完全に発酵が終わったワインに添加するものもありますが(ドライシェリーが代表格です)
発酵が終わらない=糖分が残っている時点で添加するもののほうが多いのです。
そうすると強いアルコールがワイン全体のアルコール度数を押し上げ、概ね15度を超え始めると酵母は働きを停止します。
これをフランス語では「ミュタージュ」と言います。
録音を停止することをミュートと言うのと同じです。
糖分があるのにミュタージュすると甘いワインになります。
代表的なものはポルト(ポートワイン)やマデイラなどのポルトガルのもの、或いはシェリーでも甘口はあります。
しかし、それに留まらず地中海沿岸には沢山の甘口酒精強化ワインが造られています。
赤いのも白いのも、です。
いや地中海沿岸に限らずワイン産地では大概の地域でありますが、メインに造るワインが有名な産地では目立たない、と言うことかもしれません。
例えば6月6日の投稿でも書いていますがバニュルスやモーリー、ラストー、そしてリブサルトなどのフランスの南部、スペインの南部のフォンディジョン。
食後酒に最適なそれらのワインの問題はラベル表記が「アバウト」過ぎる、と言うことです。
例えばシェリーやポルト、マデイラのようなイギリスの力で世界に販路を広げたものはラベル表記の規定が細分化されていて「ラベルを見ると味わいやコンディションの想定が付く」のですが、上記のバニュルスなどのグループは簡単な表記で終わっているようです。
例えばヴィンテージは書かれていても樽熟成をどれくらいしたかは判りません。
白系のものの場合はほぼ問題がないのですが、赤系の場合は大変です。
例えば、今使っているリブサルトの1954年のものは63年経過しているうちの62年は現地での樽熟成です。
で、同じ生産者の1954年の50年前に瓶詰したものも表記上の規則は同じなんですね。
そむりえ亭にあるものは樽の中で酸化を帯びた風味ですし、50年前の瓶詰なら澱(沈殿物)が多量にあって「赤い風味」が真ん中にあるはずです。
ポルトなら「タウニィ」か「ルビー」かと表記の分かれるところです。
しかし、それがイケナイというのではありません。
そのアバウトな産地=注目されていない産地のお陰で「安~~い」のです。
輸入元と仲良くして「瓶詰はイツ?」などの情報を獲得していれば「お手軽に」熟成の味わいを楽しめますね。
また、このタイプ(樽熟の長いもの)は抜栓後の日持ちが良いのです。
自宅に一本置いといて、チビチビやるのに最適ですよ。
ご相談に応じます。
さて今日は最高気温が34度(大阪)の予報です。
熱中症対策をしてお出かけください。
樋口誠