現代戦は、高度な技術(専門性)が要求される。それは陸軍力に於いても同様である。通常の歩兵部隊の役割は占領政策程度しか残っていない。日本は専守防衛を基本戦略としている以上占領政策を行う確率は極く低い。故に専門的技術を要すプロの兵士(レインジャーや砲兵、ヘリの搭乗員、戦車兵など)が必要となる。その限られた予算の中で徴兵制度は余り意味が無い。米国やロシアも徴兵制はコストパフォーマンス的に見合わないため廃止した。
オリンピック憲章(暴力禁止を謳っている)を批准しているハズのスポーツ界で「愛の鞭」などと言い暴力行為がまかり通っているのが、日本の現状である。フランス柔道界の飛躍に暴力があるか調べてみればよい、ないはずである。科学をスポーツに持ち込むことも「理屈ばかり言って、根性が足らない」と言って当初敬遠していた。殴るのであれば五分五分の立場で行うべきであり、自らは安全なところから反撃のない相手を殴る、これが日本で言うスポーツマンシップの実状の影の部分だ。
この様な風潮が強い日本に於いて徴兵制は、階級と言う特権を有した人間が卑劣になる最たる場所となる。知人の偉いさんが「学徒動員で最初の1ヶ月間に80発ほど殴られた」と仰られていた。その殴った上官に戦後お会いしたら教育評論家として「体罰禁止」を叫んでおられたので、「私どもは良く殴られましたが」と応じられたそうだ。すると「そのことは忘れてくれ」と言われたそうだ。特権は人間性を腐敗させる。
自衛官のような職業軍人はまだ免疫があってもポット出の徴兵では階級と言う特権を勘違いする輩が必ず出てくる。「憲法9条に自衛権の記載がない故に軍事力を有することは違憲である」みたいな曲解を行う者が出てくる。GHQで憲法を作成した女性に以前NHKが「なぜ憲法に自衛権の記載がないのか」と質問したら、「自衛権は自然権でしょ、記載の必要はない」と回答された。「自然権」即ち、息をすることや食事をすることと同様の権利である。これが憲法製作者のご意見である。それを特別な権利の様に曲解する輩が多数発生しているのが日本の現状である。
安倍総理の防衛・外交政策は今までの日本とくに左翼に牛耳られていた世論に一石を投じた。基本応援したい。しかし日本人は時計の振り子を大きく振り戻す民族である。後顧の憂いは小さいうちに摘んでおくべきだ。高々2年ほどの徴兵された兵など現代戦では役に立たない。それ以上の期間徴兵すれば経済力に影響が出る。現代戦は最低でも5年以上のキャリアを必要とする。経済力が落ちる方が国防上不利である。米ロ両国もそこに気付いたそうだ。「徴兵にかかるコストで更なる装備や訓練が出来る」ことを。